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チキンライスとお皿の話

ボンジョルノホワイト・プルーン①.JPG

 
 チキンライス皿まで赤し春来る 窪田ちか(『鷹』2002年5月号)


 ここ仙台でも先週梅の開花のニュースがありました。暖かさからと言うより、最近とみに日が長くなったおかげで、春が来たのを実感しています。「モミの木」の西の窓辺のテーブルも4時半を過ぎても明るく、物を読むのにちょうどいいのです。
 ドイツでもカーニバルの後、クリスマスのころは3時を過ぎると沈んでしまった日がだんだん長くなり、日の長さとともに春を感じたものです。

 ところで、冒頭の句です。俳句で「春来る」というと立春のことで、必ずしも春が来たという実感を表す季語ではありませんが、私は暦の立春のころというより、春になった、もう冬の光とはちがう、と気がつくようになると、このチキンライスの句を思い出してしまいます。
 一読、「あ~、おいしかった!」という声が聞こえてきませんか。チキンライスはきれいにお腹におさまって、いまはケチャップが赤く残った(白い)皿のみ。食後の飲み物を待つ間、お腹も心も満たされて、外に目をやると、何だか光がちがう。冬の光にはよく晴れていても刺々しい感じがするのに、刺々しさが消えている。光がまるくなっているような…。庭に植えられた花々も心なしか暖かそうに見える…。
 この句では、「春来る」のみで、具体的に春の季語が使われていません。読み手の想像に委ねられているので、上の鑑賞も全くの私の想像にすぎません。
 ただ、チキンライスを外で食べるとしたらどんな場所か、と考えてみると、チキンライスというクラシックなメニューのため場所が限定されます。デパートの食堂や昔ながらの喫茶店にもチキンライスがあると思いますが、外の景色を眺められるような場所でないと「春来る」が実感しにくいもの。しかし、チキンライスが定番の老舗の洋食店ならば、中庭などがあったり建物自体が緑ゆたかな場所にあって「春来る」という気分も味わえそうです。そんなわけで、チキンライスの一語に私は緑が楽しめる老舗の洋食店を想像したので、自然とケチャップの残った白い皿に銀のスプーンまで見えてきました。
 また、俳句で食べ物の句を作るときは、旨そうに作れ、と言われますが、チキンライスと「春来る」のおかげで老舗洋食店が想像でき、老舗洋食店のチキンライスならば味も保証されます。現に作者はきれいにお腹におさめて、赤くなった皿が残るのみ。不味いわけがありません。
 最後に、チキンライスを食べたのは外ではなくて、家だった可能性もあるかもしれません。しかし、皿の赤さに目が行ったことを考えると、真っ白な皿だったからこそケチャップの赤が鮮やかに見えたのだと思います。家庭で使う柄物の皿の場合、なかなか赤い色も美しく見えません。白の磁器だからこそ、ケチャップの赤も美しく見えるのです。そんなわけで、私は、お皿からも老舗洋食店を想像したのですが、いかがでしょうか。

 このように書くと長くなりますが、考えるのは一瞬のこと。その後は、久しぶりにわざわざチキンライスを老舗洋食店まで食べに行きたいなどと、美味しい店を思い出しては楽しくなってしまいましたが、写真は「モミの木」で使っているお皿です。
 正確には上のプルーンのスープ皿は自家用で、「モミの木」では、同じサイズでプルーンの柄とゴールドの縁のない、それこそ真っ白なスープ皿にハンバーグやビーフストロガノフを盛っています。付け合せは、ドイツでもよく一緒に出されるじゃがいもといんげんの場合が多いのですが、たまにいんげんと人参を盛ったときは、この白いお皿のおかげでとても人参が映えます。
 白にもいろいろあって、黄色っぽいものや灰色がかったものがありますが、これは色白。料理を美しく見せてくれる色です。
 また、本来のディナー皿は下に置いた27cmのもの。ただ、日本人の胃袋や日本の食卓には大きすぎるため、私は直径18cmや21cmのお菓子用に使っています。一方、上の24cmのお皿はスープ皿ですが、スープのほか、パスタ、シチュー、カレーなどにもぴったりのサイズ。非常に重宝しています。同じ24cmのディナー皿よりも、カレーは食べやすく、シチューが盛れることから、これから買うならばこちらがおすすめ。このお皿に盛った写真をご覧になればおわかりいただけると思います。

 ただ、いつまでも料理が美しく見えるよう、チキンライスをお出しするわけではありませんが、仮にチキンライスを盛っても「皿まで赤し」と見えるよう、手入れをしています。1枚1枚ソースの残りなどを拭い取ってから洗っているのですが、その話はいずれまた。
 
 なお、先日なるべくライスではなく「ごはん」という言葉を使いたいという話を書きましたが、チキンライスは例外です、念のため。
   

実店舗臨時休業のお知らせ

 急ですが、実店舗は明日の日曜、25日は臨時休業とさせていただきます。

 なお、このコラムの記述後、コラムのトップページへのアップが遅い場合がありますが、カテゴリーにはすぐにアップされます。どうぞ、臨時休業のお知らせなどは、カテゴリーの「お客さまへ」をご覧くださいませ。
 勝手ながら、よろしくお願いいたします。

薔薇かバラか?言葉の表記について

ガーベラとマトリカリア.JPG
 
 先日、カーニバルのパレードなどが行われるRosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日について書きましたが、そのときRosenの日本語をどう書くか、漢字ではなくカタカナにすべきか、あるいはひらがながいいのか、一瞬ですが考えてしまいました。
 ドイツ語のRosenは英語のroses、バラの複数形です。
 植物の名前の表記については、私は、「今週の花」や庭の花の紹介など、植物の名前や品種の紹介に力点を置く場合は、原則として新聞と同様カタカナ表記にしていますが、俳句を紹介する場合は、個々の作品に従っています。
 しかし、今回はRosenを含む一般名詞。花の名前を紹介するわけでもないので、カタカナを使う理由が私の原則に該当しません。では、漢字かひらがなか?困ったときの『広辞苑』ではありませんが、小学館の『独和大辞典』を見ると、ひらがな表記です。おまけに、Rosenmontagは元来Rasenmontag「ラーゼン」モーンターク、「狂騒」の月曜日がなまったもの、という説明もあります。この話はよく聞く話で、私は辞書にも説明があるとは初めて知りました。
 それでも漢字を使ったのは、Rosenmontagが本来花の名前と関係がないにしても、きょうばかりは無礼講の、仮装した人々でごった返し、思うように身動きがとれない広場や男女の無秩序な一日を表すには、薔薇という複雑な漢字がぴったりと思ったからでした。花そのもののイメージではなく、あくまでも薔薇という字面から受ける、複雑な入りくんだイメージです。それが、はからずも「狂騒」の月曜日といった「薔薇」の月曜日の実態を示しているような気がしたのですが、いかがでしょうか。 
 
 ところで、私は、ライスという言葉はあまり使わないようにしています。「モミの木」でも、パンかごはんか、どちらになさいますか、とお聞きしています。理屈をいえば、単にササニシキを炊飯器で炊いただけで、お皿に盛ってお出ししますが、まさしくお茶碗でいただく「ごはん」そのものの炊き方だからです。
 ドイツ語でもReisライスと言って、じゃがいものかわりに肉料理と一緒にいただくことがあります。たとえば、ソテーした鶏のささ身を生クリームのソースで軽く煮たものが小学校の給食によく出て、それにはパラッとした、まさにライスが付け合わせ。ソースをからめていただくのが、結構楽しみでした。私が2軒めに滞在していた家庭は、純ドイツ料理ばかりではなく美味しい(!)ラザニアなども登場しましたが、1度付け合せにライスが出たことがありました。ライスは、お湯を沸かしてパスタのように茹でるだけ。茹で上がったら、お湯を切り、後は肉料理のソースと一緒にいただきます。
 それが私にとってのライスです。わざわざ「ごはん」という、やさしい食卓のイメージがある言葉を捨てたくはありません。もっとも、私がお米をドイツ式に茹でたものを出すのなら別ですが…。

 ついでながら、イタリア在住の作家塩野七生さんは、「ワインと聴くたびに、私は悲しくなる。」と『イタリア遺聞』で書いていらっしゃいます。先ほど、塩野さんはワインという言葉が嫌いだったはず、と著書をひっくり返したら、この文の後に、ワインと言われるとき感じる胸の痛みについて、御飯をライスと言われたときの胸の痛みを引き合いに出していらっしゃいました。
 
 言葉を大切にすることは、言葉の指し示す物を大切にすることに通ずると思います。たぶん私がライスと言われて厭な気持ちになるのは、ごはんが軽んじられているような響きを感じるからだと思います。

 最後に今週の花のご紹介ですが、花の名前をお知らせすることが目的ですので、カタカナ書きです。
 今週は、ミモザに合わせて、レモン色のガーベラと黄色の芯が印象的なマトリカリアを足しました。マーガレットを小さくしたような花のマトリカリアは、ほかにピンとくるものがないときよく使っています。
 ほかにユーカリもあるのですが、お財布をごそごそやっている間に花屋さんに短くされてしまいました。花瓶の中にペットボトルを入れて上げ底もしていますが、残念ながらご覧のとおりです。
 来週は雛祭もあるので何か桃色の花の予定ですが、桃色は来週まで封印しました。 

雛祭①

雛祭の本.JPG

 ファッシング(カーニバル)の薔薇の日曜日も終わって、明日からドイツでは四旬節。なかには、この間アルコールを控える人や卵や乳製品を控えたりする人もいるようですが、私が滞在していたカトリックの家庭では、特に四旬節だから肉は控えて…ということもなくふだんと同じような食事でした。

 そんなわけで私も復活祭まで特別なことはせず、関心は雛祭。ファッシングが終わったら、クロスも桃や萌黄色のものを使い始めます。また小さなお雛さまでも飾りたいところですが、私のお雛さまは静岡の実家。気持ちだけでもと、雛祭の本を用意しています。
 残念ながら、私は旧暦で4月に祝う実家のお雛さまを飾ることも、ましてやまみえることもありませんが、お雛さまを出すころになると思い出す句があります。
 
 過去よりも短き未来雛飾る  岡田靖子(『鷹』2000年5月号)

 この句を作ったとき、作者の岡田さんは50代になったばかりだったとか。あるとき恙なくお雛さまを飾りながら、もう自分の行く末が来し方よりも長くはないことに、はたと思い至ります。その厳然とした事実にさぞや驚き、動揺したことでしょう。しかし、自分の感情には何もふれずに、「過去よりも短き未来」という事実のみを詠っています。個人の感情の吐露がないからこそ、読むほうもその事実にハッとさせられます。
 女性の平均寿命を考えると、私の場合残されている未来は過去と同じくらいでしょうか。この句にはいろいろと行く末を考えさせられますが、もう一句雛の句を紹介したいと思います。作者の蓬田節子さんは『鷹』の大先輩。女性は、お雛さまを出し入れしながらものを思うようです。

 笛失せし雛の歳月わが歳月  蓬田節子(『鷹』2002年5月号)

カーニバルの薔薇の月曜日

デニスとヴィリー.JPG

 今年の2月19日は、ドイツではRosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日と呼ばれる日。この日がカーニバル(Faschingファッシング)のハイライトの日で、カトリック地域では祝日、目抜き通りを思い思いに仮装した山車のパレードや、仮装のダンスパーティーなども内輪であるようです。
 
 私がいたハノーファーはプロテスタントが多い地域のため、祝日でもなかったのですが、カトリックの小学校ではご覧のとおり。先生方も子どもたちも仮装姿で登校し、私もデパートに出現したカーニバルグッズ売り場で調達した黒と白の三角帽子と、借り物の黒の超ミニのワンピースに赤いタイツでピエロ風の出で立ち。授業もなくて、パントマイムゲームなどして遊んで過ごしました。
 仮装の主流は、男の子は右の写真のWilliヴィリー(先生の後に座っている赤い鼻がわかりますか?)のようなピエロか、左のDenisデニスのようなドラキュラ、あるいはカーボーイやインディアンと水兵さん。女の子はお姫さまスタイルが多かったと思います。

 ところで、ヴィリーとは朝同じ路線バスに乗っていたのですが、顔までしっかりピエロ姿のヴィリーが乗ってくるとほかの通勤客が驚きの表情を浮かべたり、奇異な眼で見ていたのが忘れられません。ハノーファーでカーニバルと言えば、あくまでもテレビのなかのカトリックの行事、ケルンやデュッセルドルフなど遠い街のばか騒ぎと見られているようでした。
 
 そもそもカーニバルとは、復活祭に先立つ四旬節の前のお祭り。四旬節の間は、イエス様が荒野で40日間の断食をしたことに倣い、安息日の日曜を除いて肉食が禁じられるため、その前に盛大に飲み食い楽しもうというものです。
 もっともいまは厳格に精進が守られているわけではないようですが、四旬節は、カーニバルの後のAschermittwochアッシャーミットヴォッホ灰の水曜日から復活祭の前日まで、日曜を除いて40日間続きます。学校でも、アッシャーミットヴォッホの給食はHuehnersuppeヒューナーズッペ。鶏のコンソメに野菜が入ったスープですが、担任の先生が来週の水曜日はヒューナーズッペと言うと子どもたちは大ブーイング。四旬節の最初の日だから肉は食べないのだと言っても、子どもたちは少々不満顔でしたが、四旬節の間給食でヒューナーズッペが出たのは一度きりだったと思います。

 この四旬節が終わり、復活祭になると春です。今年の復活祭は、4月8日。復活祭には、生命の象徴である卵を茹でて殻を美しくペイントして飾ったり、卵型のチョコレートを食べたりしますが、その話はまたの機会に。「モミの木」ではチョコレートはありませんが、卵の飾りとシュトレンをまたお出しする予定です。

実店舗連休ご連絡u.雪晴れの公園

雪晴の公園.JPG

 実店舗の連休のご連絡です。
 都合により、明日2月17日(土)~21日(水)まで実店舗のみお休みさせていただきます。
 勝手ながら、よろしくお願いいたします。

 写真は、今朝の西側の公園。
 ご覧のとおりですので、きょうも雪の日サービスを行います!
今週は、火曜日はよく晴れて春先のような天気だったのが、水曜日は朝方から雪。水気のある重い雪を雨の中雪掻き。きのうの日中は積もりはしなかったもののちらちら舞っていた雪が、夜、粉雪に変わりました。今朝で今月4度目の雪掻きですが、雪の後きょうのように晴れ上がってくれたのはこの冬初めてです。
 札幌では、このような雪晴れの日には街路樹のナナカマドの赤い実に雪が積もって、トリコロールの景がとても美しかったものです。雪晴れの青空とナナカマドの赤い実、そして真綿のような雪と。ナナカマドの赤い実は、小鳥の大事な餌でばかりでなく、私のような人間には眼の愉しみであるばかりでなく励ましでもありました。

春を告げる花

マーガレットとミモザ.JPG

 五分後に恋あるごとしミモザ咲く  矢口晃(こう)(『鷹』2001年5月号)


 真っ先に春を告げる花の意で、「春告草」と言えば梅の花の異名です。
 私にとって春告「花」と言えばクロッカス。以前住んでいた札幌では、3月は暦のうえでも光も確かに春なのに気温は0度前後。まだまだ寒い日が続き、雪解けは年によって違いますが、3月でも雪が多かったことがありました。それでも、クロッカスはまわりに雪が残っているうちから蕾を出します。上旬中旬などの差がありますが、それが3月だったと思います。雪道に足を滑らさないよう足もとばかり見て歩いていると、ある日真っ白ななかから黄色や紫が目に飛び込んでくるのです。筆先ほどのクロッカスの蕾です。この小さいながらも寒さに立ち向かう果敢な蕾を見ると、いったいいつ冬が終わるのか、春が来るのかわからないような寒さのなかで、励まされるような気持ちになるのです。特に白一色のなかの黄は温かくも見えます。

 そんなわけで「モミの木」でも生垣の下や庭のあちこちに植えたクロッカスが、真っ先に咲き出して、春を告げてくれますが、もうひとつ静岡と東京の季節感が染み込んだ私にとって春告「花」と言えば水仙とミモザ。
 この冬は、都内でも水仙の花が年末に咲いたそうですが、静岡の実家では庭の水仙はお正月の花です。昔ながらの築山がある実家の庭には2月に咲く梅はありすが、ミモザはよそのお宅の花を拝むのみ。毎年2月ごろになると鮮やかな黄色の花を探してしまいます。

 仙台では、場所にもよるかもしれませんが、ミモザの地植えは難しいようで、私はまだ見たことがありません。でも、立春を過ぎるとどうしてもミモザが見たくなって買ってしまうのです。ただ、まだ白いホーローの水差しは目に寒いので、花瓶は赤。赤い花瓶に黄色い花はとても難しく、結局ミモザは1本のみにして、マーガレットと合わせました。

 冒頭の句は、春いちばんに目に飛び込んでくる鮮やかなミモザから受ける幸福感、うきうきした気分をうまく詠った句だと思います。それこそ、「季語が動かない」。俳句では、使われている季語がそれ以外に考えられないほどよく「効いている」場合、このように言われますが、私はミモザを見るとこの句も浮かんでしまうほど。この「五分後に恋あるごとし」を詠んだとき作者の晃(こう)さんはまだ学生だったはずで、みずみずしい表現を羨ましく思ったものです。

ビーフストロガノフライス

ビーフストロガノフライス.JPG

 「モミの木」は、Teestubeテーシュトゥーベ、ドイツの家庭でふだん焼いて食べる、デコレーションのないお菓子Kuchenクーヒェン をお出しする紅茶の店(紅茶はスリランカおよびインド産で、ドイツ製のものはありません!)ですので、ランチにはご予約をお願いしていますが、2月からランチを若干見直すことにしました。

 ランチは、開店後しばらくしてご要望があったため始めたものですが、、泉区配布のフリーペーパーにランチのおいしい店として同じ寺岡のロイヤルパークホテルさんなどと同時に紹介されたことがありました。すると、どんなお店なのかの記述がなかったせいで、一時お菓子とお茶の店ではなく、食堂状態になってしまいました。
 毎日毎日お菓子よりもじゃがいもの皮ばかり剥いて、自分の本来やりたいこととはかけ離れています。また、ランチで見えるお客さまであっても、食後は室内のコーディネートや食器類、あるいは絵や本などをご覧になって、ゆっくりお茶をしながらそれらを楽しんでいただけたら嬉しいのですが、食事がすむとさっと席を立たれてしまいます。もしかしたらお客さまのほうで気を使っていただいたのかもしれませんが、食事が終わったらさっとお帰りになるのでは、ゆっくりくつろげるお茶の店ではありません。

 私は、この「モミの木」を始める前に、紅茶は主に磯淵猛先生の著書やセミナーで勉強し、珈琲は専門店で勉強させてもらいましたが、調理は全くの自己流。ただ、出来合いのものや化学調味料は舌に残るのが嫌いで、マヨネーズとケチャップやウスターソースなどは別にして、市販のドレッシングやスープの素、たれなどは使いません。そばつゆやホワイトソース、トマトソースなども自分で作っています。
 「モミの木」でお出ししているハンバーグのソースやビーフストロガノフなどは、以前主婦として目分量で作っていたものをきっちり計量して作っていますが、ソーセージランチに付けるスープが少々負担になりました。
 そのため、1,050円(税込)の、ドイツ産ソーセージをフランス産の冷凍を店内のオーブンでソーセージの柔らかさに合わせて焼いたパンにはさんだものと、スープ、サラダ、食後の飲み物と甘い物(デザートというほど気取ったものではなく、焼菓子か夏はゼリーなど)がセットになったランチは、終了とさせていただきます。
 また、家庭によってちがうと思いますが、私が滞在して食事を一緒にしていた2軒のドイツの家庭では、焼いたソーセージをパンにはさんだものが出されたことはありませんでした。ドイツでは台所を非常にきれいにしている主婦が多く、きれいな台所を保つ上での大敵のソテーはあまり好まれないようです。ソーセージを食べるとしたら、家庭では茹でるタイプのものが好まれ、焼いてパンにはさんだものはもっぱら買い物途中などに小腹がすいたとき街角のスタンドで食べるもの、クロスのかかった場で食べるようなものではありません。ましてやお茶の店のTeestubeでも、家庭で夕食によく食べるハムとライ麦パンのサンドウィッチのようなものはあるかもしれませんが、焼いたソーセージが出てくることはふつうないと思います。そのため、ソーセージのランチを出すのは、「ビールにソーセージ」のイメージを固定化してしまうだけでなく、ドイツの家庭の現状とかけ離れてしまい、私としては不本意なことでした。
 そこで、勝手ながら、パンに焼いたソーセージをはさんで食べるタイプのソーセージランチは終了させていただきます。しかし、家庭でそのようにソーセージを食べることはあまりないと言っても、ドイツのソーセージが美味なことは事実ですから、別のソーセージを使ったランチを考えているところです。決まりましたらお知らせいたしますが、きょうはご予約がなくてもお出しできるメニューを作りましたので、そのお知らせです。

 ビーフストロガノフとごはんをいっしょに盛ったものと(付けあわせの野菜はありません)、サラダ、食後の飲み物(紅茶・珈琲ともに1杯のみ)という簡単なセットで、1,050円(税込)です。いままでどおりの、付けあわせのあるビーフストロガノフとパンまたはごはん、サラダ、食後の飲み物(紅茶の場合ポットサービス=ティーカップ2.5杯分)と甘い物のセットは1,160円(税込)で、ご予約をいただければご用意できます。
 ほんらいはお客さまに食後もゆっくりお茶をしながらくつろいでいただきたいのですが、このビーフストロガノフライスはお時間のあまりないお客さま向けのセットです。私としてはゆっくりしていただきたいと紅茶をポットでお出ししているのですが、なかなかそうも行かず、紅茶を飲みきれずお帰りになるお客さまがいらっしゃるためです。なお、お客さまが重なっている場合は、簡単なセットですがお時間がかかります。お時間のないお客さまには、お手数ですがお電話(377-6166)にて確認をお願いいたします。
 
 また、新しいセットが決まり次第、お知らせいたします。なにぶんお菓子と紅茶の店ですので、ランチメニューまでなかなか手が回りません。あらかじめ、ご了承くださいませ。

雪の夜

キンパコデマリとアストランチア.JPG

 きょうの雪掻きには1時間強。北側に5台分ある駐車場と歩道、そしてお客さまが歩くタイル張りの一部のみで時間切れとなりましたが、雪に水気があったおかげでスコップですくいやすく、雪の量のわりには早くすみました。
 もっともタイルの一部と車止めの奥は残ってしまい、夕方そこの雪掻きをしていると、西の山の端にいちばん星、うしろを見れば北東からちょうど昇ったばかりの大きな月。昨夜も買い物に行くとき大きなお月さまを拝みましたが、きょうのほうが大きなお月さま。満月だと思います。
 いちばん星とお月さまが出ているのに、北西のスキー場に目をやると照明がぼやけています。案の定雪掻きを終えてしばらくするとまた、少し雪がちらつきました。明日も雪掻き、雪の日サービスかもしれません。

 いまはもう雪も止んで、アスファルトが少し白くなっているだけですが、久しぶりの雪の夜。雪の夜には、雪の消音効果や人も出歩くのをつつしむせいか、独特のしずけさがあります。
 三好達治の「太郎をねむらせ次郎をねむらせ…」の詩も雪の夜の静けさを詠っていますが、俳句にも雪の句は多くあります。雪国の人々にとって雪は必ずしも美しいだけのものではないと思いますが、雪が珍しい地方の人間には雪は詩を誘うもの。歳時記にも雪の句はあまた収められているのです。例えば、雪が降ると必ず思い浮かぶ句によく知られたものでは、
 中村草田男の「雪降るや明治は遠くなりにけり」、
 室生 犀星の「ゆきふるといひしばかりの人しづか」、
 橋本多佳子の「雪はげし抱かれて息のつまりしこと」
などがありますが、もう一句『鷹』の大先輩の句を紹介したいと思います。

 雪の夜や宝石箱のろんるろん  伊沢惠(けい) (『鷹』1999年4月号)

 ひたぶるに降る雪の夜。いつもの街がまるで違う街のようにすっぽりと雪に包まれて、人気のない静かな夜。家々の明かりも早くに消えたが、外の雪のせいでぼんやりと明るい。そんな雪の夜、赤や青の大粒の指輪やペンダントの石はひときわその光を放って、箱がまばゆいばかりに輝いている。
 「宝石箱のろんるろん」を私はそのように想像しています。そんな神秘的な景も雪の夜は夢想させてくれるのです。
 惠さんは、何度か句会をご一緒させていただき、熱心なご指導もしていただいた方です。私の両親と同世代ですが、大柄でとてもおしゃれな方。まさに女傑といった感の惠さんには、ほかの人なら負けてしまうような鮮やかな色やゴージャスなものがよく似合っていらっしゃいました。しかし、惠さんらしく豪華なこの句が大好きだとお伝えする機会のないまま、先月亡くなられてしまいました。以前、惠さんが生まれた日は大雪で、雪という名前になるところだったと聞いたことがあります。お別れに行けなかったので、雪の今夜、惠さんの雪の句を思って過ごしました。    

 今週は、立春も目前なので花も春らしくしました。メインの花は、赤むらさきのアストランチアと白の小花のレースフラワー、さくら色のスターチス。奥のグリーンは、キンパコデマリと柿の葉に似たレモンリーフ。どれも葉のほとんどない花のため、レモンリーフは後から買いたしました。グリーンがないとせっかくの花もぼやけます。
 ところで、この花を買いに行ったときは月が出ていて、雪になるとは思ってもいませんでした。外の景とだいぶ異なる花になりましたが、寒い感じはないと思います。明日どれだけ雪が残るかわかりませんが、西側の公園の雪見はできると思います。ぜひ、雪見に。お待ちいたしております。

きょうは雪の日サービス!

雪のモミの木(2007年2月2日).JPG

 きょうは、ご覧のとおりの雪。まだまだ止まないので、もう少ししたら雪掻きです。
 「モミの木」では、雪掻きをした日にいらしたお客さまには、お飲み物全品525円(税込)です。詳しくは、1月の「雪の日サービス」のコラムをご覧くださいませ。
 この冬初の雪の日サービスです。

2月(=ホームページ修正)の予定

Philippchen!.JPG

 早いもので、もう2月です。うかうかしていると2月は「逃げていく」と言いますから、日々の仕事以外に進めていきたいことをここに記して、必ずやろうと思っていることがあります。

 ホームページの修正です。
 リニューアルというほどではなく、
 お買い物方法などをわかりやすくすること
 お菓子の種類の追加
 などを考えています。

 「モミの木」のホームページは、
 コラムの、私がカトリックのドイツ人家庭で見聞きしたことや体験したことなどの発信を通して、一般的なドイツの「ビールにサッカー、じゃがいもにソーセージ」といった男性的イメージ(これはドイツの一面、居酒屋・ビアホール文化の紹介にすぎません)とは別の姿の紹介や「おいしい!紅茶の淹れ方」などの実用情報の紹介
 実店舗の紹介
 ネットでの販売
 を目的にしていますが、
 どちらかというと、ネットでの買い物方法が慣れていない方には少しわかりにくいかもしれません。

 また、ケーゼクーヒェン(チーズケーキ)などのお菓子は、実店舗では18cmサイズですが、ネットでは12cmサイズのみでした。私としては、12cmのほうが切りやすいこと、また残らず食べきれる大きさであること、もう少し食べたいときは2個購入していただいて1個は冷凍保存が便利だと思っていましたが、なかにはやはり大きなサイズをご希望のお客さまもいらっしゃいます。
 そこで、18cmサイズのものもお買い物できるようにいたします。18cmのお菓子は、ちょうど12cmの2個分の大きさ。ケーゼクーヒェンの場合は、焼く前、12cmは410g、18cmは820gになるよう計量しています。焼き上がりは水分が飛びますので、少し軽くなります。24cmや26cmのサイズがふつうのドイツのお菓子としては小さいですが、実店舗では18cmサイズのものを8頭分ですので、日本のお菓子としては大きいほうだと思います。また、お菓子の底にはタルト生地もなく、中に小麦粉も使っていませんし、卵白を泡立てて高さを出すこともしていません。しかし、口解けはいいので、チーズケーキが好きな方4人なら大きい18cmでもいいかもしれません。もっともカットしているわけではないので、8等分でなくとも10等分でもお好みで。いずれにしても、このほうがお菓子らしいサイズだと思います。

 なるべく早い追加・修正を依頼しています。大きいサイズをご希望のお客さま、いま少しお待ちくださいませ。