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初秋

辛夷の実08.8.20.JPG


 今朝は、久しぶりの快晴。まるで台風が過ぎた後のようにからっと晴れました。
 きょうは一日中焼菓子のご注文をこなしていましたが、湿度が低かったので体もラクでした。
 しかし、明日は大雨とのこと。午前中散歩に行って正解でした(そのぶんまだラヴェンダーの刈りこみが少し残っていますが…)。
 向かいの公園では、槿(ムクゲ)が美しい時期ですが、日当たりのいいところでは萩もちらほら咲き始めていました。蝉は、アブラゼミが少なくなって、ツクツクボウシの天下。夜には、お盆のころから、スイッチョンに混じって、コオロギが鳴き始めました。
 写真は、辛夷の実。ナナカマドの実がそろそろ色づき始めるころかと思って見に行くと、ナナカマドはまだでしたが、隣の辛夷の実が赤く染まっていました。5月に花をつけていたトチにも実がなっているのがありました。確実に季節が進んでいます。
 

残暑お見舞い申し上げます

白玉とヌワラエリアのアイスティー①.JPG


 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり  三橋鷹女(1899年~1972年)

 新聞を見ると、去年ほどではないようですが、残暑が続いているようです。ここ仙台では、8月に入って真夏日になったのも5日のみ、夏空もちらっと拝めた日も含めて数日ほどなので、残暑の実感もありませんが、夏バテなどなさっていらっしゃらないでしょうか?お見舞い申し上げます。
 もともとここはお盆をすぎれば涼しくなる土地ですが、今年は夏らしい日も続かぬうちに秋になってしまいそうで、私も夏痩せの心配がありません。もっとも、『赤毛のアン』を読んだころの念願どおり手作りのお菓子で毎日のようにお茶をしていますが、学生のころから体型も変わらず、きょうのお茶は思い立って白玉です。

 白玉は、粉に水を入れてまとめ、茹でて冷やすだけ。餡さえあればすぐにいただけます。きょうは、少し残っていたローテ・グリュッツェで甘い餡に酸味を加えました。
 紅茶は、水出ししたヌワラエリアのアイスティーです。水500ccを5gほどのヌワラエリアに注ぎ、室温に数時間。その後茶葉を漉して、冷蔵庫で冷やすだけの手間要らず。
 ヌワラエリアは、緑茶と同じく、お湯で煎れた場合ポットに茶葉が残っていると苦味が出ますが、水出ししたものを漉して冷やせば苦味が出ず、非常にすっきりした味を楽しめます。もともと中国の茶の木をスリランカの高地に植えたものなので、アッサムの茶の木を植えたディンブラやウバなどのほかのスリランカの紅茶とは違い、中国茶やほうじ茶に近い風味です。そのため、和菓子や和食に緑茶がわりにぴったりなのです。

 ところで、冒頭の句の鷹女は、明治生まれですが、主に戦前戦後にかけて「この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」「絶壁に月を捕へし捕虫網」など独自の世界を築きました。夏痩せの句も直接は、嫌いなものは痩せようがどうなろうが絶対厭だ、という内容ですが、食べ物にかぎらず、自分の信念を曲げることを嫌った鷹女の生き方が表れていると思います。

 しかし、鷹女が嫌いといって口にしなかったものは何だったのでしょうか。
 私の場合、匂いが強いものが苦手で、ビールやワインに合わない酸味のある副菜や、いくら食べても満足感が得られないあっさりしたものもあまり好きではありません。
 例えば、大葉やバジル、タイムは好きですが、セロリ、茗荷、春菊、ラプサンスーチョン(正露丸のような臭いの中国産の紅茶)、キャラウェイシードは苦手。どれも食べられなくても困るものではありませんが、キャラウェイシードは、ドイツの南部に行くとザワークラウトやライ麦パンによく入れられています。有難いことに、私がいたハノーファーではふらっと入ったパン屋さんでも小学校の給食や家庭でもそのようなものに遭遇したことはありませんでしたが、もしキャラウェイシード入りのライ麦パンなど食べさせられていたら、いまごろこんなことはしていないと思います。
 もともと、あっさりしたものをたくさん食べるより、しっかりしたものを少しいただく方を選ぶ。刺身より鰻、そうめんより蕎麦という好みのせいか、夏バテ知らずで体型も変化なしなのです。

 なお、俳句では立秋が過ぎ、初秋の句を紹介すべきところでした。「夏痩せ」という季語ばかりでなく、白玉もアイスティーも夏の季語。
 実際はまだまだ冷たいものが嬉しい日が続くと思いますが、冷たいものばかりでは食欲不振を招き、夏バテの原因になります。みなさま、どうぞご自愛くださいませ。

赤毛のアン

赤毛のアン①.JPG


 暮れし森ひとり歩くも帰省かな  寺内幸子(『鷹』2000年10月号)

 今年は『赤毛のアン』が刊行されて100年とのこと。
 先日出版されたアンの訳者・村岡花子さんの評伝『アンのゆりかご』を読んでから、久しぶりにアンを再読。さらに別の訳の読み比べまでしてしまいました。
 思えば、高校の合格発表後の春休みにシリーズを読破したころには、グリーン・ゲイブルズのまわりの木々や花も具体的にどんなものかわからず、ただ漠然と緑の固まりを想像していたにすぎず、マリラの作るお菓子も、身近なものばかりではありませんでした。しかし、お茶に手作りのお菓子があるのが羨ましく、将来は自分でお茶に手作りのお菓子を用意できるようになりたいと思ったものです。そんな憧れの暮らしが食べ物に期待しないで行ったドイツにあり、思いがけずお菓子を作るようになったのですが、当時は本に出てきたお菓子は『赤毛のアンのお料理ノート』(写真・左)を眺めてよしとしていました。

 今回村岡訳以外のものも読んでみて、いちばんしっくり来たのは松本侑子さん訳の集英社のもの。最初に読んだ村岡訳のイメージを壊すことなく、とてもいい日本語だと思います。別のものは、100年前の物語というより、いまのアメリカの翻訳小説という感が拭えず、先を読む気になれませんでした。もっとも、集英社文庫の表紙はタイトルの文字が太く、大きすぎて、うるさい気がしますが…。 

 ところで、冒頭の句は、作者がアン・シャーリーであってもおかしくないような句だと思いませんか。先日戸塚啓さんの「八月やアンネ在りせばわが齢」を確認していたところ、偶然目に留まったもの。地味な句かもしれませんが、ちょうどアンを再読した後だったので、アンがクィーン学院を卒業して帰ってきた6月の場面を思い浮かべてしまいました。
 この句の季語は、帰省。夏休みの帰郷を指します。森は蝉が鳴くクヌギやコナラの里山のようなところでしょうか。日が落ちてしまったのに、まだ大丈夫とうす暗い森に向かうのは、若き日の作者か、あるいは作者が待っていた帰省した身内か。私には、森に向かう子を見送りながら、作者が自分も若いときは同じだったことを思い出し、深く共感する気持ちが「帰省かな」に表れているような気がします。
 というのも、私もドイツに行くと、森に散歩に行きたくなってしまうせいかもしれません。日本では森というと山にでも行かなければなりませんが、ドイツでは森は郊外だけでなく街の真ん中にあることもあります。平坦で歩きやすく、週末は冬でも森に散歩に行くほど。非常に身近な存在なのです。(この身近かで親しい森の存在が、早くからドイツ人を環境保護に駆り立てているのだと思います。)

 写真は、残念ながら、夏の森のものがありません。
 写真中央は、村岡花子さん評伝の『アンのゆりかご』。村岡さんとアンとの出会いのほか、英語を身につけたミッション・スクールや柳原白蓮などとの広い交友関係、アンの訳以外の様々な仕事について書かれています。

 夏休み、カナダの自然を思いながらアンを読むもよし、帰省して散歩がかなう森があればなおよし。
 夏休みも後半ですが、楽しく健やかな夏休みをお祈りしています。
 なお、当店は、ネットショップは通常どおり、定休日の月・火以外は営業いたしております。
 実店舗は、8月10日(日)~19日(火)までお休みです。お間違いありませんように。

盛夏

ユリノキ(東博)08.7.26②.JPG


 牛五頭一緑蔭を頒ち合ふ  浅井 多紀(『鷹』2000年10月号)

 きょうはようやく夏らしい快晴の朝を迎えました。東北地方では3連休初日の19日梅雨明け宣言がありましたが、翌日からずっと梅雨空。青空に映えるユリノキもほんとうに久しぶりでした。
 西側の公園のユリノキは黄葉の写真でも紹介していますが、高さはあるものの、まだまだ若木。窓から見ると幹の太さは両手で摑めるくらいしかなく、強風で梢のあたりが1~2mもしなるときは心配になるほどです。

 冒頭の句の緑蔭は何の木かわかりませんが、緑蔭に憩う牛のほか、まわりの牧草や遠くの山々、さらには気持ちよく晴れ渡った夏空など、高原の牧場の景が浮かんできます。
 一方、写真のユリノキは、先月上野の東博に『対決―巨匠たちの日本美術』展を見に行ったときのもの。空は白っぽく、ベンチの人たちも少々ぐったり気味ですが、ユリノキはどっしりとして幹は2人がかりでかかえても足りないほど。これなら、牛も5頭以上入れそうです。

 ところで、きょうはヒグラシとアブラゼミの声に混じって、ツクツクボウシの声が聞こえました。
 静岡ではツクツクボウシが鳴くのは、夏休みも終わるころ、自分の怠惰を後悔しつつ宿題を片付けているとき。また、こちらにはシャンシャン威勢よく鳴くクマゼミもいません。そのせいで、やっと夏の朝を迎えたという日に、夏が終わる淋しい気分になってしまいました。

 とまれ、8月は、ヒロシマとナガサキの原爆忌、終戦日を迎え、楽しい思い出だけに終始するわけにはいきません。ドイツのヴァイツゼッカー元大統領ではありませんが、過去の負の歴史に思いを馳せることも忘れたくないものです(07年8月5日コラム参照)。
 もっとも、戦争を経た方は忘れようにも忘れられないと思いますが、同じ年1929年に生まれ、ユダヤ人というだけでナチスの強制収容所に送られ、病気で亡くなった少女のことを思う句を紹介しておきます。

 八月やアンネ在りせばわが齢  戸塚啓(『鷹』2000年10月号) 
 

お盆休みについて

るり玉アザミ・トルコキキョウ・バラ③.JPG


 実店舗は、8月10日(日)~19日(火)の間、お盆休みとさせていただきます。
 この間、ネットショップは、月・火の定休日以外は通常どおり営業いたします。
 なお、13日(火)~17日(日)の製作・発送をご希望の方は、なるべく7日(木)までにご注文をお願いいたします。材料の都合上、急なご注文には対応できない場合もあります。ご了承くださいませ。

 写真は、今週の花。甘い色の組み合わせは趣味ではないのですが、花屋さんの都合です。
 青紫のまるいのがるり玉アザミ、ほかはピンクのバラとトルコキキョウ。背景には、剪定をかねてきいちごとヘデラ、アップルミントを使いました。
 剪定といえば、定休日にはラヴェンダーの刈り取り。営業日には作業ができず、見苦しいままですが、お赦しくださいませ。