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クロッカス

クロッカス09.3.16.JPG


 万(よろづ)出て肝心の芽のどれがどれ  吉沼等外(『鷹』2003年5月号)
 
 すでに福岡は桜が咲き始めたようですが、ここ仙台ではようやくと言うべきか、はやと言うべきか、梅が咲き始めました。
 この冬は暖冬を実感していますが、それでも当地の3月は静岡や東京の2月並み。まだまだ風は冷たいものの、例年3月下旬ごろ開花の梅が咲いていました。梅一輪と言うより、すでに二分咲き程度。
 気がつけば、生垣の根もとのクロッカスが蕾をつけていました。先週ようやくクロッカスの芽が出たところでしたが、水仙はまだ。1週間の間に水仙も芽を出しました。

 ところで、球根の芽=葉先は特徴があるので、何かすぐにわかりますが、種ものとなると私も自信がありません。草取りをしながら、自分が直に蒔いた種の芽なのか草なのか迷ってしまうこともありました。
 冒頭の句は、何種類か蒔いた種の芽が出たものの、さて…?という句。名札をつけておかないと迷ってしまう経験が誰にもあるかと思いますが、そんな誰もが経験するのに詠まれていないことを句にするのが作者の等外さんは非常に巧みでした。残念ながら、その等外さんも亡くなられたようです。
 
 クロッカスが咲き出すと、春は急速に足を速めて、沈丁花、辛夷、桜と続きます。
 現在、いちごのシュトロイゼルクーヒェンには長崎産の「さちのか」を使っていますが、桜のころからは仙台産のいちごに変わります。どんな世の中でも春が来ますね。

ミルクティーと牛乳の話

ディンブラとルフナのミルクティー.JPG


 先日入荷したディンブラ(左)とルフナ(右)のミルクティーです。
 前回の写真では水色(すいしょく=紅茶の色)の違いがはっきりしなかったため、今回は、自家用の、さつまいもと栗とアーモンドのタルトに合わせてみました。

 1杯めの段階では、右手のルフナより赤茶色のディンブラの方が水色が濃いものの、だんだん2杯めになると、ルフナの方がタンニンが出て、色も黒っぽく濃くなります。味も濃くなりますが、渋味・苦味は出ません。
 ディンブラも渋味・苦味が出ないので、それをいいことに紅茶を待っている間にほかのことを始めてしまい、ついつい淹れっぱなしにしてしまうのですが、カップに入れた紅茶にお湯を差したり、ミルクで濃さを調節すれば全く問題ありません。

 お客さまにも「紅茶が濃ければ、カップの紅茶にお湯を差して味を調節してください」と言うと、怪訝な顔をされることがあります。実際、専用の「ホットウォータージャグ」というお湯差しもありますし、イギリスでは最初から紅茶と一緒にお湯も出されるようです。
 しかし、私はロンドンに大学3年のときに行ったきりで、ホットチョコレートが美味しかったことはよく覚えているのですが、このようにして紅茶を飲んだ記憶がありません。またお湯がぬるいのも厭なので、イギリス式ではなく、紅茶が濃くなったときにお湯をお持ちしています。

 ところで、イギリスでは、紅茶はミルクが先か?ミルクが後か?(ミルク・イン・ファーストか?ミルク・イン・アフターか?)と言う論争があったそうです。一見どちらでもいいような、大した違いもないような話ですが、2003年に英国王立化学協会が出した「完璧な紅茶のいれ方」10ヵ条には、「カップにまず先にミルクを注ぎ、続けて紅茶を注ぎ、おいしそうな色合いになるのを目指す」とあるそうです。
 写真でも、先に入れておいた20ccほどのミルクに紅茶を注いでいますが、実際ミルクに紅茶を注ぐ方がミルクに紅茶がよく混ざり、甘い香りが立ちます。熱い紅茶にミルクを入れると、どうしてもミルクのたんぱく質が変質し、ミルクティーが少し重くなることがあります。しかし、ミルクに少しずつ紅茶を注げばたんぱく質が急激に熱せられることもなく、たんぱく質が変わりにくいようです。
 ふだん私は淹れっぱなしの紅茶を電子レンジで温め、ミルクを後から入れて飲むことが多いので、たまにミルク・イン・ファーストで飲むとそのよさを実感します。ぜひ、一度、ミルク→紅茶の順で試してみてください。その際、牛乳はぜひ「低温殺菌牛乳」を。美味しいミルクティーには牛乳選びも大切です。

 牛乳は脂肪分の多い少ないではなく、その製法こそがいちばんの味の決め手です。牛乳の殺菌方法には2種、120度~130度で2秒の超高温殺菌と、63度~65度で30分もしくは75度で15秒の低温殺菌とがありますが、牛乳のたんぱく質は75度で変質するので、牛乳本来の風味や飲み心地を味わうならば低温殺菌牛乳です。しかし、味よりも効率を追求する日本のメーカーの主流は超高温殺菌牛乳。ときに、変質したたんぱく質のせいで卵を茹ですぎてしまったときのような硫黄臭がするものがあります。
 美味しいミルクティーは低温殺菌牛乳で。殺菌に時間がかかるので低温殺菌牛乳はどうしても値段が高めになりますが、風味が違います。先の王立化学協会の10ヵ条でも低温殺菌牛乳をすすめています。

 なお、お客さまには、写真のミルクピッチャーに40ccほど入れてお出ししていますが、残っていることが多々あります。私としては全部使うくらいがミルクティーとしてちょうどいい、あるいは少し少ないかもしれないと思っています。残されたものは処分するしかないので、ぜひたっぷり使ってください。

クオリティーシーズンディンブラ入荷

ディンブラとルフナ09年3月入荷分.JPG


 ようやくクオリティーシーズンのディンブラが入荷しました。
 今年のものは、ウバに似た、と言ってもウバほどではありませんが、辛味のある香りがお湯を注ぐとさっと立ちのぼります。
 ディンブラは、1~2月がクオリティーシーズンとされていますが、どのシーズンでもハズレがなく、
 ミルクを入れても入れなくても美味しく、
 自分が出しゃばらないので、種々のお菓子に合わせられる、
 非常に優等生的な茶葉です。
 そのため、お客さまにはまずディンブラをお試しいただいていますが、
 さらにボディーのしっかりした、飲みごたえのある(タンニンの多い)ものがお好みならばルフナを、
 ディンブラよりもう少し飲みごたえがあって、辛口の香りがお好みであればウバを、
 あるいは、
 洋菓子に合わせたりミルクティーにはせず、食後や和菓子と一緒に楽しんだり、夏麦茶代わりのアイスティーにするならヌワラエリアをおすすめしています。

 きょうは、少し暖かくなったので、いつものケーゼクーヒェン(ベイクドチーズケーキ)ではなく、マスカルポーネを使ったレアチーズケーキを作り、赤いベリーのデザートRote Gruetzeローテ・グリュッツェをソースにして、ディンブラ(写真・右)と合わせてみました。
 定番のショコラーデンクーヒェン(チョコレートケーキ)にも、ホイップした生クリームに木いちご(ラズベリー)の香りの甘酸っぱいローテ・グリュッツェをアクセントに加え、ルフナ(写真・左)と合わせました。水色(すいしょく=紅茶の色)を確認してもらうため、ミルクは入れていませんが、ショコラーデンクーヒェンにはミルクティーです。
 ローテ・グリュッツェは、いちごや木いちご、さくらんぼなど赤いくだものを使ったデザートで、そのままいただきますが、このようにお菓子やヨーグルトのソースにしても美味しいものです(08.6.23コラム参照)。
 マスカルポーネは、ドイツのレシピ本を見ているとよく登場するので使ってみました。ドイツにはイタリア人も多く、イタリア料理の店やピザ店も多い影響か、あるいはドイツ人の太陽の国、イタリアへの憧れでしょうか。本によると、マスカルポーネは半分近くが脂肪分で、そのため非常に高カロリーとのこと。頻繁に使えるものではありませんが、隠し味に使ったりんごジュースとこのローテ・グリュッツェのおかげで、さっぱりいただけました。
 
 実店舗でディンブラ購入希望のお客さまは、ご面倒ですが、お電話(377-6166)にて予めご連絡くださいませ。

いちごとりんごのシュトロイゼルクーヒェンu.ディンブラ入荷予定

シュトロイゼルクーヒェンとミルクティー.JPG


 2月は「逃げる」の言葉どおり、きょうから早3月です。
 このところ暖かくなったり、寒が戻ったりと、春と冬とが拮抗しています。
 シュトロイゼルクーヒェンも、いちごのほか、体を温める作用のあるシナモンを生地に使ったりんごも焼きました。

 どちらもミルクティーや珈琲におすすめですが、きょうのミルクティーはウバとヌワラエリアのブレンド。
 ヌワラエリアは、ダージリンと同じく、ミルクを入れずに、そのまま緑茶と同じように食後や和菓子(例えば黒糖の羊羹にラム酒を少し刷毛で塗ったものに、砂糖を入れずにホイップした生クリームを添えたもの)と合わせるのがおすすめですが、ウバとブレンドしてみると、ミルクティーとして充分美味しくいただけます。もっとも、もともとヌワラエリアの水色(すいしょく)が薄いので、ミルクティーの色はディンブラやアッサムのように濃くはなりませんが。

 なぜ、わざわざこのようなブレンドにしたかと言うと、ディンブラの在庫切れのためです。
 お客さまに召し上がっていただく分は確保していますが、現在100g入の茶葉は入荷待ち。昨年は3月4日の入荷でしたが、今年は6日(金)の予定です。ご面倒ですが、茶葉の購入の際にも予めご連絡くださいませ(022-377-6166)。

 ところで、ドイツは珈琲大国と言われるとおり、朝のパンや午後のお茶もほとんど珈琲ですが、私は紅茶のお呼ばれもよく受けました。それは、日本人の私に気を使って、日本人はGruener Teeグリューナー・テー「緑茶」だけど、ないから、同じTeeテー「お茶」のSchwarzer Teeシュヴァルツァー・テー「黒茶」にしようと言う発想だったかもしれません。(ドイツ語では、紅のお茶ではなく、黒いお茶と言います!)
 しかし、何と言っても感動したのは、寒い日に、あつあつの焼りんごにアイスクリームを添えたものと、絞りたてのオレンジとコワントローを垂らした紅茶の香り高いおもてなしでした。また、私が住んでいたハイディーのところでは、夜おしゃべりするときに、紅茶にラム酒を落としたものが出てきたこともありましたが、紅茶と同時にリキュールにもよく親しんでいるからこそ出来ることでしょう。
 
 きょうは暖かい一日でしたが、明日はまた冬型の気圧配置とか。寒い夜少し口寂しいときなど、ラム酒を少し垂らしてお砂糖を入れた紅茶などもいいものです。