
先日入荷したディンブラ(左)とルフナ(右)のミルクティーです。
前回の写真では水色(すいしょく=紅茶の色)の違いがはっきりしなかったため、今回は、自家用の、さつまいもと栗とアーモンドのタルトに合わせてみました。
1杯めの段階では、右手のルフナより赤茶色のディンブラの方が水色が濃いものの、だんだん2杯めになると、ルフナの方がタンニンが出て、色も黒っぽく濃くなります。味も濃くなりますが、渋味・苦味は出ません。
ディンブラも渋味・苦味が出ないので、それをいいことに紅茶を待っている間にほかのことを始めてしまい、ついつい淹れっぱなしにしてしまうのですが、カップに入れた紅茶にお湯を差したり、ミルクで濃さを調節すれば全く問題ありません。
お客さまにも「紅茶が濃ければ、カップの紅茶にお湯を差して味を調節してください」と言うと、怪訝な顔をされることがあります。実際、専用の「ホットウォータージャグ」というお湯差しもありますし、イギリスでは最初から紅茶と一緒にお湯も出されるようです。
しかし、私はロンドンに大学3年のときに行ったきりで、ホットチョコレートが美味しかったことはよく覚えているのですが、このようにして紅茶を飲んだ記憶がありません。またお湯がぬるいのも厭なので、イギリス式ではなく、紅茶が濃くなったときにお湯をお持ちしています。
ところで、イギリスでは、紅茶はミルクが先か?ミルクが後か?(ミルク・イン・ファーストか?ミルク・イン・アフターか?)と言う論争があったそうです。一見どちらでもいいような、大した違いもないような話ですが、2003年に英国王立化学協会が出した「完璧な紅茶のいれ方」10ヵ条には、「カップにまず先にミルクを注ぎ、続けて紅茶を注ぎ、おいしそうな色合いになるのを目指す」とあるそうです。
写真でも、先に入れておいた20ccほどのミルクに紅茶を注いでいますが、実際ミルクに紅茶を注ぐ方がミルクに紅茶がよく混ざり、甘い香りが立ちます。熱い紅茶にミルクを入れると、どうしてもミルクのたんぱく質が変質し、ミルクティーが少し重くなることがあります。しかし、ミルクに少しずつ紅茶を注げばたんぱく質が急激に熱せられることもなく、たんぱく質が変わりにくいようです。
ふだん私は淹れっぱなしの紅茶を電子レンジで温め、ミルクを後から入れて飲むことが多いので、たまにミルク・イン・ファーストで飲むとそのよさを実感します。ぜひ、一度、ミルク→紅茶の順で試してみてください。その際、牛乳はぜひ「低温殺菌牛乳」を。美味しいミルクティーには牛乳選びも大切です。
牛乳は脂肪分の多い少ないではなく、その製法こそがいちばんの味の決め手です。牛乳の殺菌方法には2種、120度~130度で2秒の超高温殺菌と、63度~65度で30分もしくは75度で15秒の低温殺菌とがありますが、牛乳のたんぱく質は75度で変質するので、牛乳本来の風味や飲み心地を味わうならば低温殺菌牛乳です。しかし、味よりも効率を追求する日本のメーカーの主流は超高温殺菌牛乳。ときに、変質したたんぱく質のせいで卵を茹ですぎてしまったときのような硫黄臭がするものがあります。
美味しいミルクティーは低温殺菌牛乳で。殺菌に時間がかかるので低温殺菌牛乳はどうしても値段が高めになりますが、風味が違います。先の王立化学協会の10ヵ条でも低温殺菌牛乳をすすめています。
なお、お客さまには、写真のミルクピッチャーに40ccほど入れてお出ししていますが、残っていることが多々あります。私としては全部使うくらいがミルクティーとしてちょうどいい、あるいは少し少ないかもしれないと思っています。残されたものは処分するしかないので、ぜひたっぷり使ってください。