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9月12日の営業のお知らせu.りんごのタルト

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かねてお知らせのとおり、静岡への移転のため、実店舗の営業は9月13日(日)までご予約のみ、ネットショップは13日(日)までの製作・発送分と18日(金)の製作・発送分とさせていただいています。

 12日(土)の14:00~16:00は実店舗のお茶の営業をいたします。この時間であれば、ご予約のお客さま以外にもご利用いただけます。お気軽にどうぞ。
 ご用意できるお菓子は、いまのところ写真のりんごのタルトのほか、りんごのシュトロイゼルクーヒェンです。これ以外に何かシュトロイゼルクーヒェンを作るかもしれませんが、チーズケーキはご予約を受けたもののみです。ご了承くださいませ。
 そのほか、お持ち帰り用のお菓子として、マフィン、パウンドケーキ、クッキーを2種ずつご用意しています。

 りんごのタルトは、りんごに卵や生クリームのソースを加えたElsaesser Apfelkuchenアルザス風のりんごのタルトが好きでよく作るのですが、これは、きょうふっと思いついて作ってみたものです。
 口に入れると、まず下のタルト生地、そして上のシュトロイゼルとくるみのサクサク、香ばしい生地の間から、甘酸っぱいりんごとシナモン、バニラの風味が広がります。りんごはまだ紅玉がないので「つがる」。少し酸味に欠けるので、その分ルバーブを入れて酸味を出しました。もう少し砂糖を加えれば珈琲向きにもなりましたが、ほかのお菓子同様、紅茶向けの味です。
 実は、最近去年作ったりんごとバニラとシナモンのジャムを食べているのですが、これをジャムではなく、かるく煮るだけでタルトに入れたら美味しいだろうとパンを食べながら思いついたのです。
 焼きたてはサクサクでしたが、一晩寝かせるとしっとり、味が落ち着くと思います。

 ドイツにはりんごのKuchenがたくさん。そして、家庭の味としていちばん愛されているものですが、最もオーソドックスなApfelkuchenは06年9月19日のコラムに、アルザス風のりんごのタルトは07年12月23日付でご紹介しています。よろしければ、そちらもどうぞ。

アプリコットのシュトロイゼルクーヒェン

アプリコットのシュトロイゼルクーヒェン09.8.14.JPG


 きょうは、久しぶりに朝から夏空が広がりました。生き返る思いです。

 8月中旬~9月中旬まで旬のシュトロイゼルクーヒェンは、アプリコット。
 夏らしいお天気に合わせて、クロスもオレンジと黄色の花柄に掛け変えたら、ちょうどお菓子にぴったりでした。もちろん、甘酸っぱいアプリコットと香ばしい生地との組み合わせもぴったり。アプリコットの酸味でさっぱりしながらも、コクがある生地であっさりしすぎない、そんなお菓子です。

 しかし、そのままでは酸味が強いアプリコットは、くだものと言えば生で食べることが多く、手を加えて食べる習慣がない日本では、プルーンと同様、あまりなじみがないかもしれません。
 私も、ドイツで初めてアプリコットを口にしました。2番めに住んだハイディーの家の朝は、平日は数種類のライ麦パンをスライスしたものに1cmほどの厚さのバターかチーズを押さえつけるように塗り、更にその上にジャムを塗ったものと珈琲でしたが、何種類ものジャムが直径30cmほどのターンテーブルに並んで出てきました。(ちょうど、日本の家庭で漬物を何種類も並べるのと同じです。)そのなかに、メーフェンピックのアプリコットのジャムもあったのですが、クレー(クローバー)のはちみつやチョコレートスプレッド、ラズベリーのジャムと並んで大のお気に入りになりました。

 ちょうど、黄桃をひと回りふた回り小さくしたようなアプリコットは、黄桃にはない酸味があります。以前、いまの時期作っていた黄桃のシュトロイゼルクーヒェンは、暑い時期にはおとなしすぎ、何か物足りないような気がしましたが、アプリコットにしたら、酸味がある分、お菓子にメリハリが出ました。

 このように、庭のくだものなどをのせて焼いたお菓子は、ドイツの家庭の定番です。
 ぜひ、ディンブラと一緒にお試しください。アプリコットのよさがわかっていただけると思います。
 

お盆休みなしのお知らせu.家の話

ポストと玄関.JPG


 例年お盆前後に10日ほどお休みをいただいていますが、今年は特にお盆休みを設けません。
 月・火の定休日はお休みをいただきますが、それ以外、ネットショップは通常どおり営業いたします。
 実店舗もご予約をいただければ営業いたしますので、ご利用くださいませ。

 こちらは梅雨明けもまだと言うのに、一週間ほど前からアブラゼミに混じってツクツクボウシが鳴き始めていますが、今夜は虫(スイッチョン?)の声を聞きました。
 この声にもう9月のような感じさえしますが、セミや虫の鳴く時期が静岡や東京とは異なるのです。例えば、東京では8月も終わりに鳴くカナカナが7月上旬から鳴きます。また、ツクツクボウシと言えば、夏休みの宿題をさんざん怠けて悔やみながら片付けていると、逝く夏を惜しむかのようにさかんに鳴くものですが、夏が来る前に鳴かれるともう秋になってしまう、そんな淋しさを覚えます。
 
 庭の花は、9株のクチナシが代わる代わる咲き、蜜柑の花のような香りも混じった甘い香りを楽しませてくれていますが、コスモスまでまだ少し時間がかかります。そんな花のない時期に、6月に植えたコリウスが立派に成長してくれました。
 シソ科のコリウスは、やがて紫がかった青い小花を咲かせますが、もっぱら葉の色を楽しみます。ほかに、色は黄緑やショッキングピンクもあり、葉もぎざぎさのものや斑入りもあります。しかし、写真の玄関の扉によく合い、品もいいものとなると、どうしても黒みがかった赤のオーソドックスなタイプになります。  毎年同じコリウスなのでアレンジを変えますが、今年は、奥にシルバーの葉が好きなシロタエギク、手前に黄緑に赤が入った葉のモミジバゼラニウムを一緒に植えました。もっとも、コリウスの陰に隠れてしまっていますが、ゼラニウムも花を咲かせています。

 ついでながら、玄関の左手に見えるのがプルーンの木で、まだ実は5つとも無事です。支柱には、こぼれ種のナスタチウムもまだ花を咲かせてくれています。
 ヤツデの葉のようなものはキイチゴの葉ですが、レンガの脇にフィンランド製のポストがあります。容量とデザインともに満足のポストを探すのに苦労しましたが、ポストの支柱の曲線と西側のバラのアーチの曲線と、2つの共通の要素があるせいか家全体の統一感を壊すことなく、お客さまにも褒めていただけるポストです。

 家の外壁は、玄関の扉や黒の外灯、庭のタイルやレンガ、花の色に合う色を探した結果、白になりましたが、考えてみれば、ドイツで最初に住んだ、小学校の校長先生の家も白でした。また、2番目に住んだハイディーの家は、廃校になったレンガ造りの小学校の半分を購入しリフォームしたもの。家を作るときは全く意識していませんでしたが、出来上がってみると2つの要素が入ったものになっていました。
 ちなみに、ドアはドイツを旅行中に見かけた家のものをヒントに自分でデザインしたもの。既成のアルミのドアが木の家にはどうしても馴染まないので、これ以外も全てデザインし、オーダーしました。高気密・高断熱の機能も備えて、高いものでしたが非常に満足しています。
 いい技術や手仕事を守るには、やはり使う側が意識して選ぶしかありません。お菓子を作るにも手作り派の私としては、微力ながらその役に立てたことも嬉しく思っています。

プルーンの実②

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プルーンの実の写真に29日のものをアップしてしまいました。31日に撮ったこちらをご覧下さい。
 プルーンの花の写真は、4月のコラムにあります。

プルーンの実

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 プルーンの実が色づきました!
 6月の終わりごろだったか、プルーンの木やキイチゴ、アップルミントなどを植えている花壇に赤むらさきのプル-ンの小さな実が落ちているのに気がつき、見上げると、プルーンの葉っぱほどの大きさのあおい実が2つありました。いままで何個か落果は見たことがあったのですが、プルーンらしい大きさの実は初めて。今年こそは収穫したいと、水やりのたびに無事を確かめてきました。
 実の色は、先週くらいまでは変わりがなかったのですが、薄日ながらも晴れた翌日、29日の朝見上げると、赤みがかった実が4つ!何度も見ていたのに、葉の蔭に隠れるように生っていたもう2つに気がついていなかったのです。
 写真でおわかりいただけるでしょうか? 2つは簡単に見つかると思いますが、もう1つは右上の細い枝に、残りの1つは真ん中の太い枝からわかれている、左下の小枝にあります。
 そして、さらに1つ、写真には入らなかったのですが、右下に色づいたものがあったのに昨日気がつきました。全部で5個のプルーンです。

 ただ、収穫のタイミングがわからないので、とりあえずしばらくは見守ることにしますが、そのまま生で味を確かめたら、お菓子に使おうと、楽しみにしています。
 と言うのも、そもそもプルーンを植えたのは、純白の花を楽しむだけではなく、実を利用したいがため。日本では、プルーンの木自体庭で見かけることも稀で、プルーンと言えばもっぱらドライフルーツのもの、生のものをコンポートにしたりお菓子に焼き込んだりすることも稀だと思います。しかし、ドイツでは庭木としてよく植えられ、実もコンポートやお菓子に利用されています。プルーンのコンポートは小学校の給食や滞在していた家庭でもよく出されましたし、パン生地に生のプルーンを焼き込んだKuchenもよくいただいたものです。
 このZwetschgenkuchenツヴェッチゲンクーヒェンには、パン生地に焼き込んだタイプとタルト生地に焼き込んだタイプとがありますが、私はパン生地派。甘酸っぱいプルーンが生地によく合って、大好きでした。ところが日本では売られていない上、生のプルーンもあまり見かけないため、実も庭で調達して自分で作ろうと思っていたのです。
 今年は一部でも庭のプルーンを利用して、Zwetschgenkuchenを作ろうと思います。

 なお、小学館の『独和大辞典』でZwetschgenを引いても、「セイヨウスモモ、プラム」という説明で、「プルーン」とは書かれていませんが、これでは誤解が生じると思います。
 ふつう日本では、プラムは日本スモモを指し、「ソルダム」や「大石早生」、「太陽」などの生食用のタイプです。そのため、Zwetschgenkuchenをプラムケーキと訳すと、ソルダムなどを使って焼いたものと思われることもあるかと思いますが、実際は西洋スモモの一種であるプルーンを乾燥させずに生のまま焼いたお菓子です。
 子ども向けのドイツのおはなし『大どろぼうホッツェンプロッツ』に「プラムケーキ」なるものが出てきますが、おそらく、原文を読んでいないので正確な話ではありませんが、このZwetschgenkuchenのことだろうと思います。

 いままでプルーンは買うと、ほとんどジャムにしていました。ほんの少し黒みがかった赤い色が美しいジャムは、サイトの『お問い合わせ』のページに写真があります。クグロフ型で焼いたショコラーデンクーヒェンにホイップした生クリームをかけ、甘酸っぱいプルーンのジャムをアクセントに加えたもの。ジャムには、どことなく干し柿のような風味もあります。種も簡単に取れるので、あとは電子レンジにかけるだけでした。

 まずは、5つとも無事に収穫できますように。
 

さくらんぼのタルト

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 きょうは思いのほか晴れて、気温も上がり、アイスティーが嬉しい日になりました。
 写真のお菓子は、今朝焼いたさくらんぼのタルトです。

 ドイツではさくらんぼのお菓子も何種類かあり、私は写真のタルトのほか、シュトロイゼルクーヒェンをよく作りますが、お菓子屋さんで見かけるのは、チョコレートのスポンジ生地にさくらんぼのコンポートをはさみ、生クリームでデコレーションしたSchwarzwaelder Kirschtorte シュヴァルツヴェルダー キルシュトルテ。
 色も、生クリームの白にさくらんぼの赤、フレークにしたチョコレートとチョコレートのスポンジ生地の黒と魅力的ですが、私には大きすぎ、また重すぎて、初めて注文したときは残してしまったほど。以来、美味しいものもあるかもしれないと思いつつも、挑戦したことがありませんが、さくらんぼをパウンドケーキに似た生地に焼き込んだKuchenやチーズケーキなどは美味しくいただいています。

 さくらんぼのお菓子は、ドイツの作家ケストナー(1899~1974)の『エーミールと探偵たち』という、子ども向けの小説にも「ホイップクリームてんこもりのサクランボケーキ」なるものが出てきます。
 原文を読んでいないので、どのお菓子のことだろうとあれこれ想像していますが、「てんこもり」という訳からすると、写真のタルトでも生クリームでデコレーションしたシュヴァルツヴェルダーでもなく、パウンドケーキに似た生地のKirschkuchenキルシュクーヒェンか、チョコレート生地にさくらんぼを焼き込んだBrauner Kirschkuchenブラウナー キルシュクーヒェンにホイップした生クリームをたっぷり添えたものだろうと思います。
 ほかにも『エーミールと探偵たち』には「マルタおばさんのアップルケーキ」と訳されているものも出てきますが、これは私も毎年作るりんごのお菓子Apfelkuchenアプフェルクーヒェンと同じものだと思います(コラムに写真もあります)。

 この『エーミール…』に限らず、本のなかに出てくる食べ物や花、あるいは室内の描写など実際知っているといっそう内容が楽しめます。いつか、ドイツの小説に出てくるお菓子を紹介できればいいですね。 
 

サクラ咲く

サクラ咲く09.4.10.JPG


 西側の並木のサクラが咲きました。
 先日7日には蕾が膨らみ、遠目からも赤らんでいるのがわかるほどになっていましたが、どうやら昨日のうちに咲き始めたようです。この写真のサクラは7日と同じ木で、今朝の時点で2分咲き程度ですが、すでに昨日の夕方庭に出たときには満開のサクラが目に飛び込んできました。

 辛夷も、7日の時点では蕾がまだ固く、サクラより遅い花になりそうでしたが、7月上旬並みという昨日の暖かさ(23度)のせいで咲き始めていました。

 ところで、きょうはKarfreitag、嘆きの金曜日です。この日磔刑に処せられたイエスさまが日曜の夜明けに復活されたのを祝うのが復活祭です。
 しかし、ドイツでは、キリスト教の復活祭と春の復活を祝う土着の風習とが結びつき、復活祭には生命力の象徴としてウサギや卵のかたちのチョコレートが黄色い花々とともに賑やかに菓子店に並びます。また、小さな子どもがいる家庭では茹で卵に彩色をしたものを庭に隠しておき、子どもに探させたり、卵の飾りを掛けた枝を飾ったりします。この卵の飾りは、昔東京のゲーテ・インスティテュートに通っていたころも見かけました。

 以前、復活祭は春の到来を喜ぶ気持ちと一体になった感がありましたが、最近はドイツも暖かく、予報では私が住んでいたハノーファーもきょうは最高気温が24度とか。きょうも23度の予報の仙台と変わりません。復活祭の日曜日もハノーファーは、25度まで上がる予報です。
 サクラも一気に満開になりそうですね。

クオリティーシーズンディンブラ入荷

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 ようやくクオリティーシーズンのディンブラが入荷しました。
 今年のものは、ウバに似た、と言ってもウバほどではありませんが、辛味のある香りがお湯を注ぐとさっと立ちのぼります。
 ディンブラは、1~2月がクオリティーシーズンとされていますが、どのシーズンでもハズレがなく、
 ミルクを入れても入れなくても美味しく、
 自分が出しゃばらないので、種々のお菓子に合わせられる、
 非常に優等生的な茶葉です。
 そのため、お客さまにはまずディンブラをお試しいただいていますが、
 さらにボディーのしっかりした、飲みごたえのある(タンニンの多い)ものがお好みならばルフナを、
 ディンブラよりもう少し飲みごたえがあって、辛口の香りがお好みであればウバを、
 あるいは、
 洋菓子に合わせたりミルクティーにはせず、食後や和菓子と一緒に楽しんだり、夏麦茶代わりのアイスティーにするならヌワラエリアをおすすめしています。

 きょうは、少し暖かくなったので、いつものケーゼクーヒェン(ベイクドチーズケーキ)ではなく、マスカルポーネを使ったレアチーズケーキを作り、赤いベリーのデザートRote Gruetzeローテ・グリュッツェをソースにして、ディンブラ(写真・右)と合わせてみました。
 定番のショコラーデンクーヒェン(チョコレートケーキ)にも、ホイップした生クリームに木いちご(ラズベリー)の香りの甘酸っぱいローテ・グリュッツェをアクセントに加え、ルフナ(写真・左)と合わせました。水色(すいしょく=紅茶の色)を確認してもらうため、ミルクは入れていませんが、ショコラーデンクーヒェンにはミルクティーです。
 ローテ・グリュッツェは、いちごや木いちご、さくらんぼなど赤いくだものを使ったデザートで、そのままいただきますが、このようにお菓子やヨーグルトのソースにしても美味しいものです(08.6.23コラム参照)。
 マスカルポーネは、ドイツのレシピ本を見ているとよく登場するので使ってみました。ドイツにはイタリア人も多く、イタリア料理の店やピザ店も多い影響か、あるいはドイツ人の太陽の国、イタリアへの憧れでしょうか。本によると、マスカルポーネは半分近くが脂肪分で、そのため非常に高カロリーとのこと。頻繁に使えるものではありませんが、隠し味に使ったりんごジュースとこのローテ・グリュッツェのおかげで、さっぱりいただけました。
 
 実店舗でディンブラ購入希望のお客さまは、ご面倒ですが、お電話(377-6166)にて予めご連絡くださいませ。

いちごとりんごのシュトロイゼルクーヒェンu.ディンブラ入荷予定

シュトロイゼルクーヒェンとミルクティー.JPG


 2月は「逃げる」の言葉どおり、きょうから早3月です。
 このところ暖かくなったり、寒が戻ったりと、春と冬とが拮抗しています。
 シュトロイゼルクーヒェンも、いちごのほか、体を温める作用のあるシナモンを生地に使ったりんごも焼きました。

 どちらもミルクティーや珈琲におすすめですが、きょうのミルクティーはウバとヌワラエリアのブレンド。
 ヌワラエリアは、ダージリンと同じく、ミルクを入れずに、そのまま緑茶と同じように食後や和菓子(例えば黒糖の羊羹にラム酒を少し刷毛で塗ったものに、砂糖を入れずにホイップした生クリームを添えたもの)と合わせるのがおすすめですが、ウバとブレンドしてみると、ミルクティーとして充分美味しくいただけます。もっとも、もともとヌワラエリアの水色(すいしょく)が薄いので、ミルクティーの色はディンブラやアッサムのように濃くはなりませんが。

 なぜ、わざわざこのようなブレンドにしたかと言うと、ディンブラの在庫切れのためです。
 お客さまに召し上がっていただく分は確保していますが、現在100g入の茶葉は入荷待ち。昨年は3月4日の入荷でしたが、今年は6日(金)の予定です。ご面倒ですが、茶葉の購入の際にも予めご連絡くださいませ(022-377-6166)。

 ところで、ドイツは珈琲大国と言われるとおり、朝のパンや午後のお茶もほとんど珈琲ですが、私は紅茶のお呼ばれもよく受けました。それは、日本人の私に気を使って、日本人はGruener Teeグリューナー・テー「緑茶」だけど、ないから、同じTeeテー「お茶」のSchwarzer Teeシュヴァルツァー・テー「黒茶」にしようと言う発想だったかもしれません。(ドイツ語では、紅のお茶ではなく、黒いお茶と言います!)
 しかし、何と言っても感動したのは、寒い日に、あつあつの焼りんごにアイスクリームを添えたものと、絞りたてのオレンジとコワントローを垂らした紅茶の香り高いおもてなしでした。また、私が住んでいたハイディーのところでは、夜おしゃべりするときに、紅茶にラム酒を落としたものが出てきたこともありましたが、紅茶と同時にリキュールにもよく親しんでいるからこそ出来ることでしょう。
 
 きょうは暖かい一日でしたが、明日はまた冬型の気圧配置とか。寒い夜少し口寂しいときなど、ラム酒を少し垂らしてお砂糖を入れた紅茶などもいいものです。

薔薇の月曜日と薔薇のお菓子

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 ドイツではきょうがRosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日。
 Aschermittwochアッシャーミットヴォッホ、灰の水曜日(今年は2月25日)から始まる四旬節(荒野で40日間断食をしたイエスさまに倣い、復活祭の前日まで、節制と回心とに努める期間)を前に、盛大に飲み食いするのがカーニヴァルですが、カトリックの地域で山車のパレードがあるのが、だいたいこのRosen-montagです。
 ケルンやマインツなど大規模なパレードが行われる街では見物客でごった返し、仮装パーティーなどもありますが、プロテスタントでは何も行われないようです。私がいたハノーファーもプロテスタントの街だったので、街自体は普段どおり。しかし、カトリックの小学校では子どもも先生もみな仮装して登校し、授業もなし。クイズやゲームで、Faschingファッシング(ハノーファーではKarnevalではなくふつうファッシング)を楽しみました。
 
 このカーニヴァルにちなむお菓子のひとつに、Berlinerベルリーナー(あるいはKrapfenクラップフェン)と言う、なかにジャムが入ったドーナッツがありますが、私にとってベルリーナーは特にカーニヴァルのお菓子でもなく、初めてパン屋さんに行って、知らないものだらけの中、唯一知っているお菓子でした。揚げパンがある!ドイツ人ばかりの中で心細く思っていたところ知っている人に出くわしたような、そんな心強い思いにさせてくれました。
 もっとも、形はあんドーナッツやカレーパンと同じですが、中は当然異なり、アプリコットかラズベリーのジャムです。カーニヴァルの時期に限らず、寒い時期にはどこのパン屋さんにもありますが、1種類しか置いてなくても何のジャムが入っているのか特に書かれていることもありません。アプリコットかラズベリーかは、地域的なものなのか、店による違いなのか、そこまではわかりません。

 Rosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日のきょうは懐かしいベルリーナーとしたかったところですが、油を使うのを避け、Mohnモーン、けしの実のペーストをくるくる巻いたものとシナモンロールとで、Rosenkuchenローゼンクーヒェンを作りました。
 渦巻き状のパンはSchneckeシュネッケ(かたつむり)とも言い、例えばけしの実ペーストを巻いたものはMohnschneckeモーンシュネッケと言いますが、きょうは、丸型にロール状のパンを焼いたものを薔薇のクーヒェンRosenkuchenとも呼ぶことから、ローゼンクーヒェンをモーンで作ったというわけです。実際、薔薇の月曜日と薔薇のクーヒェンはカーニヴァルには全く関係ありません。単なる連想です。

 ところで、けしの実は、餡ぱんのヘソに付いていることがありますが、それ以外日本では馴染みがないかもしれません。ドイツやオーストリアでは、天板に広げたパン生地の上に塗り、さらにシュトロイゼルをふって焼いたり、パウンドケーキに入れたり、溶かしバターとグラニュー糖と混ぜてゲルムクネーデル(パン生地を揚げずに茹でたもの)にかけたり…、とさまざまに使われます。香ばしい風味や形の点でも、胡麻に近いものです。
 シナモンロールは、頑張って25分も捏ねた甲斐があったと言うもの。形は違いますが、元旦に『かもめ食堂』を見て以来の念願がようやく叶いました。
 

雪のクリスマス

雪のモミの木08.12.26.JPG


 きょう26日は、ドイツではクリスマス2日めの祝日。
 仙台では、思いがけず雪のクリスマスweisse Weihnachtenヴァイセ・ヴァイナハテンです。
 と言うのも、サンタクロースとそのプレゼントを待つ日本のクリスマスでは、24日の夜でクリスマス気分はあっさり終わりなのでしょうが、ドイツではクリスマスは25日26日が祝日。1月6日のHeilige Drei Koenige三王礼拝の日まで、ツリーなどもそのままです。

 ところで、きょうの雪は朝になるまで全く気がつきませんでした。最近は新聞・テレビを見る暇がなく、雪になるのも全く知らずに、きょうのお約束のショコラーデンクーヒェンを徹夜で作っていたのです。確かに日付が変わるころから風が強まり、雨が叩きつけるような音がしていましたが、それが雪だったとは!白々と明るくなって初めて気がつきましたが、厨房はオーブンのお蔭で暖かく、チョコレートの香りに充ちて、徹夜も苦にはなりませんでした。

 なお、年内のお菓子の製作・発送は28日の日曜日まで。もうひと頑張りです。

いちごのシュトロイゼルクーヒェン

いちごのシュトロイゼルクーヒェンとアドヴェンツクランツ①.JPG


 11月から12月にかけて、旬のシュトロイゼルクーヒェンは紅玉を使ったシナモン風味のタイプですが、クリスマス用にも作成しています。また、ご希望のお客さまには「Merry Christmas」のプレートをサービスしています(14日コラム参照)が、写真のお問い合わせがありました。どうぞ参考になさってください。

 このいちごのシュトロイゼルクーヒェンは、直径18cmタイプ。プレートは、ヨコ6.3cm×タテ2cmですが、写真ではわかりにくいかもしれません。実は、何度かコントラストをつけてわかりやすくするため、粉砂糖をふったのですが、いちごの果汁に溶けてわからなくなってしまいました。

 ところで、ドイツでもいちごは生でお菓子に使うのがふつうで、お菓子屋さんに並ぶのはシーズンのみ。私も、カスタードクリームの上に生のいちごがごろごろ9個ものったパイが大好きですが、主婦としては、経済性と日持ち重視、りんごやさくらんぼなどいろいろなくだもののシュトロイゼルクーヒェンがあるなら、いちごもあっていいはず!と思って作り始めたオリジナルです。ドイツでもふつうはないと思います。

 このシュトロイゼルクーヒェンのいいところは、生の状態でいただくには少し物足りないような甘さのいちごでも、シュトロイゼルとホワイトチョコレート、バニラのおかげで美味しくいただけること。酸味も少なくなるので、ミルクティーだけでなく珈琲にも合うようになります。また、ホイップした生クリームと一緒にいただくといっそう美味しくなります。

 寒いとき、いちごの赤は目にも暖か。しかし、いちごのシュトロイゼルクーヒェンは、クリスマスが過ぎたらお休みです。いま出回っているいちごも旬のものではありませんが、旬以外のものを使うのをなるべく避けるためです。
 なお、旬のシュトロイゼルクーヒェンは2月中旬までりんご(紅玉)ですが、それ以後も紅玉があれば作ることができます。
 
 お菓子にも季節感を大事したいものです。

アマリリスとポインセチア

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今週の花は、ピンクのクロスに合わせて、同じ色のガーベラを主役にしました。ほかにマーガレットや千日紅、レモン色の小花のキクを使いましたが、背景は真ん中にモミの枝を置き、ヒムロスギ、ハイマツ、ギンコウバイ、ヘデラ、赤のドラセナとボリュームいっぱいです。
 ほんとうは、ガーベラではなく赤のアマリリスかリューカデンドロンが欲しかったのですが、なかったための次善の策です。

 アマリリスも季語にあり、今のいままでポインセチアと同じように冬の季語だとばっかり思っていましたが、確認すると夏の季語。道理で花屋さんにもないわけです。
 しかし、アマリリスは最初にお世話になったドイツのお宅の私の部屋にずっとアドヴェントからクリスマスにかけて置かれていたので、もう20年来私にとってはクリスマスの花でした。太い茎のてっぺんに百合に似た花が3つ。白やピンクもあるようですが、部屋にあったのは、黒みがかった赤。この時期のドイツは、学校に着いて8時半すぎにようやく明るくなり、15時をすぎるともう暗くなります。しかし、日中も晴れずに空は鉛色のことが多いので、アドヴェンツクランツの蝋燭の火やアマリリスの赤い花に救われる思いでした。
 なお、アマリリスは、ドイツ語でもAmaryllis、ラテン語の羊飼いの少女の名に由来するようですが、ポインセチアはWeihnachtsstern、「クリスマスの星」の意です。赤やクリーム色の葉のかたちはまさに星ですが、その名前と姿に大方のドイツ人は、イエスさま御生誕を告げる星を連想するのか、ドイツでもアドヴェントからクリスマスにかけてよく見られます。
 私もポインセチアは大好きですが、仙台では2度も寒さで枯らしてしまいました。

 せっかくなので、歳時記からポインセチアの句をひとつ。

 寝化粧の鏡にポインセチア燃ゆ 小路智壽子

クリスマスのお菓子および年内の営業について

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 アドヴェントも3回めの日曜日。
 クリスマスももうすぐですが、お客さまから「クリスマスケーキ」のお問い合わせをいただきました。
 いまの時期、アドヴェント用のシュトレンは製作していますが、いわゆるクリスマスケーキ=生のいちごがのったデコレーションケーキはお作りしていません。
 何しろ、ドイツの家庭でふだんのお茶にいただく手作りのお菓子Kuchenに感動して作り始めたものを皆さまにも…と始めたので、お店で売られているようなデコレーションケーキTorteは私は作っていませんが、ドイツの家庭では、誕生日やクリスマスのメインの食事のデザートなど特別なときにはTorteを作ります。

 ただ、お客さまに少し手を加えていただければクリスマスケーキのようになるものもあります。
 例えば、チーズケーキおよびシュトロイゼルクーヒェンには、ゴールド色の「MERRY CHRISTMAS」のプラスチックのプレートは用意しています。通信欄に「クリスマスプレート」希望の旨、記入していただければ同梱いたします。

 しかし、チーズケーキには、そのプレートを挿しただけでは物足りないので、お客さまにはいちごなどを用意していただき、デコレーションしていただければよいかと思います。
 もっとも、いちごはデコレーションには華やかでいいのですが、チーズケーキと一緒に生のいちごを口に入れてもあまり美味しいものではないと思います。あくまでも、いちごはデコレーションと割り切った方がいいと思いますが、味としてはトップページの写真のようないちごのソースをかければお菓子との一体感が出て、美味しくいただけます。作り方も、いちごに砂糖とレモンを加えて電子レンジにかけるだけ。ソースですので、煮詰める必要はありません。

 シュトロイゼルクーヒェンは、旬のものは現在「りんご」ですが、ご希望であれば「いちご」も可能です。必ず、通信欄に「クリスマス用いちご」を希望の旨を明記してください。プレートを同梱いたします。
 いちごは、いちごジャムを作ったことがあればおわかりのように、火を通すと甘みが増し、甘い香りも濃くなります。いちごの上にシュトロイゼルをふって焼きますが、いちごの存在感はあるので、プレートだけでも充分かと思います。ただ、味に関しては、砂糖を入れずにホイップした生クリームと一緒にいただくのがドイツ流かつベストです。生クリームは、ホールのお菓子に絞り出すよりは、お菓子を切り分けてから、添えた方が美味しくいただけます。

 年内の営業は、
 実店舗は21日でお休みですが、
 ネットショップの発送や実店舗でのお菓子の受け渡しは、本来定休日ですが、22日(月)および23日(火)も行うことにいたしました。23日(火)、24日(水)のお届けが可能です。どうぞ、ご利用くださいませ。

 なお、シュトレンは、クリスマス=イエスさま御生誕を待つアドヴェントにいただくもの。ドイツでも家庭によって違いはありますが、少なくとも、サンタクロースを待ちながらクリスマスイヴにクリスマスケーキをいただくのとは異なります。
 大半のお客さまには宗教的違いもあることと思いますが、そのような背景を知ったうえで召し上がっていただければ…と思います。何しろ、中に入っているのが保存性の高いドライフルーツなので、お菓子も非常に保存がきくのです。
 以前、自家製のシュトレンを1年後に食べたら美味しかったという話を聞いたことがありましたが、実際私のシュトレンも1年もったのです!大きな声では言えませんが、先日、堆くなった本の山を意を決して整理したところ、エージレス用の袋に私の食べかけのシュトレンが出てきました。袋はエージレス用でも封は切ってあるのでその効果も期待できませんし、保存に気を使っていたわけでもありません。少ないとは言え夏には30度を越す日もありましたが、鼻で確かめても大丈夫だったので口に入れたところ、しっとり美味しくいただけました。運がよかっただけかもしれないので、賞味期限は長くは書けませんが…。
 このように日持ちのするお菓子ですので、常備のお菓子としておすすめです。

 気忙しい時期ですが、どうぞ、お茶でほっと一息を。
写真は、今年のリースです。サンキライの蔓を利用して作りました。

年末の営業およびシュトレンのサービスについて

 年末は、
 ネットショップは12月28日(日)まで通常どおり(水)~(日)の営業ですが、
 実店舗は12月20日(土)まで(木)・(金)・(土)の営業とさせていただきます。(水)および(日)はご予約のみです。アドヴェント第4日曜の21日は、ご予約いただいた場合のみ営業いたします。
 勝手ながら、ご了承くださいませ。

 シュトレンのサービスについては、一般のお申し込みは7日(日)に終了させていただきました。
 こちらからご案内のカードをお送りしたお客さまにかぎり、12日(金)までお申し込みを受け付けています。どうぞ、ご遠慮なく、お申し込みくださいませ。

 先のアドヴェンツクランツの稿にてふれた小学校には、「日本語および日本の文化・暮らしを紹介する」という目的で派遣されていました。
 それがいまでは逆に、「ドイツの暮らしを紹介する」ことを目的に、このモミの木を営業しています。
 例えば、クリスマスひとつとってもキリスト教国ドイツと日本は迎え方が違いますし、アメリカとも異なりますが、ときどき、ヨーロッパの国々もすべてアメリカと同じサンタクロースのクリスマスと思っている方がいらして、アメリカ以外の国のことが意外に知られていないと驚くことがあります。
 また、ドイツから帰ってきて日本でシュトレンを見つけたときには大喜びしましたが、買ってみるとどれもこれも私が食べていたものとは違うものばかり。入っているドライフルーツが違ったり、入っていなかったものが入っていたり…と違和感がありました。
 挙句の果てに、シュトレンも、日本の家庭でクリスマスイヴにクリスマスケーキを食べるように、24日の夜にだけいただくものだと思っていらした方に遭遇し、ものの背景が全く伝わっていないことを実感しました。
 とは言え、シュトレンはまだまだ知名度が低く、名前と味と由来などがそろって知られているとは言えません。そこで、関心がある方に差し上げることにしたのです。
 4周年の記念と感謝でもありますが、誰かに頼まれたわけでもないのに「ドイツの暮らしを紹介する」のが目的です。実際召し上がっていただけたら幸いです。どうぞ、ご遠慮なく。
 

アドヴェンツクランツ

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 アドヴェント(待降節)も2週めに入り、灯す蝋燭も2本。
 玄関のリースに使ったモミの枝が余ったので、テーブルのアドヴェンツクランツにも少し枝を足しました。
 枝を足したところ、蝋燭を間に置くスペースがとれなくなり、このように真ん中に置くことにしました。
 赤い山帰来(サンキライ)の実と紫がかった黒いコクリュウの実に、ハイビャクシンの枝、ヘデラとモミの枝です。

 手前の写真は、以前いたハノーファーのカトリックの小学校でのもの。
 ちょうどアドヴェント2週のときで、モミの枝のアドヴェンツクランツには手前の赤い蝋燭が2本点いています。2本のうち1本はアドヴェント1週めに灯したもので、すでに親指半分ほどの長さになっていますが、それ以外にも2本蝋燭が灯されていて、ちょうど朝のホームルームの終わりに蝋燭を消すところです。
 炎を消しているブロンドの男の子は、ポーランド出身のペーター。
 ベルリンの壁の崩壊する前の年のアドヴェントでした。

クリスマスの天使

クリスマスの本・天使①.JPG


 先週の花は薔薇を使っていたので、歳時記で「冬薔薇」を調べると、ふだん見ない歳時記に草田男の「冬薔薇(そうび)石の天使に石の羽根」という例句が載っていました。
 季語の冬薔薇は、冬に咲く薔薇のことで、先週の花のような温室栽培のものはいいません。そのため花の写真と一緒に草田男の句を紹介するのはやめたのですが、さて、日本で冬に薔薇が咲いているところで目にすることができる石の彫刻の天使とは…と考えても具体的に思い浮かばないのです。
 私にとって、天使はまず、フラ・アンジェリコや修業時代のダ・ヴィンチの描いた受胎告知の天使ガブリエルであり、違和感があるがために印象的なデューラーの『メランコリア』の頬杖をついた逞しい体つきの天使、あるいはランスの大聖堂の『微笑みの天使』やリーメンシュナイダーの聖母昇天の天使のほか、クレーのスケッチしたあまたの天使です。これらは、デューラーとクレーの天使は別にして、みな聖母と一緒に存在する天使です。また、キリスト教では薔薇が聖母を表すことを考えれば、受胎告知のガブリエルか聖母昇天の天使が考えられますが、聖母の像もあれば天使ではなく聖母を詠むと思います。
 天使単独の石の彫像は、ヨーロッパに行けば広場や橋の欄干や宮殿などにあるものの、教会以外の場所にある天使はだいたいキリスト教の天使とは異なる、勝利の女神やプットーなどです。
 そもそも、そのような天使像は日本ではほとんど見かけないと思いますし、カトリックの信者の家族を持つ草田男が異教的な天使を詠むのか疑問にも思います。
 こう考えて、どんな天使がどんな場所に置かれているのか、わからなくなってしまったのです。最初は、小春の暖かい日差しを受けて咲く薔薇に囲まれて、石の彫像の天使が見え、その石の羽根がぐっとクローズアップされたところまで見えたのですが、どんな天使かわからないがために、落ち着かなくなってしまいました。どなたかご教示いただければ、有難いのですが。

 ところで、写真はすべてドイツで買ったクリスマスの本です。
 日本では大半の方が「クリスマスはいい子にしていたらサンタさんにプレゼントをもらえる日」という認識だということに、お店を始めていろいろな方と接しているうちにやっと気がつきましたが、クリスマスの絵本もそれを如実に表し、あるとき見た新聞一面の絵本広告でもサンタクロースのものばかりでイエス生誕の絵本はわずか1冊でした。
 しかし、ドイツはキリスト教国なので、クリスマスの本と言えばイエス生誕の本です。ほかにアドヴェントやクリスマスに歌う歌を集めたものや、クリスマスの思い出などのエッセーや詩、小説などのアンソロジーなど大人が楽しめるものも多くあります。
 このイエス生誕に関しては、天使が野で夜を明かしていた羊飼いたちの前に現れ、御生誕を告げる場面があります。ちょうど写真手前に開いたのがその場面です。また、手前左の本の表紙絵にも生まれたばかりのイエスさまが眠る厩(うまや)の上に天使が描かれていますが、羊飼いを導いてきた天使だと思います。
 このように御生誕を祝うキリスト教のクリスマスに天使は欠かせません。
 以前にも書きましたが、カトリックが多い南ドイツのヴァイナハツマルクト(クリスマスの市)に行くと、クリスマスの品々を商う露店に混じって、厩での御生誕の様子を大きな人形などで表したクリッペがあります。クリッペでも、天使は飼い葉桶に寝かされたイエスさまの上に見られます。

 私が持っている天使像は3体。このコラムやシュトレンの写真に写っていますが、どれも大切な思い出のものです。
 

シュトレンサービス・補足

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 シュトレンのサービスの補足ですが、勝手ながら、お1人さまにつき1回かぎりとさせていただきます。
 お届けは、クロネコヤマトのメール便で、
 東北6県と群馬県、栃木県、茨城県および新潟県は3日め配達、
 そのほかは4日め配達になります。

 ご参考までに、シュトレンまるごと1本をのせたトレーは、外寸175m×300mです。
 
 今年のアドヴェンツクランツは、グリーンのほかは、サンキライとコクリュウの実を使いました。写真ではわかりにくいので、どうぞ実店舗にて実物をご覧くださいませ。

 なお、実店舗では、ホールのお菓子は用意していますが、この時期はドライフルーツのパウンドケーキやショコラーデンクーヒェン、およびマフィンは、ご予約がないかぎり用意していません(ご希望の場合は予めご連絡くださいませ)。シュトレンの製作に時間がかかるためです。どうぞ、ご容赦くださいませ。

シュトレンのサービス

シュトレン08.11.27③.JPG


 いよいよ今度の日曜11月30日からAdventアドヴェント(待降節)が始まります。
 すでに何度か触れたとおり、アドヴェントとは、クリスマスの4回前の日曜から始まるクリスマスの準備期間として教会によって定められています。
 日本では、クリスマスを「いい子にしていたら、サンタさんにプレゼントをもらえる日」と思っていらっしゃる方が大半のようですが、キリスト教国ドイツでは「イエスさま御生誕を祝う日」。その日を迎えるために物心両面の準備をするのがアドヴェントなのです。

 そのアドヴェントにかかせないのが、Stollenシュトレン。パン生地にレーズンなどのドライフルーツを混ぜて焼いたものに粉砂糖をまぶしたお菓子。そのかたちは、プロテスタントのことはわかりませんが、カトリックの家庭では「白いおくるみに包まれた赤子のイエスさま」と言われています。
 そのため大きなものは30cm以上もありますが、いずれも薄く(1cm弱)スライスしていただきます。

 私がいたハノーファーのカトリックの家庭では、アドヴェントの間毎日のようにお茶にいただきましたが、なかにはクリスマスの直前に作り、クリスマスになってからようやく食べるという家庭もあるようです。
 ドイツは地方色豊かなうえ、カトリックかプロテスタントかでも違いがありますし、個々の家庭の違いもあります。私がいた家庭では、クリスマスのお祝いの食事のデザートには、チョコレートのデコレーションケーキをいただき、シュトレンはその後食卓に上りませんでした。
 いずれにしても、サンタクロースの到来を待って、真冬のクリスマスイヴにいちごのデコレーションケーキを食べる日本の大半の家庭とは異なります。少なくともシュトレンは、日本の家庭のようにクリスマスイヴにだけ口にするものではありません。
 シュトレンは、余れば、あるいはあえて余分に用意して春先の復活祭のときに食べる家庭もあります。なかに入っているものがドライフルーツで、生のくだものを使っていないので、しっかりラップで包んで涼しいところに置けば日持ちがするのです。

 なお、私の作るシュトレンは、ハノーファーのカトリックの家庭で毎日のように食していた味に近いもの。スパイスやアーモンドを入れたものもありますが、そのどちらも使わない、ドライフルーツのみのオーソドックスなタイプです。
 と言うのも、アドヴェントには、シュトレンのほか、レープクーヘンやシュペクラーツィウス、シナモンの星型クッキーやバニラの三日月型クッキーなどさまざまなスパイスをきかせたクッキーがありますが、毎日のシュトレンにもスパイスが効いていると、どうしても少々過剰な感が否めません。シンプルなればこそ、毎日食べても飽きないと思います。

 シュトレン1本の大きさは、おおよそ縦・横25cm~28cm×14cm~16cm。発酵具合によって、縦・横の長さや高さが変わります。
 1本の重さは、約735g。
 販売は、1枚ずつスライスしたもの、1本を3分の1にカットしたもの、およびまるごと1本の3サイズです。
 3分の1本、およびまるごと1本のタイプは、スライスしてお召し上がりください。
 値段については、後日お知らせいたします。

 現在、4周年記念のサービスとして、ネットショップをご覧のご希望の方に、スライスしたシュトレン1枚をサービスしています。
 ご希望の方は、住所、メールアドレス、お名前を明記の上、メールにてお申し込みくださいませ。
 受付は、12月7日(日)までです。
 実店舗では、12月6日(土)まで、シュトレン1.5枚840円(税込)のところ、735円(税込)にてサービスしています。シュトレンのスライスをご希望の場合は、必ずメールにてお申し込みください。実店舗では、スライスの受け渡しは行いませんので、ご注意ください。
 発送は、味がなじみ食べごろになり次第。エージレスを入れてパックしたものをメール便にてお送りいたします。
 また、12月7日までにネットショップにてお買い上げのお客さまにも同様のサービスを行っています。
 この機会にぜひ、お試しくださいませ。

シュトレン

シュトレン①08.11.8.JPG


 西側の山の黄葉はこれからですが、立冬を前にぐっと冷え込みました。
 体感温度からすると、もう12月も半ばのような気分ですが、シュトレンを作ったり、リースやアドヴェントクランツの材料を探したり…と、クリスマスの準備というより、まずアドヴェントの準備の時期になりました。

 アドヴェントとは、キリスト教で定められた、クリスマスの前に、物心ともにクリスマスの準備をする期間ですが、それが始まるのがクリスマスの4回前の日曜日。今年は、アドヴェントの第1日曜が11月30日です。
 シュトレンは、「おくるみに包まれた赤子のイエスさま」を模したもので、この間写真のようにスライスしたものをお茶にいただきます。中にはレーズンのほか、レモンピールとオレンジピールが入っていますが、ドライフルーツがなじみ、美味しくなるまで少々時間がかかるため、もう作り始めなければならないのです。
 ちなみに、ドイツでは、クリスマスの品々を売るヴァイナハツマルクトという市やモミの木が教会や市庁舎の前の広場に立てられるのもだいたいアドヴェントの始まる前の金曜日からです。日本のように、世俗的な理由でやみくもにクリスマス商戦を始めているわけでも、サンタクロースの到来を待っているわけでもありません。イエスさまご生誕を祝うためなのです。

 ところで、シュトレンを作るのは去年が初めてで、恐る恐るでしたが、作ってみて、シュトレンが古くから作り続けられている理由がわかりました。
 もちろん、シュトレンには宗教的な理由がありますが、非常に作りやすく、保存が効くという実用的な利点があるのです。いくら祝い事にかかせないと言っても、作り方が難しければいつしか敬遠されてしまうものですが、発酵に時間がかかる以外、難しいこともありませんでした。

 なお、アドヴェントの時期、ドイツではシュトレン以外にさまざまなクッキーも焼かれますが、シナモンやカルダモン、ナツメグなどが入ったスパイシーなものです。シュトレンにもこのようなスパイスを使ったものもありますが、私が作るのはスパイスを使わないオーソドックスなタイプ。私がドイツの家庭で食べていたのもこちらでした。
 スパイスを使ったものはたまにいただくにはいいものですが、アドヴェントの時期毎日のようにいただくには向きません。例えば、炊き込みごはんも美味ですが、毎日となると白いごはんの方がいいものです。それと同じように、スパイスを使っていないものの方が飽きが来ません。そもそも、カルダモンやナツメグは食べ馴れていない方も多いようです。

 そのため、まずは、レーズンとレモンピール、オレンジピールだけのオーソドックスなシュトレンをご紹介
しています。
 このシュトレンにご興味がある方にサンプルを差し上げたいと思います。1ピースですがエージレスを入れて包装したものを、下旬ごろからご注文品に同梱するか、メール便にてお届けいたします。ご希望の方は、メールにてお名前、ご住所、メールアドレスとその旨をお書きくださいませ。受付は12月7日(日)までです。
 このプレゼントは、4周年の記念でもあります。ご遠慮なくどうぞ!
  
 最後になりましたが、Stollenのドイツ語の発音はシュトレン。伸ばしません。

残暑お見舞い申し上げます

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 夏痩せて嫌ひなものは嫌ひなり  三橋鷹女(1899年~1972年)

 新聞を見ると、去年ほどではないようですが、残暑が続いているようです。ここ仙台では、8月に入って真夏日になったのも5日のみ、夏空もちらっと拝めた日も含めて数日ほどなので、残暑の実感もありませんが、夏バテなどなさっていらっしゃらないでしょうか?お見舞い申し上げます。
 もともとここはお盆をすぎれば涼しくなる土地ですが、今年は夏らしい日も続かぬうちに秋になってしまいそうで、私も夏痩せの心配がありません。もっとも、『赤毛のアン』を読んだころの念願どおり手作りのお菓子で毎日のようにお茶をしていますが、学生のころから体型も変わらず、きょうのお茶は思い立って白玉です。

 白玉は、粉に水を入れてまとめ、茹でて冷やすだけ。餡さえあればすぐにいただけます。きょうは、少し残っていたローテ・グリュッツェで甘い餡に酸味を加えました。
 紅茶は、水出ししたヌワラエリアのアイスティーです。水500ccを5gほどのヌワラエリアに注ぎ、室温に数時間。その後茶葉を漉して、冷蔵庫で冷やすだけの手間要らず。
 ヌワラエリアは、緑茶と同じく、お湯で煎れた場合ポットに茶葉が残っていると苦味が出ますが、水出ししたものを漉して冷やせば苦味が出ず、非常にすっきりした味を楽しめます。もともと中国の茶の木をスリランカの高地に植えたものなので、アッサムの茶の木を植えたディンブラやウバなどのほかのスリランカの紅茶とは違い、中国茶やほうじ茶に近い風味です。そのため、和菓子や和食に緑茶がわりにぴったりなのです。

 ところで、冒頭の句の鷹女は、明治生まれですが、主に戦前戦後にかけて「この樹登らば鬼女となるべし夕紅葉」「絶壁に月を捕へし捕虫網」など独自の世界を築きました。夏痩せの句も直接は、嫌いなものは痩せようがどうなろうが絶対厭だ、という内容ですが、食べ物にかぎらず、自分の信念を曲げることを嫌った鷹女の生き方が表れていると思います。

 しかし、鷹女が嫌いといって口にしなかったものは何だったのでしょうか。
 私の場合、匂いが強いものが苦手で、ビールやワインに合わない酸味のある副菜や、いくら食べても満足感が得られないあっさりしたものもあまり好きではありません。
 例えば、大葉やバジル、タイムは好きですが、セロリ、茗荷、春菊、ラプサンスーチョン(正露丸のような臭いの中国産の紅茶)、キャラウェイシードは苦手。どれも食べられなくても困るものではありませんが、キャラウェイシードは、ドイツの南部に行くとザワークラウトやライ麦パンによく入れられています。有難いことに、私がいたハノーファーではふらっと入ったパン屋さんでも小学校の給食や家庭でもそのようなものに遭遇したことはありませんでしたが、もしキャラウェイシード入りのライ麦パンなど食べさせられていたら、いまごろこんなことはしていないと思います。
 もともと、あっさりしたものをたくさん食べるより、しっかりしたものを少しいただく方を選ぶ。刺身より鰻、そうめんより蕎麦という好みのせいか、夏バテ知らずで体型も変化なしなのです。

 なお、俳句では立秋が過ぎ、初秋の句を紹介すべきところでした。「夏痩せ」という季語ばかりでなく、白玉もアイスティーも夏の季語。
 実際はまだまだ冷たいものが嬉しい日が続くと思いますが、冷たいものばかりでは食欲不振を招き、夏バテの原因になります。みなさま、どうぞご自愛くださいませ。

赤毛のアン

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 暮れし森ひとり歩くも帰省かな  寺内幸子(『鷹』2000年10月号)

 今年は『赤毛のアン』が刊行されて100年とのこと。
 先日出版されたアンの訳者・村岡花子さんの評伝『アンのゆりかご』を読んでから、久しぶりにアンを再読。さらに別の訳の読み比べまでしてしまいました。
 思えば、高校の合格発表後の春休みにシリーズを読破したころには、グリーン・ゲイブルズのまわりの木々や花も具体的にどんなものかわからず、ただ漠然と緑の固まりを想像していたにすぎず、マリラの作るお菓子も、身近なものばかりではありませんでした。しかし、お茶に手作りのお菓子があるのが羨ましく、将来は自分でお茶に手作りのお菓子を用意できるようになりたいと思ったものです。そんな憧れの暮らしが食べ物に期待しないで行ったドイツにあり、思いがけずお菓子を作るようになったのですが、当時は本に出てきたお菓子は『赤毛のアンのお料理ノート』(写真・左)を眺めてよしとしていました。

 今回村岡訳以外のものも読んでみて、いちばんしっくり来たのは松本侑子さん訳の集英社のもの。最初に読んだ村岡訳のイメージを壊すことなく、とてもいい日本語だと思います。別のものは、100年前の物語というより、いまのアメリカの翻訳小説という感が拭えず、先を読む気になれませんでした。もっとも、集英社文庫の表紙はタイトルの文字が太く、大きすぎて、うるさい気がしますが…。 

 ところで、冒頭の句は、作者がアン・シャーリーであってもおかしくないような句だと思いませんか。先日戸塚啓さんの「八月やアンネ在りせばわが齢」を確認していたところ、偶然目に留まったもの。地味な句かもしれませんが、ちょうどアンを再読した後だったので、アンがクィーン学院を卒業して帰ってきた6月の場面を思い浮かべてしまいました。
 この句の季語は、帰省。夏休みの帰郷を指します。森は蝉が鳴くクヌギやコナラの里山のようなところでしょうか。日が落ちてしまったのに、まだ大丈夫とうす暗い森に向かうのは、若き日の作者か、あるいは作者が待っていた帰省した身内か。私には、森に向かう子を見送りながら、作者が自分も若いときは同じだったことを思い出し、深く共感する気持ちが「帰省かな」に表れているような気がします。
 というのも、私もドイツに行くと、森に散歩に行きたくなってしまうせいかもしれません。日本では森というと山にでも行かなければなりませんが、ドイツでは森は郊外だけでなく街の真ん中にあることもあります。平坦で歩きやすく、週末は冬でも森に散歩に行くほど。非常に身近な存在なのです。(この身近かで親しい森の存在が、早くからドイツ人を環境保護に駆り立てているのだと思います。)

 写真は、残念ながら、夏の森のものがありません。
 写真中央は、村岡花子さん評伝の『アンのゆりかご』。村岡さんとアンとの出会いのほか、英語を身につけたミッション・スクールや柳原白蓮などとの広い交友関係、アンの訳以外の様々な仕事について書かれています。

 夏休み、カナダの自然を思いながらアンを読むもよし、帰省して散歩がかなう森があればなおよし。
 夏休みも後半ですが、楽しく健やかな夏休みをお祈りしています。
 なお、当店は、ネットショップは通常どおり、定休日の月・火以外は営業いたしております。
 実店舗は、8月10日(日)~19日(火)までお休みです。お間違いありませんように。

盛夏

ユリノキ(東博)08.7.26②.JPG


 牛五頭一緑蔭を頒ち合ふ  浅井 多紀(『鷹』2000年10月号)

 きょうはようやく夏らしい快晴の朝を迎えました。東北地方では3連休初日の19日梅雨明け宣言がありましたが、翌日からずっと梅雨空。青空に映えるユリノキもほんとうに久しぶりでした。
 西側の公園のユリノキは黄葉の写真でも紹介していますが、高さはあるものの、まだまだ若木。窓から見ると幹の太さは両手で摑めるくらいしかなく、強風で梢のあたりが1~2mもしなるときは心配になるほどです。

 冒頭の句の緑蔭は何の木かわかりませんが、緑蔭に憩う牛のほか、まわりの牧草や遠くの山々、さらには気持ちよく晴れ渡った夏空など、高原の牧場の景が浮かんできます。
 一方、写真のユリノキは、先月上野の東博に『対決―巨匠たちの日本美術』展を見に行ったときのもの。空は白っぽく、ベンチの人たちも少々ぐったり気味ですが、ユリノキはどっしりとして幹は2人がかりでかかえても足りないほど。これなら、牛も5頭以上入れそうです。

 ところで、きょうはヒグラシとアブラゼミの声に混じって、ツクツクボウシの声が聞こえました。
 静岡ではツクツクボウシが鳴くのは、夏休みも終わるころ、自分の怠惰を後悔しつつ宿題を片付けているとき。また、こちらにはシャンシャン威勢よく鳴くクマゼミもいません。そのせいで、やっと夏の朝を迎えたという日に、夏が終わる淋しい気分になってしまいました。

 とまれ、8月は、ヒロシマとナガサキの原爆忌、終戦日を迎え、楽しい思い出だけに終始するわけにはいきません。ドイツのヴァイツゼッカー元大統領ではありませんが、過去の負の歴史に思いを馳せることも忘れたくないものです(07年8月5日コラム参照)。
 もっとも、戦争を経た方は忘れようにも忘れられないと思いますが、同じ年1929年に生まれ、ユダヤ人というだけでナチスの強制収容所に送られ、病気で亡くなった少女のことを思う句を紹介しておきます。

 八月やアンネ在りせばわが齢  戸塚啓(『鷹』2000年10月号) 
 

きいちごとヒグラシ

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 きょう夕方涼しくなるのを待って、きいちごの収穫をしました!
 しかも、今年初めてのヒグラシの声を聞きながら、です。

 南側に植えたきいちごは去年の夏の収穫後始末し、生き残った雄株のみ。すべて西側の花壇のものですが、空梅雨のおかげで、容器いっぱい227gの収穫がありました。
 この写真で区別がつくか心許ないのですが、赤の濃淡がおわかりいただけるでしょうか?黒っぽいものが完熟で、抓めばほろっと芯からはずれます。一方、まだ赤々しているものは本来もう少し待ちたいところですが、うかうかしていると熟しすぎて落ちてしまうので、早めに摘んでしまったもの。色はいいのですが、酸味があります。
 
 いずれにしても、これでローテ・グリュッツェRote Gruetze(6月23日コラム参照)を作るのが楽しみ。先日のBSフジ『大使館の食卓』はドイツ大使のおもてなしのランチでしたが、デザートはローテ・グリュツェをヨーグルトにあえたものでした。

赤い実のデザート<ローテ・グリュッツェ>

ローテ・グリュッツェ.JPG


 先日まで10日ほど晴れの日が続いていましたが、東北地方も19日梅雨入りとのこと。
 遅ればせながら、梅雨のお見舞いを申し上げます。 

 梅雨の蒸し蒸しした時期に嬉しいのが、このRote Gruezeローテ・グリュッツェ。いちごやきいちご(ラズベリー)、さくらんぼなどの赤い実をさっと煮てとろみをつけて冷やしたもので、それぞれの甘みと酸味に香りが素敵に溶け合った、甘酸っぱいデザートです。
 
 加える赤い実によって味と香りが変わりますが、今回はいちごときいちご、さくらんぼとブルーベリーのほか、庭のワイルドストロベリーも少し入れました。
 きいちごは味はいいものの、庭に植えると縦横無尽にはびこって後悔のもと。しかし、ワイルドストロベリーはきいちごほどの繁殖力はなく、こぼれた種からできた株が何も肥料も与えていないのにプランターのなかで成長し、甘い実をつけてくれたのです。お蔭さまで鳥や虫の犠牲にもならず、近くを通ると甘い香りが漂っていたほど。味は酸味が少なく、山葡萄を思わせるような甘さです。

 モミの木では通常ランチの後には飲み物と相性のよい何かしらのKuchenをお出していますが、ドイツでは食後はKuchenよりも、くだもののコンポートやアイスクリームのほか、このローテ・グリュッツェやチョコレートのムースなどのような口解けがよく胃に負担のかからないデザートをいただくことの方が多いものです。
 そのため、夏季にはゼリーやプリン、市販のバニラアイスに自家製のソースをかけたものをお出しすることがありますが、残念ながらこのローテ・グリュッツェはいつもあるとはかぎりません。

 ローテ・グリュッツェは、このようにそのままいただくのもよし、ホイップした生クリームを添えたり、アイスクリームやワッフルなどのソースとしていただくのも美味です。
 昨年庭のきいちごについて書いたコラム(07年10月13日)でも触れていますが、ドイツに行く機会があればぜひ試してください。私はドイツではデザートはローテ・グリュッツェと決めています。市販のカップデザートもハノーファーにはありますが、先ほど念のため独和大辞典をひくと、『(方)果汁入りプディング(赤色でデザート用)』と説明がありました。方言のようなので他の地域では別の表現かもしれませんが、私は何と言うのかわかりません。そもそも、北ドイツ以外にもあるのかどうかわかりませんが、ぜひ探してみてください。
 なお、この辞書の説明で写真のようなものが想像できるのかわかりませんが、ふつうはプディングのように固められたものではありませんし、果汁よりもくだものの方がずっと多く、何よりドイツではもっと大きなカップで出されます、念のため。
 

パウンドケーキ①

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 先日贈り物用に箱入りのパウンドケーキのご注文をいただきました。
 パウンドケーキ類は時間があるときに作るだけなので必ずしも店頭にあるわけではないのですが、1枚ずつカットしたものにエージレスを入れて小売りしています。このようにカットしないものもご用意できますので、ご希望の方は予めご連絡くださいませ。

 写真は、Fruechtekuchenフリュヒテクーヒェン、ドライフルーツとくるみのパウンドケーキです。
 冬の間は生地よりもドライフルーツをたっぷり入れ、シナモンの香りも加えた食べごたえのあるタイプを作りますが、いまの時期はオーソドックスな配合で、シナモンも入れていません。

 家族揃ってのお茶が大切にされているドイツでは、お菓子も家で作りますが、主役は季節のくだものを焼きこんだKuchen。しかし、生のくだものを使わないパウンドケーキは日持ちがいいので、脇役ながらもよく常備されています。この日持ちのする点や甘さがあるところ、また古くから作られてきたことや大人向けということから、言うなれば、日本の羊羹のようなお菓子でしょうか。
 定番は、ドライフルーツのパウンドケーキやレモンのすりおろしを入れたものですが、このようなパウンド型ではなく直径26cm前後のクグロフ型やエンゼル型で焼かれることが多いと思います。私も火の通りのよさとその形からクグロフ型で焼く方が好きなのですが、やむなくラッピングしやすいパウンド型で作っています。

 1本の重さは、約400g。だいたい9カット分です。
 お値段はドライフルーツのパウンドケーキ、バターたっぷりパウンドケーキとも1本、1,470円(税込)。
 箱入りで1,680円(税込)です(カットする手間がかからないので、その分お求めやすくしています)。
 飲み物は、珈琲、紅茶どちらにもおすすめです。また、ダージリンと合わせてもおいしくいただけますが、飲み物にはまず砂糖を入れずにお試しくださいませ。

 ネットショップでご希望のお客さまは、現在パウンドケーキ専用の買い物かごがありませんので、かわりにラッピングなしの場合は「旬のシュトロイゼルクーヒェン」、箱入りの場合は「ケーゼクーヒェン(チーズケーキ)直径12cmタイプ」をクリックし、必ず通信欄に「ドライフルーツのパウンドケーキ」「バターたっぷりパウンドケーキ」とご記入ください。

 ラッピングは、次の写真を参考にどうぞ。
 

シュトロイゼルクーヒェンについて

シュトロイゼルクーヒェン2種②.JPG


 現在ネットショップでご注文を受けている旬のシュトロイゼルクーヒェンは、5月中旬まで「いちご」ですが、それ以降でもいちごが入手できれば作ることができます。
 いちごをご希望の場合、どうぞお問い合わせくださいませ。

 また、実店舗では、ネットショップの旬のシュトロイゼルクーヒェン以外のものも製作しています。いまの時期よく作るのはアプリコットやブルーベリーです。特にブルーベリーにふりかけたレモン汁が、私の頭痛によく効くので、頭が痛いときにはよく作っています。

 今回実店舗のお客さまにいちごとブルーベリーのシュトロイゼルクーヒェンをそれぞれ4カットずつご注文をいただきました。
 ネットショップご利用のお客さまからも、2種のシュトロイゼルクーヒェン4カットずつのご希望があれば対応が可能です。写真のシュトロイゼルクーヒェンは、直径18cmの焼型で焼いたものを1/8ずつにカットしたものですが、直径18cmの半分、4カットがちょうど直径12cm1ホールに相当します。

 お値段は、2種のシュトロイゼルクーヒェン4カットずつで税抜2,800円(税込2,940円)です。
 賞味期限は、刃を入れるためホールのものより短くなり、翌日配達区域で到着日を含め3日間、翌々日配達区域は到着日を含め2日間です。

 2種4カットずつご希望の場合は、直径18cmを1ホールご注文いただき、通信欄にご希望を記入くださいませ。
 可能な組み合わせは以下のとおりですが、バナナのシュトロイゼルクーヒェンは他と大きく風味が異なるため、直径12cmか直径18cmのホールにてご注文をお願いいたします。
 *いちごとブルーベリー(5月末ごろまで)
 *いちごとアプリコット(同上)
 *さくらんぼとブルーベリー(6月ごろ~7月中ごろまで)
 *さくらんぼとアプリコット(同上)
 *アプリコットとブルーベリー

 なお、ドイツでシュトロイゼルクーヒェンと言えば、りんごや生のプルーン、アプリコットのほか、けしの実が定番かと思いますが、バナナといちごは全く当店のオリジナルです。
 ドイツのいちごのお菓子と言うと、タルト生地にカスタードクリームを敷き、その上にごろごろ生のいちごが乗ったものが私の大好物。あるとき、あんまり気前よくいちごが乗っているので数えてみると、大きなものが8つもありました!
 この時期ドイツに行かれる方、ぜひとも、ホワイトアスパラガス(シュパーゲル)といちごのタルトをお試しください。ほんとうにおすすめです。

 最後になりましたが、このシュトロイゼルクーヒェンは、タルトではなく、まわりにタルト生地も使っていません。くだものが上に乗っているせいか、写真ではタルトのように見えるらしいのですが、生地も一般的にタルト生地のなかに敷くものとは違います、念のため。

パイカウツギの蕾

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 頁の上みどり走りて植田過ぐ  細谷ふみを(『鷹』1999年9月号)


 サクラの早かった今年は、クロッカスや水仙などほかのものも花が早いようです。
 西側の窓辺のバイカウツギも、例年5月の終わりから6月初めにかけてが花の時期ですが、すっかり緑が濃くなり、蕾が目立つようになりました。

 もしかしたら来週あたり花が見られるかもしれませんが、花はまだでも窓辺や壁がみどりがかって見えるほど。このバイカウツギのみどりを目にするたび、冒頭の句が浮かぶのです。
 東京を離れる列車。窓側に座って本を開いていると、ページの上にさっとみどりが流れていく。それまで並んでいた家々が途切れたのでしょう。ぱっと明るくなって、本から目を上げると、いちめんの植田。
 そんな景も東京からかなり離れないとなかなか見られません。私が育った静岡でも、田んぼは網の目を塗りつぶすように宅地に変わり、東海道線に乗って田んぼが見えるところも限られています。
 小さいころは田んぼに水が入るとカエルの卵やおたまじゃくしばかり探していたので、記憶に残っていたのは、稲や植田全体の眺めよりも、墨の色をした田の土の色や植田を流れるさざなみばかり。最近田植えが終わった田んぼを見たこともなかったので、はたして、まだ幼い稲が植わったばかりの、すかすかの田んぼが緑に見えるのだろうか、そう思っていたところ、偶然、田植えが終わったばかりの田んぼが緑に広がるのをテレビで見て、掲句に納得しました。

 ところで、以前にも触れましたが、すぐ近くに田んぼがあります。坂を下った土地なので全く見えませんが、今年も連休中田植えが行われたようで、庭でも西の小山のウグイスの鳴き声とともにカエルの声が聞こえてきます。
 心していれば、居ながらにして十分自然が楽しめるところです。帰り際、ほんの少し耳を澄ませてみてください。ホトトギスの声も聞こえるかもしれません。

 なお、窓辺に置いているのは、ドイツで買ったブラートアプフェル、焼りんごを作るときりんごを入れる器です。私はもう一つ、フリースラント製の茶色のタイプも持っていますが、これを窓辺に置いているときは「りんごのお菓子あります」というしるし。りんごを焼くと汁気が出て、焼型が汚れるので、どちらのブラートアプフェルも使っていません。
 よその洋菓子店であればいちごが大事なのでしょうが、私にとってドイツのふだん家で焼いていただくお菓子と言ったら、何と言ってもりんごのお菓子。いくら日本のフジで作ってもゴリゴリした食感と味のせいで美味しくありませんが、やわらかで、風味・酸味のある紅玉で作ると非常に美味しいものです。
 紅玉がもうすぐなくなるので、このブラートアプフェルもそろそろ仕舞う時期です。いちごも「さちのか」がなくなって、いまは「とちおとめ」でシュトロイゼルクーヒェンを作っています。しかし、もうすぐさくらんぼの時期。佐藤錦でお菓子は作りませんが、アメリカンチェリーが楽しみです。

春惜しむ

ルバーブのジャム2種.JPG


 パンにバタたつぷりつけて春惜しむ  久保田万太郎(1889~1963)


 ようやくルバーブのジャムを作りました。
 この時期ドイツで出回るルバーブは、フキのように茎をいただく植物。しかし、フキのような独特の香りはなく、そのままでは酸っぱいので、赤みがかった茎は筋をとりざくざく切って、コンポートやジャムに煮るのです。
 ジャムはルバーブだけで作ることもありますが、酸味のあるくだものを合わせるのも美味しいものです。
 今回は、りんごと煮て最後にカルヴァドスで香りをつけたもの(写真左)といちごと一緒に煮たもの(写真右)です。

 写真のパンは、カイザーゼンメル。半分に切ったものにクリームチーズを少し塗っていますが、ドイツ人ならば、これでもかと言うほど分厚いバターをパンに押しつけるように塗りつけていただくはずです。冒頭の句の「たっぷり」とはせいぜい写真ほどの量だと思いますが、ドイツ人のバターの量と言ったら日本人の常識をはるかに超え、厚さも1cm近くはありそうなくらいです。
 ときどき、ドイツの家庭でも、旅行で泊まったホテルのようなイングリッシュスタイルの朝食だと思っている方がいらっしゃいますが、平日はパンにバターを「たっぷり」塗りつけたものにジャムやはちみつなどを塗っていただくだけです。それ以外は飲み物だけで、まれに半熟卵やヨーグルトが加わりますが、ホテルと家庭が違うのはドイツも日本も同じ。エネルギーはバターからとると言わんばかりにバターは食べますが、朝からハム・ソーセージは週末のブランチ以外は滅多にいただきません。

 パンは、ふだんは買い置きのライ麦パンのかたまりをその都度家でスライスしていただきます。カイザーゼンメルなどプチパンはパン屋が近くにあれば毎朝買いに行きますが、私が2軒目にお世話になった家では週末のみ。ライ麦パンは日本人では苦手な方もいらっしゃいますが、その酸味がジャムやハムの味を惹きたて、チョコレートスプレッドとの相性のよさも日本の食パンとは比べものになりません。また、薄いライ麦パンの腹持ちのよさも驚くほどです。
 なお、ライ麦パンはふつうトーストしません。トーストするとバターが溶けて、べたべたになり、バターが美味しくなくなります。トーストしないパンにバターをたっぷり塗って食べていると、パンはバターの土台のような気がしてきますが、ドイツのバターは無塩の発酵バターで、日本の一般的なバターとは味も香りも違います。

 冒頭の句は、ハルピンのロシア料理店での作だそうです。ロシアでもライ麦パンを食べるようですが、このパンはどんなものだったのでしょうか。とまれ、この句の特殊な状況に囚われない方が、春を惜しむにはよいと思います。
 と言うのも、朝寝が気持ちのいい春も終わりのころ、ゆっくり起きて、外の緑を眺めながら、ゆったりパンと飲み物を楽しむ。鳥のさえずりも聞こえてくるでしょうが、昼食か夕食に訪れたロシア料理店では、にぎにぎしく、どうしても関心が料理や会話に行ってしまい、ゆったり行く春を惜しむのは難しいような気がします。

 最後に、春を惜しむ句をもうひとつ。
 
 おもひきり怠けて春を惜しみけり  武田新一(藤田湘子『男の俳句 女の俳句』)

 怠けるにもいろいろで、朝寝を楽しむのも、さえずりに誘われて歩くのも、あるいは物思いにふけったり、好きなことに気のすむまで現をぬかすのも怠けることになるでしょうか。おもいきり怠けて春を惜しむ、俳人らしくて思わず破顔一笑ですが、春を惜しむにはいちばんかもしれません。
 
 5日は立夏なので、暦どおりに春を惜しむのも難しいことですが、連休後半、どうぞ楽しくお過ごしくださいませ。

 

春の暮

夕景2種③.JPG


 旅終へしごとく書肆(しょし)出づ春の暮  内海守 (藤田湘子『男の俳句 女の俳句』) 


 最近ようやく夕方も暖かくなり、発送のお菓子を出すまでの間、西側の小山に日が沈むのを眺めながら花に水をやったり花柄を摘んでいます。

 季節の移り変わりは、寒い暑いだけでなく、日の長い短いでも感じるものですが、春の季語には「日永(ひなが)」「遅日(ちじつ)」という、日がながくなり、日暮れが遅くなったことを表す季語のほか、春の夕方も「春夕(ゆうべ)」「春の暮」という季語になっています。
 例えば、会社を出るとき、とっぷりと暮れて寒かったのが、日があるうちに地下鉄に乗れるようになるとそれだけで嬉しいものです。私なども、寒い間はひたすら早く帰ろうと思っていたのが、日が伸びて暖かくなると、渋谷で乗ってもまっすぐ帰らず、銀座の教文館か日本橋の丸善に寄り道ということがよくありました。本屋さんを後にするときの満足感と名残惜しさは、まさに旅を終えたときの気分です。

 ただ、本屋さんもいろいろで、人文書が少なく実用書と娯楽本ばかりのホームセンターのような作りの店ややたら量ばかり多い店では、先のような感慨には至らないものです。
 ドイツにも、ハノーファーやローテンブルク、ニュルンベルクに好きな本屋さんがあって、それぞれ大きすぎず小さすぎず、人文書と美術書が充実しています。日本ではあまり紹介されていない画家の画集を見つけて、どきどきしながらページをめくっているとあっという間に時間が過ぎてしまったものですが、ドイツでは3月になると夕方が長くなるので、長居をしてからも明るい道を帰ることができます。

 写真左の画集は、東山魁夷さんの個展が89年春ベルリンで行われたときのカタログです。
 左ページの『夕べの聖堂』という作品には、芽吹き始めたマロニエの枝の向こうに淡い朱色とピンクに染まった空とリンブルクの大聖堂が描かれています。マロニエの芽が開き始めた、ちょうど今ごろのながい夕暮です。
 一方、右の小さな画集は、ノルデ。北海に浮かぶ北フリースラントの夕景を描いたものですが、大地が黒々としているところを見ると春まだ浅い時期のようです。
 北フリースラントの島々と私が住んでいたハノーファーの郊外はだいぶ地形が違うと思いますが、いまでも中世の三圃制の名残で街や村は教会を中心に集まり、耕地は城壁の外に集約されているので、郊外に出ると、ちょうどこの絵のように畑が連なっているのです。もっとも、畑は東側に広がり、西には森があるので夕日は森に沈みますが、冬は学校に着いて8時を過ぎないと昇らない太陽が、春先には学校に行くころ畑の地平線の向こうから昇るのです。地平線の向こうから昇る日と沈む日の違いこそあれ、この絵には懐かしさでいっぱいになります。

 いま近代美術館で開催中の東山魁夷展には行けそうになく、まだ壁があったころベルリンで見た東山魁夷展のカタログで、我慢するほかありません。しかし、帰途ベルリンの空港に向かう途中見た夕空は、モネのルーアンの大聖堂の連作のように、ふわっとかるいピンクに暖かい赤みが差し、それは美しいものでした。こんなに美しい夕焼けは東京では見れまい、そう思ってよしとしています。

『おいしいスイーツの事典』掲載のお知らせu.お菓子の表記について

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 ご紹介が遅くなりましたが、成美堂出版発行の『おいしいスイーツの事典』にモミの木のKaesekuchen(チーズケーキ)の写真が16ページに掲載されています。写真の下に店名は記されていませんが、巻末に撮影協力店として、Teestube TANNENBAUM モミの木の正式名で載せていただいています。

 この本は、事典の名のとおり、ヨーロッパばかりでなく、一部ですがアジアの国々の代表的なお菓子がカラー写真とともに、その特徴や名前の由来などが紹介されています。そのほか、お菓子材料の説明もあって、一般の方には「へぇ~」な話が盛りだくさんだと思います。
 また、クッキーやショートケーキ、カスタードプリンなど、お馴染みのお菓子の作り方も載っています。実際作ってみたわけではありませんが、レシピを見ると、ふつうのお菓子作りの本で紹介されているものよりワンランク上のもの。作業ごとに写真もあるので、どの程度の状態にすればよいかがわかります。レシピの数は11種のみですが、初心者にもわかりやすい作りなのにレシピは上等、おまけに税込1,260円はほんとうにお値打ちだと思います。

 ただ、残念なのは、ドイツ語のお菓子に関しては、表記に間違いが見られること。発音問題は、ネイティヴなりドイツ語の専門家に確認すれば避けられるので、非常に残念です。巻末に多くの参考文献が掲載されていますが、誤ったものを参考にしてしまうと間違いの連鎖になります。特に『事典』であるならば、次に参考にされる機会が多くなるはず。それだけに、基本的な表記の確認は大事にしてほしかったと思います。
 ざっと見たところ、Zimtsternツィムトシュテルンが「ツィー」と伸ばす表記になっていたり、Stollenシュトレンを「トー」と伸ばしていたり…。お菓子の起源は必ずしも記憶に残るものではありませんが、名前はどうしても残るもの。日本語にないものは、ぜひ原語に近い表記で覚えてほしい、広まってほしいと思うのです。
 以前シュトレンの稿で説明したとおり、原則としてドイツ語の発音では、子音が1つだけのときはその前の母音を伸ばしますが、子音が2つ以上続く場合の母音は伸ばさないのです。そのため、ツィムトシュテルンもシュトレンもわざわざ途中で伸ばす必要は全くありません。

 ちなみに、ツィムトシュテルンは、ツィムト=シナモンが効いた星=シュテルン型のクッキー。本では触れられていませんが、星は、イエスさま誕生の折、その真上にひときわ大きな星が輝き、人々にそのご生誕を知らせたという故事にちなむもの。クリスマスの前のアドヴェントの時期になると星のオブジェを窓辺に飾ったり、ツリーにつけるほか、このようなお菓子を焼いたりするので、私はドイツ・オーストリアのクリスマスのお菓子だと思っていましたが、本によると、スイスの<バーゼルのクリスマスのクッキー>だそうです。何冊かドイツ(語)のクリスマスの本を見ても、ツィムトシュテルンがバーゼルのクリスマスのお菓子だという記述は目にしたことがありません。
 シュトレンについては、間違って伸ばす表記の方を多く目にするくらいなので、伸ばすのか否か疑問にも思われなかったかもしれません。おそろしいことに、知らない方は、伸ばすのが正しいと思ってらっしゃるかもしれません。発音については、上記の原則どおりです(私はドイツ語の専門家ではありませんが、経歴を見ていただければ、この程度のことは信用していただけると思います)。 
 また、その説明に<ドイツ語で「棒」の意>とありますが、Stollenシュトレンに棒の意味はありません。少し似たStockシュトックには棒の意味がありますが、シュトレンと棒を関連付けた話も聞きません。もっとも、私はカトリックの知人しかいないので、シュトレンは「白いおくるみにくるまれたイエスさま」をかたどったものという話しか知りませんが、偶像崇拝を否定したプロテスタントでは違うのでしょうか。
 本の説明では、<日曜日ごとにひと切れずつ食べながらクリスマスを待ちます>とあるのも、私がカトリックの家庭で体験したこととは違います。アドヴェントの時期には、日曜日ごとにひと切れなどとケチなことは言わず、毎日のようにいただくのです。それも、2枚3枚です。プロテスタントの家庭はカトリックよりもストイックな暮らしだそうですが、最近は昔ほどではなくなったと聞きます。むしろ、日曜日ごとひと切れの家庭は少ないと思いますが、いかがでしょうか。
 せっかく当店のお菓子を掲載していただいた本に申し訳ないのですが、ドイツ語をかじったことがあればどうしても疑問に思うことだと思います。

 なお、バウムクーヘンやクランツクーヘンなどは、この『おいしいスイーツの事典』のようにクーヘンの表記が正解です。モミの木では、サイトでお断りしているように、あえてKuchenをクーヒェンと表記しています。実際お客さまと接していると、Kuchenの発音を知らないがため「くうへん」「食う変」と発音されてしまうことが多く、ネガティヴなイメージが売り物のお菓子に付いてしまうのを避けるための手段です。
 これについては、06年9月4日のコラム『「ヒェン」か「ヘン」か?Kuchenのカタカナ表記について』で詳しく記しています。ご興味があれば、そちらもどうぞ。

 いずれにせよ、この『事典』は、手頃な値段でたくさんのお菓子を知るにはもってこいです。また、お菓子は色が大事ですが、珍しいお菓子もすべてカラーなのは嬉しいことです。
 仙台市内の書店では、平積みになっているところもありました。お菓子を作らない方も、ぜひ一度お手に取ってみてください。おすすめです。

ラッピング

ショコラーデンクーヒェン・ラッピング①.JPG


 ショコラーデンクーヒェンのラッピング例です。
 バレンタインデーの贈り物に限らず、誕生日などのプレゼントでリボンが必要な場合は、通信欄にご記入ください。
 袋の大きさにより、2~4個ずつであればこのようなラッピングが可能ですが、1個ずつの場合は、紙袋とさせていただき、リボンのサービスはありません。

 なにぶん、モミの木のお菓子は、Kuchenの名のとおりすべてデコレーションのないお菓子。自宅でのお茶に気軽に楽しんでいただくものです。
 日本では洋菓子は自宅用よりお使い物の方が多いかもしれませんが、ドイツではお菓子もパンと同様自分用に買う場合がほとんどだと思います。よく、ドイツ以外でもヨーロッパのカフェで男性が大きなケーキに相好を崩しているのを見かけますが、それは、和食とちがい料理に砂糖が使われないため、だれもがデザートやお茶のお菓子から糖分を摂る必要があるからです。

 そのため、あいにく贈答用の箱は用意していません。
 直径18cmのホールのお菓子はケーキボックスに入りますが、そのほか箱や熨斗紙が必要な場合は、どうぞ早めにご相談くださいませ。別途、210円(税込)の箱代がかかります。

ショコラーデンクーヒェン(チョコレートケーキ)

ショコラーデンクーヒェン+いちご②.JPG


 最近、バレンタインデーについてお問い合わせをいただきました。

 モミの木では、2種のチョコレートケーキを通年で製作していますが、特にバレンタインデー用のものはご用意していません。というのも、ドイツでは2月はカーニバルの時期、バレンタインデーには基本的に何もしないからです。
 ちなみに、以前にも触れたとおり、手土産としてお菓子がタブーとされているドイツでもチョコレートは別です。お菓子は先方の主婦がお手製のものを用意していることが多く、下手をすると味比べになってしまいますが、チョコレートは店で買うものとされているので、かち合う心配もなく、よろこばれるのです。
 そのため、ドイツの暮らしをご紹介したいモミの木では、バレンタインデーだからと言って、ドイツの家庭でふつう作らないチョコレートを作ることはありません。

 しかし、チョコレートの焼菓子でよろしければ、どうぞお試しくださいませ。
 写真のマーガレット型のタイプもハート型のタイプも、ベースにドイツの子どもたちが大好きなチョコレートスプレッドとココアパウダーを使っています。
 そのほか、マーガレット型のものには、スイートチョコレートを加えシンプルな味に仕上げています。そのままでもブラック珈琲やミルクティーによく合いますが、写真のように、砂糖を入れずにホイップした生クリームと一緒にいただくのがベスト。さらに、お好みでいちごやバナナ、くるみなどを添えたり、写真はラズベリーのジャムですが、いちごジャムやさくらんぼのジャムを添えると、おもてなし向きになります。
 ハート型のタイプは、ラズベリージャムをビターチョコレートを加えた生地でサンドしています。ラズベリーのジャムの甘酸っぱい味と種のぷちぷちした食感とがアクセント。ホイップした生クリーム(砂糖は入れないこと)を添えるとさらに美味しくいただけます。
 飲み物は、どちらのタイプも、ブラック珈琲やミルクティーがおすすめですが、ストレートティーにはおすすめできません。紅茶にミルクを入れないと、紅茶にコクが出ず、お菓子とのバランスが悪いのです。たとえれば、ビーフシチューに白ワインをあわせたような状態です。
 
 贈り物であれば、次稿のとおり、くるくるリボンでラッピングはいたします。ご注文の際に、通信欄にラッピング希望の旨ご記入ください。ただし、袋の大きさにより2~4個入りとさせていただきます。1個ずつのラッピングは、ご容赦くださいませ。

三王礼拝

Heilige Drei Koenige ②.JPG


 きょう1月6日は、ドイツではHeilige Drei Koenigeハイリゲ・ドライ・ケーニゲと呼ばれる日。
 文字どおり訳せば「聖なる3人の王」という意味で、東方から訪れた人物がイエスさまご生誕のお祝いに贈り物を献上した故事にちなむ日です。ただ、3人の王と言っても、聖書ではdie Weisenディ・ヴァイゼン博士、賢者と複数で記されているのみで、はっきりした人数も記されていません。しかし、黄金、乳香、没薬(もつやく)という3つの贈り物を携えて来たがために3人とされており、Weisenというのは、具体的には占星術師、あるいは天文学者のような人物だと考えられています。

 いずれにしても高価な贈り物ができる身分であったことは確かですが、これほど漠然とした存在であるにも関わらず、3人は後世、黒人の王カスパルのほか、メルキオール、バルタザールと名前までつけられて親しまれています。
 かれらは、生まれたばかりのユダヤ王(=イエスさま)を見つけたら知らせるよう、時のユダヤ王ヘロデに命ぜられていましたが、イエスさまに拝するとヘロデには告げず故国に帰りました。そのおかげでイエスさまの命が助かり、カトリックでは、キリスト教徒でもないのに聖人に列せられ、祝日とされているのです。

 かれらのその後については、聖書にも記述がありません。しかし、その遺骨は、現在ケルンの大聖堂にあります。それは、12世紀ミラノを征服したドイツ皇帝によって、その戦いで功績のあった部下にミラノの教会に納められていたものが戦利品として与えられたためです。当時すでにライン川の商業都市として繁栄していたケルンは、その遺骨に詣でる人々の巡礼地になり、さらに栄えたということです。
 ついでながら、ドイツの昔ながらのこじんまりとしたホテルには、Zur Krone ツア・クローネ、Zum Sternツム・シュテルン、 Zum Mohrenツム・モーレンという名前を見かけますが、これも東方の国からベツレヘムまで旅してきたかれらにちなむもの。クローネとは王冠の意。星の意味のシュテルンは、かれらがひときわ輝く星に導かれてイエスさまを訪ねたことにちなみ、黒人を表すモーレンは3人の王様のうちのカスパルからです。
 同じような名前が薬局にもありますが、それはイエスさまへの贈り物の黄金、乳香、没薬が当時粉末にして薬として用いられていたことから、好んであやかる名前がつけられたようです。

 写真は、Rosina Wachtmeisterロズィーナ・ヴァハトマイスターの絵本のHeilige Drei Koenigeです。
 この本は、クリスマスの歌や詩のページとご生誕の場面とが交互に並べられたもの。絵本と言っても、大人向けで、私の好きなアイヒェンドルフの≪Markt und Strassen stehn verlassen,≫の詩や、≪O du froehliche≫、≪Leise rieselt der Schnee≫などの歌詞が絵とともに書かれていますが、ご生誕の場面には一切文章が加えられず、絵のみの構成です。
 手前左に、聖書の三王礼拝の箇所を開きました。右には、25日のヴァイナハツマンのコラムで紹介した≪Alles ueber Weihnachten≫。『クリスマスのすべて』という名のとおり、ドイツのクリスマスのもろもろの起源がわかりやすくまとめられています。

 なお、去年も別の絵本の三王礼拝の場面を紹介しています。そちらも、ぜひ!

クリスマスの贈り物

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 今年もサンタクロースがやって来て、その存在を信じている日本の子どもたちにもプレゼントを届けてくれたことでしょう。

 本来クリスマスの意味するとおり、イエスさまご生誕を祝うドイツでは、当然のことながらサンタクロースは無関係ですが、プレゼントは欠かせません。小さな子どものいるプロテスタントの家庭ではヴァイナハツマンWeihnachtsmannもしくはクリストキントChristkindが、カトリックの家庭でもクリストキントが、プレゼントをツリーの根もと、あるいはツリーの脇に置かれたテーブルにそっと届けてくれることになっています。そのため、24日当日や前日はツリーを飾る居間に鍵をかけて子どもの立ち入りを禁じ、大人がツリーとプレゼントとを用意するのだそうです。しかし、私がいた家庭は敬虔なカトリックでしたが、すでに男の子2人は10代だったせいか、クリストキントをめぐって親が苦労することもなく、25日昼の正餐にプレゼントを交換しました。

 ドイツの子どもにとって、クリスマスのプレゼントは誕生日の贈り物と同様大きな楽しみですが、カトリックでは12月6日の聖ニコラウスの日も子どもたちがプレゼントを心待ちにしています。それは、子どもの守護聖人、聖ニコラウスから、お祈りや勉強を頑張った子どもへのご褒美。いい子には、お菓子や木の実、くだものなどがそっと恵まれ、怠けた子どもにはお供のルプレヒトからのお仕置きがあるです。6日の朝の食卓には勉強やお祈りを頑張ったとは言えない私にも、くるみやマンダリンやりんご、レープクーヘンやチョコレートが載ったお皿が用意されていました。
 一方、偶像崇拝を否定するプロテスタントでは、16世紀には12月6日の聖ニコラウスの日も廃止され、子どもたちへのプレゼントは、かわりに12月24日クリストキントが届けることとされたのです。ただ、同じプロテスタントでも、地域によってはヴァイナハツマンがその役を担うとされ、どちらか一方に統一されているようでもありません。やがて、カトリックにも24日の晩に子どもたちにプレゼントをする習慣が広まると、本来プロテスタントで生まれたクリストキントがカトリックの家庭にも現れて、プレゼントを置いていくことになったそうです。

 ところで、サンタクロースの起源は、オランダのシント・ニコラスだそうです。オランダでは、12月5日の晩、スペインから船でやって来たシント・ニコラスが馬に乗り、よい子には暖炉の前に置かれた木靴にお菓子や木の実などを届け、悪い子は従者によってスペインに連れ去られてしまうとされていました。それが、アメリカに渡った移民たちに引き継がれ、次第にシンテルクラース、シンタクラースと呼び名が変わり、18世紀にサンタクロースと呼ばれるようになったそうです。
 すでに19世紀初頭にはサンタクロースがやって来る日も24日になっていたようですが、最終的に、トナカイの橇に乗ったサンタクロースの赤い服に白いもじゃもじゃ髭のイメージができるのは、19世紀の後半トーマス・ナストというドイツからアメリカに渡ったイラストレーターが作った原型をもとに、1931年コカコーラがキャンペーンで自社カラーの赤と白とをその服に使ったことがきっかけ(Klaus Kreiter/Alles ueber Weihnachten)。さらに、この赤い毛皮のサンタクロースは、ドイツのヴァイナハツマンにも影響し、それまで、白い毛皮の若くスマートな男性か、はたまた茶色の毛皮につば広の帽子姿の太ったおじいさんだったヴァイナハツマンも、赤い毛皮に白い髭面のおじいさんに変わったそうです。

 写真のヴァイナハツマン姿のクマのぬいぐるみは、ハノーファーの狩猟用具の店で購入したもの。狩猟用具店だけあって、素敵なノートと思って見ると獲物を記入する専用のノートだったりしますが、セーターやジャケットからテーブルクロスまでありました。
 なお、私にはカトリックの知り合いしかいないので、プロテスタントのクリスマスについては上記の本などで得たものです。しかし、ハノーファーは大半がプロテスタント。ニュルンベルクなどのように、街で天使に似たクリストキントを見かけることはありません。子どもたちには、このぬいぐるみのように、ヴァイナハツマンがプレゼントを届けてくれたことでしょう。

ヴァイナハツマルクトとグリューヴァイン

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 きょう12月24日月曜のクリスマス・イヴはキリスト教国のドイツでは平日、祝日ではありませんが、明日あさってのクリスマス当日は2日間全国的な祝日です。

 なぜドイツにはクリスマスの祝日が2日間あって、しかもそれがわざわざ「全国的な」祝日というのかと訝しく思われるかもしれません。たぶん、そう思われる方にとっては、クリスマスの意味が大半がキリスト教信者のドイツ人とは違うのです。また、なぜわざわざ全国的な祝日かと言うと、連邦制のドイツでは祝日は州ごとに決めるため、カトリックが多い州とプロテスタントが多い州では祝日が異なることが多いのです。しかし、クリスマスは祝い方が異なるもののどちらにも共通かつ最大の行事のため、全国的に例外なく祝日とされているのです。

 日本では、クリスマスと言うと、おそらく「サンタさんがやってくる日」、「いい子にしていたらイヴにサンタさんからプレゼントをもらえる日」と思っていらっしゃる方が多いと思います。
 しかし、キリスト教国のドイツでは、クリスマスは、イエス生誕を祝う日。ドイツ語ではWeihnachtenヴァイナハテンと言い、本来「聖夜」の意ですが、英語のChristmasクリスマスの原義は「キリストのミサ」。それを考えると、同じ名前の25日にサンタさんが来ると言って待っているのも妙な気がします。
 おそらく、サンタクロースの夢物語を楽しんでいるひとには、イエス生誕のことなど何の関係もなく、考えてみたこともないかもしれません。しかし、クリスマスの前のアドヴェントの時期、ドイツを旅し、クリスマスに関わるもろもろの品を売るヴァイナハツマルクトを訪れたり、シュトレンを口にするひとには、その信仰がなくとも、本来のクリスマスの意に思いを馳せていただけたらと思うのです。

 ヴァイナハツマルクトは、アドヴェント(=クリスマスの4つ前の日曜から始まる、物心ともに準備する期間)の第1日曜前の木曜日や金曜日から始まるところが多く、だいたい街の中心の教会や市庁舎の前の広場とその近くで開かれます。よく旅行のパンフレットにはクリスマスマーケットなどと紹介されていますが、私にはどうもマーケットの語感が、ヴァイナハツマルクトとはしっくり来ません。もしドイツ語の単語が難しいならば、「クリスマスの市」としたほうがずっとその雰囲気を表していると思います。
 日本でも、昔ながらの酉の市・歳の市があり、露店が並んで熊手などの縁起物や正月飾りなどが売られるほか、食べ物の屋台も出て賑わいます。一見すると、売られている品々や山小屋風の作りの露店が立ち並ぶ景は違いますが、市の性格は、ヴァイナハツマルクトにも似たものがあるのです。たしかに英語では「市」の意味もあるようですが、日本語でマーケットと言うと、ふつうスーパーないしは株式市場の場合が多く、「市」の意味で使われることがありません。そのせいでどうもぴんと来ないのです。カタカナを使いたがる旅行のチラシでは致し方ないのかもしれませんが、原語を避けるのであれば、わざわざ英語を使わず「市」という言葉を大事にしたいと思います。

 このヴァイナハツマルクトには、リース、クリスマスツリーにするトウヒ(本物のモミの木はまれだと思います)やツリーの飾り、ろうそくなどクリスマス用品を売る店のほか、食器類やテーブルクロスなどの日用品の店もあります。そのほか、シュトレンなどお菓子の店やお菓子に使うスパイスを扱う店、体を温めてくれるグリューヴァインや焼ソーセージの屋台も必ずあります。そのスパイスの香りは、ヴァイナハツマルクトの匂いと言ってもいいほど、市全体に立ち込めているのです。
 この匂いと寒さには誰も逆らえず、ヴァイナハツマルクトに来たら一度は、グリューヴァインのマグカップを両手で握りしめ、ふうふうしながらグリューヴァインを啜るのです。グリューヴァインは、赤ワインにレモン、シナモン、クローヴを入れて温め、砂糖で味を調えたもの。特にクリスマスの飲み物というわけではありませんが、寒いヴァイナハツマルクトには欠かせないものです。

 写真は、2003年のグリューヴァインのマグカップ。左がハノーファー、真ん中のブーツ型がニュルンベルク、右の紺地に白い図柄がローテンブルク。以前は使い捨て容器だったのが、陶器のデポジット制のカップになり、飲み終わって戻せばカップの代金が戻ってくるようになりました。しかし、街ごとに毎年絵柄も変わるので、後生大事に持ち帰ったというわけです。
 ちなみに、グリューヴァインは寒い時期には家庭で作って飲むこともあるようで、ティーバック型の袋にスパイスが詰められたものも市販されています。また、ハノーファーの歴史博物館の脇の広場では、最近どういうわけかフィンランド風のものが売られ、食べ物もサーモンなどがありましたが、そこの屋台のグリューヴァインにはブルーベリーが入っているそうです。

 なお、昨年も記したとおり、南部のカトリックの地域ならば、ヴァイナハツマルクトのどこかに、イエスさまご生誕のお祝いの場面を立像で表したクリッペがあります。親子連れなどの人垣を探せば、見つけられます。信仰が違うと、なぜこれほどクリスマスが大事なのか、ぴんと来ないかもしれません。しかし、クリッペを見つめる子どもたちの眼差しやそれを一生懸命に説明している母親の姿を見れば、どれほど大事なものかがわかります。
 もしいつか行く機会があれば、クリッペを忘れずに。グリューヴァインなど名前を忘れても必ず引っかかるものですが、クリッペはぜひ心に留めておいてください。
 クリッペについては、2006年12月25日のコラムをどうぞ。 

アドヴェント第4日曜日u.りんごの話

アルザス風りんごのタルト.JPG


 きょうは、アドヴェント第4日曜日。
 アドヴェンツクランツの灯すろうそくも4本になり、いよいよクリスマスまで2晩。
 シュトレンを作り終わって、久しぶりに自分のためのお菓子を作りました。アルザス風のりんごのタルトです。

 ドイツでは庭にりんごの木のある家も多く、りんごは非常に身近なくだもの。晩秋、ローカル線に乗っていると、日本ならば柿が目にとびこんできますが、ドイツではそれがりんごなのです。
 日本ではジュースというとオレンジジュースのことが多いものですが、ドイツではりんごジュース。食事中おとなはワインか水、子どもはりんごジュースが定番です。
 また、庭でたくさん獲れたりんごは、そのまま食べるだけでなくKuchenに使います。代表的なのが、縦に切れ目を入れた生のりんごを焼きこんだApfelkuchen(2006年9月19日コラムにて紹介)やいちょう切りのりんごを乗せて焼いた「おばあちゃんの」Omasapfelkuchen。それ以外にも、りんごにシュトロイゼルをふったStreuselkuchenやオーストリアでポピュラーなApfelstrudelアプフェルシュトゥルーデル、アルザス風のりんごのタルトなどもよく作られます。

 私は最後の2つも大好きなのですが、生地を伸ばす=生地に触れる作業があまり好きではないため、食べたいと思いながらも作らずじまいのことばかり。それが、ここ1ヶ月シュトレンをずっと作っているうちに生地を伸ばす作業に抵抗がなくなり、2週連続でタルトを作るほどになったのです。
 このりんごのタルトはほんとうに久しぶりですが、非常に記念すべきお菓子です。というのも、初めて作ったお菓子がこのアルザス風のりんごのタルトだったのです。そのときは冷凍のパイ生地を使ったものの、あまりのおいしさに自分でも感動し、それがお菓子を作るきっかけになったのです。
 ただ、タルトといってもパイ生地で、さっと煮たりんごにレーズン(きょうは黄色っぽいサルタナ種)を少しと卵と生クリームのソース。アーモンドプードルを使わないかるいタイプです。一口噛むと、りんごからカルヴァドスがじゅわっ、パイ生地がさくっ、そしてパイ生地のバターとりんごの酸味、それを包むほどよい甘さのソース。思わずにんまりです。
 実は、今週福岡のデザートフォレストさんの「チーズケーキ博覧会」に送ったお菓子が運送上のトラブルで全滅!という悲しい出来事があったのですが、少し心がかるくなりました。

 要はお菓子に機嫌が直ってしまう、単純な人間ですが、りんごの句を紹介しておきます。

 空は太初(たいしょ)の青さ妻より林檎うく  中村草田男

 りんごは秋の季語。句は、「空は太初の」と上五が字余り、そして中七の「青さ」で切れる少し珍しい形で、「そらはたいしょの」であるかないかぐらいに一呼吸おき、すぐに「あおさ」と続けて読んでから切ります(=一呼吸おく)。意味は文字どおり、太初を思わせるほど深々と青く晴れ渡った空のもと、妻からりんごを受け取ったという句です。
 「太初」という言葉からアダムとイヴに連想がはたらきますが、草田男自身の解によると、実際は終戦直後のインフレのさなか、久しぶりに見事な真紅のりんごをひとつ妻から手渡されたことがもとになっているそうです。また、「日本の再出発と共に私自身も一家を率いて再出発するのだと強く心中に期せずにはいられなかった」(中村草田男 『定本 俳句入門』)と記しているとおり、上からたたみかける名詞の連続によって句のリズムに緊張感が生まれ、先の本人の弁を知らなくとも、毅然とした何か決意のようなものが感じられます。
 句のきっかけを知らなければ、りんごを手渡す妻とそれを手に取る夫とを、晴れ渡った岩手山や岩木山などがくっきりと望める場所においてもいいと思います。自分でいちばんいいと思う景を思い浮かべる、それが俳句の自由なところ、愉しみのひとつです。

 最後に女性ならではの句を。

 林檎煮る母とし記憶されむことを  狩野 ゆう(『鷹』2000年2月号)

 

シュトレンの大きさについて②u.Frau Munkのおもてなし

Stollen u. Engelchen ②.JPG


 シュトレンの大きさを確認していただくために、もう1枚写真を用意しました。
 どうぞ、参考になさってください。
 ちなみに、シュトレンの下に敷いているレースペーパーは、直径20cm。写真のシュトレンは、13cmより若干大きいのですが、出来やカットする場所により差が生じます。その点ご容赦くださいませ。

 今週は、アドヴェントの2回目の日曜日が過ぎたので、アドヴェンツクランツの灯すろうそくは2本です。
 一緒に写っている天使のろうそく立ては、クリスマスのプレゼント。ドイツの小学校で当時担当していたクラスの同僚の先生からでした。Frau Munk(フラウ ムンク)は美人でふだんからとてもおしゃれな女性ですが、お茶に呼ばれてびっくり。自宅もとても美しくコーディネートされ、そのテーブルにこれと同じ天使のろうそく立てがあったのです。さかんにかわいい、かわいいとhuebsch(ヒュプシュ)を連発したら、同じものをプレゼントしてくれたというわけです。
 
 当時おそらく40代後半の彼女は独身で、そのせいかあるいは仕事のせいか、お茶にお手製のKuchen
こそありませんでしたが、そのかわり、絞ったオレンジとブランデーが入った香りたかい紅茶とBratapfel(ブラートアプフェル)焼りんごのおもてなしでした。12月というのにドイツでは珍しくよく晴れた、風の強い日で、ドイツ人にはお決まりの散歩に付き合った後には、ほんとうに感動的な香りとおいしさでした。バニラのアイスクリームがとろっと溶けたあつあつの焼りんごに、オレンジとブランデーのゆたかな香り。再現しようにも同じ設定ができないせいか、なかなかあの真似はできません。

 なお、天使の置物はその後自分でもうひとつ買い足しましたが、最近はこのタイプは売られていないようです、念のため。
 

シュトレンの大きさについて ①

Stollen アップ.JPG


 これまでのシュトレンの写真は、ケーキセットの2枚にスライスしたものでした。
 こちらが8枚分にカットしたもので、1,365円(税込)です。先日金額の表示に誤りがありました。お詫びとともに訂正いたします。

 ネットショップにてご注文のお客さまは、シュトレン専用の買い物かご作成の時間がとれなかったため、かわりに「バナナのシュトロイゼルクーヒェン」をクリックし、かつ通信欄で「シュトレン」と明記をお願いいたします。まぎらわしい方法になり、申し訳ありません。
 先のコラムにて説明のとおり、「自動返信メール」ではシュトレンが反映されません。こちらで実際確認後お送りする「注文御礼メール」に、シュトレンのご注文が反映されます。どうぞ、そちらを確認くださいませ。

 なお、このシュトレンの価格は、お試し価格です。パン生地のお菓子はふだん全く作らないので、おっかなびっくりでしたが、味はどこに出しても恥ずかしくないと思っています。
 この写真では、たまたま切り口にレモンピールやオレンジピールが集まってしまっていますが、実際はレーズンの方が多く入っています。

  このように幅8cmに切るまえの全体の長さは、約28cm。日本のメーカーや輸入されているもののなかには、もっと小さなものがあります。しかし、私としてはこれよりももう少し大きく作りたいと思っているほどです。これには「白いおくるみの赤子イエスさま」というシュトレンの謂れも関係がありますが、ドライフルーツを混ぜ込んだ焼菓子は大きな型で焼いた方がおいしいという理由もあります。カレーやシチューは大鍋でたくさん作った方がおいしいものですが、それと同じことです。
 将来的には、ご希望があれば大きな1本の販売やこのオーソドックスな飽きのこないタイプ以外にスパイスが入ったもの、あるいはアーモンドが入ったものも作るかもしれませんが、市販品のような小さなタイプ1本の販売は考えていません。それより、このように多少大きなものをカットした方がおいしいと思うからです。

 どうぞ、この機会にお試しくださいませ。
 約8cm×約13cm×高さ約4cmにカットしたものをラップで包み、エージレスを入れて密封したものをお届けいたします。シュトレンは日持ちのするお菓子ですが、おいしく召し上がっていただける賞味期限は到着日を含め1週間といたします。開封後乾燥させますと、どうしても硬くなってしまいます。保存はラップにくるみ、常温で。どうぞ、お早めに。

シュトレンの販売について

『イエズス誕生』と花07年12月.JPG


 先日シュトレンの販売予告をしたところ、購入方法のお問い合わせをいただきました。どうもありがとうございます。

 今年は試行錯誤のため買い物かご製作の時間がとれず、「バナナのシュトロイゼルクーヒェン」で買い物かごを代用させていただくことにしました。少々面倒な購入方法になりますが、シュトレンご希望の方は、「バナナのシュトロイゼルクーヒェン」をクリックしていただき、かつ通信欄に必ず「シュトレン」とご記入ください。記入がない場合、「バナナのシュトロイゼルクーヒェン」になります。
 シュトレンの値段は、「バナナのシュトロイゼルクーヒェン」と同じ1,365円(税込)、
 大きさは8枚分=約8cm×約13cm×高さ(いちばん高い部分)約4cmです。
 なお、スライスはしていません。1cmほどにスライスしてお召し上がりくださいませ。

 また、1枚だけご希望の場合は、「ショコラーデンクーヒェン」をかわりにクリックし、必ず通信欄に「シュトレン」と記入してください。
 1枚の場合は、189円(税込)、大きさは約1cm×約13cm×高さ(いちばん高い部分)4cmです。

 お客様にはご面倒ですが、よろしくお願いいたします。当店では、ご注文後自動返信メールのほか、「注文御礼」のメールを送信しています。こちらを必ず確認くださいませ。シュトレンの記入があった場合、シュトレンのご注文はこの「注文御礼」メールに反映いたしますが、自動返信メールの段階ではシュトレンの表示は出ません。ご心配をおかけしますが、どうぞ「注文御礼」メールを確認くださいませ。

 シュトレンの発送は、12月23日(日)までとさせていただきます。
 ネットショップのその他のお菓子の発送は、12月30日(日)までです。

 写真の絵は、西原直子さんのパステル画『イエズス誕生』です。そもそもクリスマスは、サンタクロースが来る日ではなく、キリストの生誕を祝う日。だからこそ、クリスマスの4回前の日曜日から物心ともにクリスマスを準備する期間(アドヴェント)が始まるのです。
 「白いおくるみに包まれた生まれたばかりのイエスさま」とはシュトレンのかたちの由来。それを食べるなんて…と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、カトリックにはもともと、ミサにパンとワインを神父さまから受ける儀式があります。いまはワインは略され、パンも必ずしもパンではなく代用品のようですが、これにはパンとワインによって、キリストの血と身体とを授かるという意味があるそうです。それを鑑みると、白いおくるみ姿のイエスさまとも言われるシュトレンをいただくことも奇異なことでもないと思います。
 なお、クリスマス当日にシュトレンをいただくかと言うと、家庭によるでしょう。カトリックの家庭では食後トルテ(デコレーションケーキ)をいただきました。

アドヴェンツクランツとシュトレン

アドヴェンツクランツとシュトレン2007(ヨコ)①.JPG


 ようやくアドヴェンツクランツを作りました!

 正確には、クランツというより、クランツ状に4本のろうそくとグリーンの葉を挿したものを並べただけのものですが、ドイツではクリスマス前のアドヴェントの時期、玄関に飾るリースだけでなく、このようにろうそくが4本並んだリースを 卓上に用意し、お茶や食事の際にろうそくを灯すのです。

 灯すろうそくの数はまずアドヴェントの1週めに1本 、2週めに2本と、アドヴェントの日曜を迎えるたびにふやしていきます。だんだん灯すろうそくがふえてくると、クリスマスもすぐそこというわけです。

 この時期ドイツでは、非常に夜明けが遅く、明るくなるのは8時半すぎ。授業が始まっても最初のうちは暗いのですが、3時をすぎるともう暗くなり始めます。そんななかで、ろうそくの火は目にも暖かく、アドヴェントの時期でなくても、お茶の時間にはろうそくを灯すことがよくあります。

 いずれにせよ、照明よりもろうそくが好まれるお国柄。ろうそくやろうそく立ても色や種類が豊富ですが、アドヴェンツクランツのろうそくは、キリストの血を表す赤または純潔を表す白のことが多いようです。私も、ドイツトウヒの枝に赤いろうそくの組み合わせがいちばん好きですが、どちらも手に入らず、グリーンはセッカン杉と庭のヘデラ、白いカリフラワーのようなものはライスフラワーを使いました。
 
 一緒に写っているのは、シュトレンです。できあがりは30cmほどですが、このように1cmほどにスライスしていただきます。そもそもシュトレンは、白いおくるみに包まれた赤子のイエスさまのかたちとも言われるもの。それらしく見えるようにもう少し大きくしたかったのですが、日本製の一般的なものよりは大きいと思います。販売は、スライスしたものとある程度の大きさの塊のものとを用意する予定です。実店舗ではケーキセット、もしくは食後にお出ししています。ネットショップではいましばらくお待ちくださいませ。

 なお、昨年もアドヴェンツクランツを作りました。そちらもぜひ。
 

アドヴェント第1日曜日・実店舗12月予定

セッカン杉とヒムロ杉.JPG
 

 きょうはいよいよアドヴェント(待降節)第1日曜日。
 
 実店舗は、7月より木・金・土のみの営業で、水・日はご予約の場合のみとさせていただいていますが、12月は日曜も11:00~17:30(ラストオーダー)の間、営業することとしました。
 年内の営業は、12月23日日曜までです。
 お茶の場合はご予約は不要ですが、ランチにはご面倒ですがご予約をお願いいたします。ただし、23日はランチ自体行いません。悪しからず、ご了承くださいませ。
 なお、いちごを使ったいわゆるクリスマスケーキは、用意していません。
 
 ドイツの家庭では、クリスマスを物心ともに準備をするアドヴェントの間、お茶の時間にはStollenシュトレンを少しずつ毎日のようにいただきます。シュトレンは、パン生地にドライフルーツをたっぷり練り込んで焼いたお菓子。レーズンやレモンピールなどが入ったオーソドックスなものから、ナッツやスパイスを加えたものやマジパンをはさんだものがあります。
 しかし、私の好きなタイプは、毎日いただいても飽きないオーソドックスなシュトレン。スパイスが入ったものは目先を変えるにはもってこいですが、ドイツではこの時期シナモンやカルダモンなどを使った様々なクッキーもあるので、シュトレンにまでスパイスが入っていると少々過剰な感じが否めません。また、マジパンはどうも好きになれず、結局レーズンとレモンピール、オレンジピールだけのシンプルなものに落ち着くのです。

 「モミの木」でも例年、まず衒(てら)いのないオーソドックスな味を知っていただきたいとドイツからの輸入品を用意していましたが、今年は作りました!もう10数年は毎年食べているものより、少々小振りになってしまいましたが、味はそれに近いものになりました。
 このシュトレンは、2枚スライスしたものを紅茶または珈琲とのセットで840円(税込)です。
 ネットでの販売は、いましばらくお待ちくださいませ。
 
 写真は、「今週の花」に、昨夜作ったリースの残りのセッカン杉とヒムロ杉とを加えて、ボリュームを出したもの。
 玄関のリースは、改めて、お天気のよい日の写真をご覧にいれたいと思います。乞うご期待!です。

アドヴェントのこと

ポピーとリューカデンドロン②.JPG


 早11月も明日で終わり。

 すでに店という店はクリスマスの装飾をしていますが、ドイツでは、クリスマスはサンタクロースがやってくる日、いい子にしていたらサンタさんからプレゼントをもらえる日ではなく、イエス生誕を祝うキリスト教の祝祭日。そのクリスマスを迎えるために物心両面の準備をする期間をアドヴェント(待降節)と言い、クリスマスの4回前の日曜日から始まるよう定められています。そのため、毎年暦によってアドヴェントの期間が変わり、今年は12月2日が最初の日です。

 したがって、「モミの木」でもクリスマスの飾付けは、アドヴェントの第1日曜日の12月2日から。ドイツではクリスマスツリーとして一般的なドイツトウヒの枝が手に入らず、ヒムロ杉のリースも1日の夜作ることにしています。花にヒムロ杉を加えるのも2日からのつもりで、現在ポピーとリューカデンドロン、ドラセナのほかは、グリーンには庭のキイチゴ、アップルミント、ローズマリーを使いました。

 なお、実店舗では、日曜はご予約がなければお休みとさせていただいておりますが、12月のみ2日、9日、16日、23日は通常どおり営業いたします。ただし、「ドイツのお菓子の紅茶店」ですので、ランチにはご面倒ですがご予約をお願いいたします。

 以後クリスマスについてコラムでふれる予定ですが、去年のコラムでもドイツのクリスマスについて記しています。どうぞ、そちらもご覧くださいませ。

ランチおよびドイツの食事について

ランチ(ハンバーグ)①.JPG


 最近よくランチについてのお問い合わせをいただきます。
 直接電話でお問い合わせされる方には、このコラムが目に触れる機会も少ないかと思いますが、一応写真を撮りましたので、ご紹介しておきます。また、お電話のタイミングによっては、接客中であったり、まさにお菓子を作っている最中であったりで、思うように説明がいかないことも多々。第一お客さまからの電話を長引かせるのも問題ですので、こちらに説明をしておきます。

 「モミの木」は、何度もふれたように、ドイツ語のTeestubeの名のとおり、お茶(紅茶)とお菓子とを楽しんでいただく場所です。
 そもそも「モミの木」を始めたきっかけが、ドイツ人がふだん家で作って食べている、デコレーションのないお菓子Kuchenのおいしさに感動したこと。そのKuchenを日本ではあまり知られていないドイツ人の家庭の雰囲気のなかで、ぜひとも楽しんでもらおうと思ったのです。

 私はドイツ(ハノーファー)のカトリックのドイツ人小学校での授業のためふたつのドイツ人家庭に滞在し、同じものを食べて暮らしていました。その2軒はどちらも学校の先生の家庭でしたが、非常に対照的でした。
 最初に滞在したのは、昔ながらの典型的な、父親が家父長的な家庭で、子は親に意見が言えず、そのため親子の意思疎通もあまりできていないようでした。また、私も娘のようにかわいがってもらいましたが、よくDu musst ~.「~しないといけない」と言われて、少々窮屈な思いをしました。一方、2軒目の家庭は非常に「風通しよく」、親は考えをきちんと説明し、子の意見もしっかりと聞く、考えが違えば納得がいくよう道を見つけていくという、私にとっても非常に居心地のよい家庭でした。
 おもしろいのは、ふたつの家庭の食事も非常に対照的だったことです。
 最初の家庭では食事も、昔ながらのこってりボリュームのあるドイツ料理で、ブラウンソースを使った肉料理にじゃがいも、ザワークラウトや紫キャベツの付け合せが多かったのに対し、2軒目のハイディーとペーターのところでは、最初の家庭のような料理が出てくることはありませんでした。ドイツ料理といっても、ハムのパイ包み焼きやドイツ版ミネストローネともいうべき、小さく切った野菜やソーセージをコンソメで煮込んだアイントプフというスープなど軽めのものです。
 よく、海外で暮らすとごはんや味噌汁がなくてつらいという話や、ドイツのライ麦パンはどうしても好きになれないなどという話を聞きます。もともとごはんよりもパン、魚よりも肉というタイプの私は、ドイツ人と同じものを食べていても和食が恋しくなるということはなく、むしろ脂質の少ないあっさりした和食ではドイツの冬は乗り切れないとさえ思い、ライ麦パンの酸味がチーズやソーセージの味を引き立てることや、その腹持ちのよさには感心しましたが、最初の家庭の重い肉料理と野菜の少ない食事にはまいってしまいました。
 そんなときハイディーの家に移って、重苦しい家庭の雰囲気とブラウンソースの重い肉料理から解放されて、ほっとしたものです。おまけにハイディーは料理上手で、彼女のラザニアやアプフェルシュトゥルーデルは絶品。料理やお菓子だけでなく、食器使いや室内のコーディネートも手本にしたくなるような暮らしでした。
 このハイディーのところで食べたお菓子が日本に帰ってからも忘れられず、自分でも作ってみようとやり始めたのですが、料理は必ずしも懐かしいものではなく、作ってみる気にはならなかったのです。つまり、量と脂質たっぷりのドイツ料理は、東京のような冬も暖かいところに住んでいても食べたくなるような料理ではない、と言えるかもしれません。

 ところで、ドイツ料理というとソーセージやハンバーグのイメージが定着しているかもしれませんが、必ずしも家庭の食卓にのぼるものではありません。
 街の屋台でよく見かける焼いたソーセージは、家庭ではあまり食べないと思います。もちろん個々の家庭の好みがありますので、一概に言えません。また、ドイツは地方色豊かなうえ、カトリックかプロテスタントかで食に対する姿勢も違います。しかし、油で台所が汚れるのを嫌うのは、その違いをこえて、ドイツ人女性に共通していると思います。
 また、ハンバーグも私が滞在した家庭では出されたことはありませんでした。たぶん1人分ずつ作るよりも、大きい塊肉を使って煮込んだり、ローストした方が作るうえでも好まれるのです。実際、家庭では料理も大皿に並べたものを銘々が取るというスタイルで、予め個々の皿に盛って出すということはないようです。

 実のところ、ドイツ滞在中に家庭で食べる機会のなかったハンバーグやビーフストロガノフを出すのは自分でもどうかと思っていますが、比較的作る手間がかからず、苦手な方が少ない料理ということで、定番にしています。
 付け合せは、ドイツでは主食のじゃがいも料理とゆでたインゲンを溶かしバターであえたものやザワークラウトなどが定番です。じゃがいも料理には、皮付きのまま圧力鍋でゆでただけのものから、私も好きなじゃがいものピューレやポム・フリットなどさまざまありますが、「モミの木」ではパンかごはんをつけるので、じゃがいもは必ずしもつけません。
 なお、写真のにんじんはバターと塩で味付けしたもので、甘いグラッセではありません。ドイツ人は、生のにんじんが大好きで、お昼に持参した生のにんじん1本をナイフで皮をむいてそのままぼりぼりと食べてしまうほど。塩も何もつけずにバナナでも食べるようにまるごと、です。ハイディーは、千切りのにんじんにレモンとコーンを加えたサラダをよく作ってくれましたが、レモンがにんじんの癖を消し、甘みを引き出した一品です。

 写真のセット(メインの料理、パンまたはごはん、サラダ、食後に「甘いもの」と紅茶または珈琲)で、税込1,160円です。「甘いもの」は、夏はアイスクリームやゼリーになることも多く、必ずしもKuchenではありません。Kuchenの場合は、通常パウンドケーキのケーキのことが多く、ケーキセットのものとは別のものです。悪しからず、ご了承くださいませ。
 また、ハンバーグやビーフストロガノフといった簡単なものですが、料理もアイスクリーム以外の「甘いもの」もすべて私1人で作るため、ご予約をお願いしています。何しろレストラン、いわゆるカフェでもないので、お菓子と飲み物以外は用意していないのです。できるだけ、前日の午前中、遅くとも午後までにご連絡をお願いいたします。
 ご面倒ですが、よろしくお願いいたします。

 ドイツの食事ならびに「モミの木」のランチについては、2/5、2/26、3/23のコラムでもふれています。また、ビーフストロガノフは06/11/26に写真があります。そちらもぜひ!

キイチゴの実

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 キイチゴの実が少しですが生りました。

 梅雨時には10cm角のタッーパーいっぱいにあったので、いちごやジューンベリーと一緒にジャムにしましたが、今回は私の口に入っておわりになりそうです。

 ところで、いつも花を活けるときに使っているキイチゴの枝(今週もトルコキキョウと一緒に使っています)には、花は咲くのに実はつきません。花に使う枝には大きいものはてのひらほどの掌状中裂の葉がつき、ヤツデの葉のようにつやつやで、茎もつるつるです。一方、実が生る方は3枚の葉が集まった3出複葉というタイプで、茎は木質で細かいトゲもあります。

 キイチゴは根が横に張り、びっくりするような場所から芽を出すので、囲いのない庭に植えると後悔することになります。今年の連休中その始末に悪戦苦闘しながら、キイチゴの貪欲な生命力とその役割分担に驚きました。葉の大きく発達した株であらん限りに光を集め、トゲのある株に実をつける。根は、横に伸びるだけでなく縦にも数層に(私が知る限りで少なくとも10cmごとに3層はある)分かれ、いちばん上の根が抜かれてもそれよりも下に広がる根が残り、生きのびるようになっているのです。

 このように、キイチゴ自身が貪欲に養分を集める力を備えているので、特に肥料をやらなくても実は生ります。花は清楚、実はそのままでよし、ジャムもマフィンもよし。ドイツには、キイチゴのほかさくらんぼやいちごなどと一緒に赤い実をかるく煮て冷やしたRote Gruetze ローテ・グリュツェという美味なデザートもあります。(カップ入りの商品もあります。ドイツに行ったらぜひ食べてみてください!)
 いい事ずくめのようですが、植えるならばコンテナに。私が庭に植えてどんなに悔やんだかは、5月3日の稿をどうぞ。

吾亦紅と雲の話

吾亦紅①.JPG


 西側の公園にも芒が目立ち始めました。

 まだ8月なので少し早い気もしましたが、今週は吾亦紅(ワレモコウ)が主役です。
 先日小石川の東大植物園で吾亦紅を見て以来、涼しくなったら飾りたいと思っていたのです。
 去年も9月16日のコラムで、湘子(しょうし)先生の「どの雲の落とし子ならむ吾亦紅」の句とともに紹介しています。そのときはゴールデンレトリバーの毛のようなフェリカと合わせましたが、今年はまず吾亦紅そのものを楽しめるよう、主役を外しました。奥から、緑色の実を付けているノバラ、大きな赤い葉のドラセナ、キイチゴと白い小花をつけているアップルミントです。

 吾亦紅は、秋の七草のひとつですが、元来、高原や山麓に咲く花。
 室内に飾られたものしか知らないと、なかなか自生している姿が想像できず先の句の景も浮かばないかもしれません。しかし、まず信州など山の見える景色を想像し、自分の立っている場所に原っぱを置き、そのなかに吾亦紅をいくつか入れてみると、湘子先生の句の景が広がってくると思います。
 なお、この句は、湘子先生が亡くなった後にまとめられた『てんてん』には残念ながら収録されていません。しかし、この句を読むと、小さなちぎれ雲を見つけて「おまえさん、どっから来たんだい?母雲はどれだい?」と呼びかけている先生の声が聞こえてくるような気がします。
 また、先生には雲を詠んだ句がいくつもありますが、「浮雲はどこへも行くぞ鴉の子」(『神楽』収録)とともに、吾亦紅の句には、小さなものを慈しんでいる先生の姿が浮かんできます。

 ところで、雲といえば、秋になると、小さな雲片がいくつも連なったいわし雲やひつじ雲が現れます。いわし雲は、さば雲あるいはうろこ雲とも呼ばれ、ひつじ雲よりもひとつひとつの雲片が小さく、高空に現れます。
 フランス語では、ひつじ雲のような雲を「りんご雲」と言うのだそうです。27日の朝日新聞の歌壇にフランスの松浦のぶこさんという方の「夕空にポムポムポムとたのしげに薄くれないのりんご雲出づ」という歌が選に入っていました。
 ドイツ語では、Schaefchenwolken シェーフヒェンヴォルケン。ただし、ひつじはひつじでもSchaefchenは子ひつじです。ドイツでは、庭のある家にはりんごの木がよくあり、非常に身近な存在ですが、りんご雲という言い方はしないようです。

 いずれにしても楽しい名前です。しかし、まだ秋雨前線のせいでひつじ雲もいわし雲も目にしていません。秋天(しゅうてん)の野に咲く吾亦紅を思うのみです。

明日は8月6日

百日紅.JPG


 あくる日は八月六日卵割る  吉沼 等外(『鷹』2001年11月号)

 明日は8月6日、広島に原爆が投下された日です。
 私の場合いつも月初めの日は瞬く間に過ぎ、うっかりすると8月6日も夜のニュースで気がつく、そんなことになりかねないのですが、きょう5日がたまたま休みのおかげで、今年は忘れずに迎えられそうです。 
 しかし、この句の作者、大正9年生まれの等外さんは、毎年心して8月6日を迎えていらっしゃるのでしょう。「原爆忌」という季語がありますが、その季語ををあえて使わず8月6日という日付を出したことで、老夫婦2人きりの暮らしではいつも、朝の食卓できょうの日付を確かめ合う習慣があることも想像されます。『きょうは何日だったかな・・・』『5日です』『ああ、そうだった、うっかりせずにすんだ・・・』例えばこんなやりとりをして、安心して卵を割るのです。
 朝の食卓と考えられるのは、日付を確認するのはやはり1日のスタートである朝が最適であることと、「卵割る」という行為から。生卵のごはんは人によっては朝・昼・晩を問わないかもしれませんが、一般的な(理想的な?)朝食を考えてみます。
 このように、老夫婦が朝の食卓で日付を確かめ合っていると状況を設定すると、食卓の光景ばかりでなく、夏の朝の様子、さらには小津映画に出てくるような老夫婦の家までも想像されます。まだいくらか涼しい夏の朝といっても、すでに蝉がさかんに鳴いているでしょう。開け放たれた縁側、庭の百日紅(さるすべり)・・・。
 広島に原爆が落された日を忘れずに迎えたとしても、作者は特別何をするわけでもないかもしれません。ただ忘れずに迎えること、亡くなった人々に思いを馳せること、不戦を誓うこと・・・。何も書かれていませんが、卵を割りつつ、あるいは箸を動かしながら、心はすでに哀悼の意に傾いているかもしれません。

 ところで、この作者、等外さんと同じ1920年生まれにドイツのWeizsaecker ヴァイツゼッカー元大統領がいます。元大統領が敗戦40年の85年5月8日に行った記念演説はリアルタイムでは知りませんでしたが、ドイツ語がわかるようになってから聞くと非常に格調が高く、感動的なものです。そのなかで有名なのが次の一節です。
 Wer aber vor der Vergangenheit die Augen verschliesst,der wird am Ende blind fuer die Gegenwart.
直訳すると、「しかし過去に目をつむる者は、結局現在に盲目となります」ということになりますが、過去に目をつむれば、現在が見えなくなるということでしょう。
 この演説で元大統領は、戦争で犠牲になったさまざまな人々を挙げ、人々に思いを馳せます。そして、erinnern 過去を心に刻むことの重要性を説き、敵対ではなく共生を訴えます。冷戦下、ドイツがまだ東と西とに分かれていた時代でした。
 いずれにしても、erinnern 過去を心に刻み、思い起こすことは、私たちにも必要なこと。毎日慌ただしく過ごしてしまいがちですが、ぜひ8月には心がけたいものです。

 なお、等外さんは『鷹』の月光集同人です。「とうがい」という号もユニークですが、去年の9月21日25日に紹介した「木犀や木臼の中に猫仔猫」のように、とても楽しい句を作られる方です。面識はありませんが、親しみを込めて「等外さん」と呼ばせていただいています。
 
 写真は、この家の新築記念に市からもらった百日紅。どこに植えようか困った末に鉢植えにしたところ、根が鉢穴から出てしまい、なかなか植え替えもできません。そのせいか、まだ幹の太いところも人差し指程度。蕾も見当たりませんが、今年はピンクの花を咲かせてくれるでしょうか。
 確か、終戦日に付随して思い出す花というアンケートで多かったのが、向日葵と夾竹桃(きょうちくとう)、この百日紅だったと思います。3mから7mになる百日紅も最初はこんなもの。花はありませんが、こんな葉っぱの木です。


エリカ

エリカとるり玉アザミ.JPG

 晴れの日が続いていますが、切り花には少し暑すぎるようであまり持ちがよくありません。
 そこで、今週は枝物を選びました。ピンクの小花のエリカと白の小花のコットンラッシュ、青紫のるり玉アザミです。
 エリカは、ドイツ語でHeide ハイデ、あるいはHeidekraut ハイデクラウトといいますが、ハイデとはもともと荒地のこと。北ドイツのリューネブルガー・ハイデのように、農地にはならない、やせ地に育つようです。
 コットンラッシュはカスミソウの茎を木質化したようなもの。何の仲間なのか、今回初めて使いました。
 どちらも枝が茎ではないので、長く持ってくれるのでは…と期待しています。
 ただ、庭のラヴェンダーはそろそろ終わり。定休日には刈る予定です。

百合とユリア

白のカサブランカ.JPG


 レモンイエローに続き、白のカサブランカも咲き始めました。全部で6本の百合の濃密な香りが漂っています。
 私にとって百合は姿よりも香りの花ですが、その香りの秘密を詠った句があります。

 月光を加へし百合の香なりけり  小浜 杜子男(『鷹』1999年11月号)

 百合は人気のない深夜や早朝特に香りが強いものですが、詩的に解釈するとこういうことかと膝を打ちました。あの百合の香には、月光が加わっている!
 そういえば、きのうは日中よく晴れ、夕方始めた庭仕事を終えると、北西の泉ヶ岳の向こうに夕焼が広がり、南西に光を得たばかりの半月が出ていました。庭の百合にも久しぶりの月光が届いたはず。今朝の百合の香りの秘密が解けたような思いです。

 ところで、初めて蕾の百合を部屋に飾ったのは、下宿していた大学のときのこと。戻ると、留守の間に花が開き、思いがけず誰もいないはずの部屋で百合の香りに迎えられたのです。確か百合は毅然とした姿に甘い香りの鉄砲百合だったと思いますが、以来私にとって百合は香りの花。
 香りがなければ百合に手は伸びないのですが、かと言ってお菓子と紅茶の店に強い花の香りは考えもの。香りは、もっぱら外で楽しむことにしています。

 ついでながら、百合というとどうしてもドイツ語のJulia ユリアという女(の子)の名前が浮かんできてしまいます。ドイツでは、Maria マリアやMarie マリーほどでないにしても、わりに多い名前です。
 ちょうど、私がお世話になったHeidi ハイディーのところの女の子もユリア。7月Juli ユーリーに生まれたユリアは生まれてすぐハイディーとPeter ペーターの養女になったのですが、名前は、2番めのPhilipp フィリップが幼稚園の同じクラスの女の子の名前がいいと言って、ユリアに決まったとか。ドイツ語の百合Lilie リーリエとは全く関係ないのですが、ユリアと口にするたび私にはユリア本人とともに百合も浮かんでしまい、百合というと花とともにユリアと連想してしまうのです。

 ちなみに、百合の名前は、花が重いため微かな風にも「揺れる」ことに由来するそうです。しかし、薔薇に比べるととても丈夫で、何もしていないのに虫食いも病気もありません。花は丈夫がいちばん!そう悟った私には嬉しいかぎりです。

Liebe Fussballfans ! ベガルタ戦のチケット差し上げます!

キイチゴの実.JPG


 きょう商店会からもらった、ベガルタ戦のチケットを 差し上げます!

 7月25日水曜日のコンサドーレ戦。19:00キックオフです。
 ホーム側の自由席を、税抜きでお1人900円以上ご利用の方に。ペアで2組分です。

 試合当日まで、実店舗の営業日は明日14日(土)、19日(木)、20日(金)、21日(土)のみ。ご予約があれば、15日(日)、18日(水)、22日(日)も営業いたしますが、ご利用の機会が少ないので、早いもの勝ちとさせていただきます。ネットでお買い上げの場合も、通信欄に「ベガルタ戦チケット希望」と書かれていれば、商品と一緒に発送も可能です。ただし、なくなり次第終了いたします。どうぞ、ご了承くださいませ。
 「モミの木」のお客さまにはサッカーに関心がありそうな方が非常に少ないので、特に店内で掲示はいたしません。コラムをご覧になっていただいたお客さまのみへのお知らせといたします。

 試合は、現在J2で首位のコンサドーレをホームに迎えての一戦。ご希望の方がいらっしゃらなければ一度スタジアムに行ってみたいと思いますが、やはり見たい方に差し上げたいと思います。
 札幌時代は、コンサドーレがちょうどJ1だったので、エスパルスやジュビロ、グランパスなどアウェーチームに見たい選手が来ると見に行ったものでした。あのころは、ドゥンガもピクシーも現役で、ジュビロは1試合6点くらい取って楽しい試合でした。
ただ、ドイツでは、ある年代の人々にとって、サッカーはArbeiterklasseアルバイタークラッセ 労働者階級のスポ-ツ。最近はそのように見なす人も少なくなったようですが、サッカーが広く根付いている国にあって見下している人々がいることは否定できません。
  
写真は、テーブルの花です。花といっても、主役はキイチゴ。庭の実ではなく、生花用らしきものをいただいたのです。
 庭のキイチゴは、採りそこなってダメにしてしまったものもありますが、先週収穫しました。とりあえず冷凍して、マフィンに入れようか、パウンドケーキに使おうか思案中です。多分明日も収穫できるので、来週はキイチゴのお菓子が作れると思います。乞う、ご期待!

ブルーベリーのシュトロイゼルクーヒェン③ 生クリームの話

ブルーベリーのシュトロイゼルクーヒェン・カット③.JPG

 現在ネットショップでは、7月のシュトロイゼルクーヒェンは黄桃となっていますが、ブルーベリーのタイプも製作しています。これもブルーベリーの上にシュトロイゼルがのっているのですが、シュトロイゼルがブルーベリーの果汁に染まって一体化してしまいました。
 写真は、18cmの型で焼いたものを1/8にカットしたものです。

 ドイツではふつう、写真のように、Kuchenクーヒェンというタイプのデコレーションをしていない焼菓子はホイップした生クリームと一緒にいただきます。
 残念ながら、お持ち帰りのお客さまやネットショップのお客さまには生クリームを添えることができませんが、ふわっと泡立てた生クリームと一緒に召し上がっていただくのがいちばん美味しい、ベストの状態です。

 ただ、生クリームを常備している家庭は日本ではあまりないと思いますが、ドイツでは乳製品が手頃な価格ということもあり、お菓子や料理用に常備している家庭が多いと思います。また、整髪剤のようなムース缶タイプのものもあり、手軽にホイップ状のクリームが出てきますが、個人的には口にする気が起こりません。
 お菓子に添えるときは、写真のような量が適量かと思いますが、ドイツでお茶に呼ばれると、サラダボールのようなものにホイップした生クリームが山盛りに出され、各自好きなだけ取り分けることもあります。なかには、写真の数倍の量の生クリームと一緒にクーヒェンをほおばる人もいますが、体型はおのずとその量に比例するようです。

 ところで、生クリームは何からできているか、ご存知でしょうか?私は、「生乳100%」のものを使用していますが、せっかく生乳を使っているのに乳化剤や安定剤が入っているものもありますし、生乳をまったく使っていない「植物性」の生クリームもあります。
 上質の生クリームには、牛乳本来のほのかな甘みがあります。生クリームの風味を楽しむためにも、またお菓子の甘みとのコントラストを出すためにも、生クリームには砂糖を入れずにホイップするのがポイントです。どちらも甘いと飽きてしまいますが、生クリームに砂糖が入っていないからこそお菓子がおいしくいただけるのです。(ちょうど、ごはんとおかずの関係と同じです。例えば、生姜焼きなどしっかりした味のおかずには、炊き込みごはんよりもそのままのごはんの方が嬉しいもの。それと同じです。)
 ぜひ、生乳100%のもので試してみてください。生クリームのなかではいちばん値段が張りますが、やはり本物は違うと実感していただけると思います。

 昨今、食品の問題が喧しいですが、安いものには裏があります。パッケージの裏の原材料はぜひ確かめたいものです。

『はらぺこあおむし』

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 最近は薔薇の葉を食糧にしている毛虫や青虫の退治が日課ですが、きょうも私の小指よりひと回りも大きな青虫を発見。ティッシュでつまみ、向かいの公園に移ってもらいました。青虫の場合はまるまる太っているので、必ず平和的解決を選択しているのです。

 そんなことばかりしているので、先日3日に紹介したサリーちゃんの本にかわって、窓辺にはドイツ語版の『はらぺこあおむし』を置いています。

 ご存知の方も多いと思いますが、あおむしが蝶に成長するまでに食べたものが楽しい切り絵になって、こどもが数やくだものの名前を学べるようにもなっています。
 そのなかに、毎日くだものを食べてもお腹を空かせていたあおむしが、生まれて7日めの土曜日、チョコレートケーキやぺろぺろキャンディー、アイスクリームにきゅうりのピクルスや薄切りのソーセージなどたくさんのものを食べて、とうとうお腹が苦しくなる場面があります。私は英語版も日本語版も知らないのですが、日本語版でもあおむしは同じものを食べたことになっているのでしょうか。このほかドイツ語版であおむしが食べたものは、チーズ、日本でいうウインナーにあたるもの、メロン(絵はスイカ)、カップケーキにドライフルーツがたっぷり入った焼菓子フリュヒテブロートです。特に最後のフリュヒテブロートは日本のこどもには馴染みがなさそうですが、きっと、原作に忠実に、かつ日本のこどももすっと受け入れられる表現が工夫されていることでしょう。

 ドイツ語ですが、何度も読まれていれば日本語が浮かんでくると思います。ぜひ、お手にとってみてください。

マリーとサリー 犬の話

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 2,3年前に「モンドヴィーノ」というワインをテーマにした映画がありました。現在のワインの潮流とその問題点とを世界各地の産地に訪ねて、浮き彫りにしたものですが、同時に犬の映画でもありました。そのような表現は適当ではないかもしれませんが、少なくとも私には「犬の映画としても楽しめる」映画でした。
 映画はまず、高齢の女性が何かおしゃべりしながら、大きな塊のチーズを切り分ける場面から始まります。それをお伴にワインをあけたらさぞ・・・と思っていると、何とそれはピレネー犬のえさ。カメラはしばらく犬が床に寝転んでチーズを大事にかじっている様子を映していますが、やがて、その女性こそとびきりのワインの生産者で、語っていたのはワインを作るようになったいきさつだったことがわかります。
 そして、いろいろな産地を訪ねると、大手のワイナリーは別ですが、小さな葡萄農家やワイナリーには必ず犬の姿がありました。映画の最後の場面は小さなカフェか食堂のテラスですが、カメラが追っていたのは、ワインを楽しむ人たちというより、客に連れてこられたメス犬とその気を惹こうと懸命な、おそらく1人暮らしであろうオス犬のほう。2匹の犬が目出たく睦まじくなるところまでカメラがねばって、映画は終わるのです。

 犬から始まって犬に終わるワイン映画。ワインの映画なのに、こちらの頬がゆるんでしまうほど犬が登場したのです。監督の意図はともかく、ヨーロッパではワインも犬もそれだけ暮らしに溶け込んでいることの証だと思います。
 実際ヨーロッパに行くと、大都市の真ん中でもよく犬を見ます。よその国のことはわかりませんが、ドイツでは、犬もレストランや地下鉄・バスなどの立ち入りが許されています。また、そのような人混みに連れてこられるような犬は、興奮することなく、落ち着いたもの。俗に「犬とこどものしつけはドイツ人」と言われますが、犬に関してはそれを裏付けるような犬ばかりです。
 私がお世話になっていた2軒の家にもそれぞれ犬がいました。焦げ茶の雑種のシンキーSchinkie(?)とポインターのルートヴィッヒLudwig。シンキーはおそらくラブラドールレトリーバー系の雑種で、人なつっこく、犬が苦手だった私でもすぐに手懐けられ、テレビを見ていると隣にやってきて、おなかを出すほど。夕方や日曜の午後はよく、男の子と一緒に散歩に行ったものです。一方、ハイディーとペーターのところのルートヴィッヒは、もともと猟犬向きの犬。シンキーのおかげで、犬への苦手意識はなくなったものの、その名も誇り高きルートヴィッヒにはなかなか気を許すことはできませんでした。

 それでもドイツですっかり犬好きになった私は、実家でもシベリアンハスキーのマリーMarieを飼い始めたのです。マリーは、黒と白のハスキー。真まるい黒の瞳は、まわりがブルーインクのような青で縁取りされ、睫毛も開いた側は黒で、閉じた側は白になっていました。散歩をしていると、下校中の小学生たちから『その犬かっこいいー!』と声をかけられたこともありました。
 以前シベリアンハスキーがブームのときは、週刊誌で「ハスキーは、アホ、バカ、恩知らず」などと書き立てられましたが、それはその飼い主がしっかり犬をかわいがっていない証拠。犬は愛情をかければちゃんとそれに答えてくれます。マリーは、散歩をするとき、家族それぞれの散歩のコースとペースとをしっかりわきまえ、私とはいつもタッタッタッと走ったものでした。
 そんなマリーも逝ってしまって10年。札幌から駆けつけたときには間に合いませんでした。ちょうど今日6月2日が命日です。実家では、柿若葉と紫陽花とがうつくしかったのを覚えています。 

 写真の犬の本は、作者のStephen Huneck (スティーヴン・ヒューネック?)の愛犬Sallyサリーをモデルにしたもの。サリーが海山に行くお話なので、私は5月から梅雨入りころまで窓辺に飾っています。そろそろ仕舞うので、マリーの命日に紹介させていただきました。
 なお、サリーももう逝ってしまったようです。たしかDogangelというタイトルで、サリーの頭上に天使の輪がある作品がありました。

お菓子と飲み物のおいしい組み合わせ u.アイスティー

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 ここしばらく5月らしい爽やかなお天気に恵まれましたが、きのうは雨。午後からよく降りました。
 そんな雨の日はお客さまが少ないので、ふだんなかなか出来ないことをやるには打ってつけ。ひさしぶりにタルトの生地を作りました。

 手が空いている間はだいたいお菓子を作っているのですが、その間にちょうどお客さまがお見えになることも当然あります。ドイツ語でRuehrteig リューアタイヒと呼ぶ、ruehren リューレン「かき混ぜて」作るタイプの生地は、途中で中断してもあまり問題はありません(なくはないのですが)。しかし、タルト生地は、ドイツ語のMuerbeteig ミュルベタイヒという名のとおり、生地がmuerbe ミュルベ「もろい」ので、中断は避けたいもの。また、片付が面倒なこともあって、私の場合、タルト生地の作業はどうしても時間と心の余裕があるときに限られます。
 しかし、タルトは、生地さえ作ってしまえば後はかんたん。ちょうど自分が食べたかったこともあり、さくらんぼに卵や生クリームなどで作ったソースを流して、軽いものを作りました。
 
 ところで、「お菓子に合わせて飲み物を選ぶ」方はまだあまりいらっしゃいませんが、おいしくお菓子をいただくにはやはり大事なこと。食べ物と飲み物の組み合わせに気を配るのは、ワインばかりではありません。紅茶と珈琲のように味と香りとが大きく異なれば、それに合うお菓子も当然異なるのです。珈琲一辺倒の方も紅茶党の方も、お菓子との相性を考えて飲み物を選ぶと、どちらもよりおいしくいただけると思います。ぜひ、以下の組み合わせを参考にしてみてください。
 このタルトの場合、生地が軽い上、さくらんぼの酸味があるので紅茶向けです。生地にアーモンドプードルやバター、砂糖を加え、甘みもボリュームもあるものならば、珈琲にも負けず、またさくらんぼの酸味が珈琲の味を損ねることもないと思いますが、この生地では難しいと思います。
 一般に、酸味のある(くだものを使った)お菓子や甘さを抑えた生地のお菓子には、私は紅茶をおすすめしています。苦味、香りの強い珈琲には、甘さやコクのある生地のお菓子でないと負けてしまい、お菓子が生きません。一方、紅茶は、アールグレーやラプサンスーチョンなど特殊なものを除いて、お菓子の邪魔にもならず、また酸味との相性もいいものです。例えば酸味のあるくだものの代表としてレモンを考えてみると、レモンティーはありますが、レモンを入れた珈琲はふつういただきません。アフリカ産など酸味が特徴の珈琲は酸味が味の深みを出しますが、過度に酸味が加わると「苦・酸っぱく」なり、おいしい珈琲でも、ましてやおいしいお菓子でもなくなってしまいます。
 ただ、どうしても珈琲が飲みたいという場合には、先にお菓子を選ばずに、珈琲に合うお菓子を選びます。珈琲には、やはりチョコレートや木の実を使ったお菓子がおすすめです。また、甘さがしっかりしていれば、くだものを使ったお菓子も大丈夫だと思います。
 
 なお、「モミの木」はTeestube テーシュトゥーベ 紅茶の店ですので、お菓子は基本的に紅茶向けの味です。紅茶はティーポットにカップ2.5杯分お出ししていますが、アイスティーの場合はグラス2杯分。2杯めを召し上がる前に氷をお持ちします。先におかわりの紅茶を注ぐとグラスに残っていた氷が溶けてしまい、紅茶が薄くなってしまいます。また、紅茶が入ったグラスにどぼんどぼんと氷を入れるのは、水ハネのもと。必ず、「2杯めを注ぐ前に」氷をお申し付けください!
暑い日には、紅茶がさっぱりさせてくれます。アイスティーというと、アールグレーを使うお店がよくありますが、これは、アールグレーはタンニンが少なく、アイスティーにしても白く濁りにくい(クリームダウンしにくい)ためのようです。しかし、アールグレー独特の線香に似た香りは好みの問題もある上、お菓子の風味の邪魔になることも多々。そのため、「モミの木」では、癖のないディンブラのアイスティーをお出ししています。淹れたての紅茶でもしっかり急冷すれば、色も濁らず、甘みのある香りも楽しめるのです。
 おいしいアイスティーの作り方は、06年8月16日のコラムで説明しています。どうぞ、そちらをご参考に。

二輪草・連休およびランチについて

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 庭の二輪草(ニリンソウ)が咲きました!
 写真は、一連の写真と同じく、好天に恵まれた24日のもの。
 二輪草は、木々が芽吹ぶくころ山に行くと、群生しているのが見られます。
 私も札幌にいたとき初めて知った花。ご存知ない方も多いかと思いますが、札幌では円山(まるやま)のほか北大植物園でも見られると思います。これから北海道にご旅行される方、桃色の里桜(サトザクラ)や同時に咲き出す梅のほかに、自然が残っている場所なら足下にあるかもしれません。
 この静謐な佇まいの花が大好きなのですが、これは隣の公園にはありません。苗は、思いがけず生協のカタログで見つけました。モミの木の根もとに植えて、これで2年め。その外側のラベンダーに隠れるように咲くと、じきに花も葉も枯れて、つぎの春まで姿を消してしまいます。
 
 ところで、何度もお知らせのとおり、きょう明日の月・火の定休日から来週の定休日の8日まで、実店舗はお休みさせていただきます。(ネットショップは通常どおりです!)

 しかし、先週の火曜日やきょうもそうでしたが、お天気がいいと、門扉が閉まっていようが看板もガーデンチェアも出ていなくても、お見えになるお客さまやお問い合わせなどの電話があります。
 定休日でも北側の駐車場に入れるようになっているオープンな作りが問題なのですが、営業時間以外は全くの一般家庭です。定休日に無人となる店舗とは異なります。休みの日の駐車場で、5分も10分も立ち話というのは、どうぞご遠慮くださいませ。もしも、自宅のガレージがたまたま空いているとき、知らない人に車を止められて立ち話をされたら…?と考えてみてください。私も、そのご想像と全く同じ心境なのです。

 なお、ランチのご予約は、前日の午前中まで、水曜日の場合は日曜日までにお願いいたしております。
 なにぶん、「ドイツのお菓子の紅茶店」(紅茶はドイツ製ではありません!)。いわゆる、喫茶店でもカフェでもありませんので、通常ランチも軽食もご用意しておりません。
 私ひとりですべて、ネットでご予約のお菓子や実店舗でお出しするお菓子を作るため、時間のやりくりが必要なのです。
 急なご予約にはお菓子のスケジュールやランチの材料調達の対応が難しいため、遅くとも前日の午前中までにお願いしておりますが、お受けできない場合もあります。どうぞ、ご了承くださいませ。
 
 ドイツでは、仕事とプライベートとをはっきり分ける人が多く、同僚と仕事以外に付き合うことは稀のようです。仕事は、休むときは休む、やるときはやる。仕事も勉強も時間をかけるだけではだめ、休むとき休まないといい結果が出ない、とよく言われるのです。これは、ドイツ語を習っていた東京のゲーテの先生方も試験の前などに言っていましたが、しっかり休まなければ体も集中力も持たないというのはどなたも同じでしょう。
 というわけで、ご来店のお客さまの少ないゴールデンウィークやお盆、年末年始などは、実店舗はお休みなのです。
 
 どうぞ、みなさまもよい連休を!
 Schoene Goldene Woche ! シェーネ ゴルデネ ヴォヘ!
 

テッセン

テッセン、カーネーションなど(07.04第.4週).JPG


 今週の花のご紹介です。
 今月はドウダンツツジの枝をハンノキの枝とともに活け、花はサクラに合わせてピンク系のものを別の花瓶にまとめていましたが、とうとうドウダンツツジの枝も瑞々しいのはこれ1本。今週は、紫紺のテッセンと白のアルストロメリアに、先週飾っていたピンクのカーネーションを加えました。まわりのグリーンはキイチゴです。

 ピンクの花はそれほど好きではないのですが、アルストロメリアの花びらに薄紅いろの線が入っているので違和感はないと思います。ほんとうは紫紺と白にグリーンで渋くまとめたかったのですが、まだテッセンもアルストロメリアも開ききっていないうえ、花の向きがよくないため、ピンクも加えたわけです。しかし、クレヨンのピンクのようにはっきりした色なので、テッセンが開いたら、色がぶつかるかもしれません。

 ただ、せっかくのテッセンの見頃がいつになるかは少々心配ではあります。というのも、今週の営業のあと、実店舗は4月30日~5月8日までお休みなのです。

 しかし、庭のジューンベリーの花は、去年は連休中見頃だったのが今年はその前に咲きそうです。まだまだ若木ですが、甘い実がなります。ドイツのJohannisbeeren ヨハニスベーレンと同じく、ちょうど夏至のJohannistagヨハニスタークのころ熟すので、同じ仲間だと思いますが、甘い実がなる品種なのです。生のものを好む日本では、リンゴをはじめ果物だけでなく野菜までもが、生の、火や手を加えない状態の糖度を競い、それがよしとされている結果だと思います。種はあってもそのまま食べる分にはいいのですが、私がお菓子に使おうと思っていた味ではありません。ジューンベリーの花も咲いたらご紹介します。

 そして、庭では水仙の蕾が大きくなりました!去年は水仙も連休過ぎに開花でしたが、今年は連休中が見頃のようです。西側のヒイラギの根もとに黄色い水仙がムスカリとともに並ぶと素敵なのですが、お客さまに見ていただけないのは残念です。

 もう初夏の陽気のところもあると思いますが、こちらはこれから水仙なのです。しかし、憎らしいことに今年は草も早く、定休日は草取りに3時間。雪掻きがなければ、草取りに落葉掃き。連休は、庭仕事です。
 

雨の日曜日

満開の辛夷.JPG


 先週に続いて、今週も日曜日は雨。

 雨のサクラや落花は風情がありますが、辛夷や木蓮にとって雨は大敵。特に花びらの厚い木蓮は雨に弱く、たちまち傷んでしまい、美しい花びらが無惨に茶いろくなってしまいます。木蓮に似た辛夷はそれほどでもありませんが、決して雨に美しい花ではありません。満開の辛夷の写真は、快晴の20日のものです。

 ところで、きょうは雨だけでなく給料日前でもあって、静かな日曜日。こんなときは、ふだん作る時間がなかなかなく、かつ日持ちのするお菓子を作ります。ネットでは販売していない、実店舗のみのパウンドケーキ。きょうは、小さなマーガレット型のレモンのパウンドケーキのほか、いわゆるパウンドケーキ型でドライフルーツとくるみが入ったものとマーブルケーキとを焼きました。
 特にドライフルーツのお菓子は、寝かせた方がドライフルーツの糖分や風味がなじんで美味しいもの。紅茶にも珈琲にもよく合い、ドイツでもお菓子を作る家なら常備している家庭もあります。私もお世話になったハノーファーの家庭を久しぶりに訪ねた後旅行に出るとき、ライ麦パンのサンドウィッチのほか、ドライフルーツのパウンドケーキも持たせてもらったことがありました。

 ところで、パウンド型のお菓子を均等に美しく切るのは結構むずかしいのですが、先日買ったデロンギのスライサーで試してみます。うまく切れたら売り物になりますが、果たして…?

サクラ並木 u.連休のお知らせなど

サクラ並木07.4.12.JPG


 先週木曜日12日朝のサクラの写真に引き続き、今回もそのとき撮ったものの1枚です。
 というのも、その後写真のような青空に恵まれなかったため。この並木は、「モミの木」の西向かいにある公園の西側。今年は例年開花の14日より少し早く、12日の好天で夕方にはほぼ満開になりました。

 俳句にも「春愁(しゅんしう・はるうれひ)」という季語があるように、春は、花が次々とほころび、新年度も始まって、心が華やいだりシャキッとしたりしますが、その反面ふっと、もの哀しい思いに囚われることがあります。おまけにちょうど花(桜)のころは、花曇(はなぐもり)、花冷えの時期。私の場合心が晴れないのは、天気のほかにもうひとつ理由があります。
 「モミの木」はサクラ並木がすぐそばのせいで、この時期混むでしょう?と言われるのですが、全くの逆なのです。いつもいらっしゃるお客さまは見えず、土・日は「基本的に」看板も出さないようにしているので、店と気がつく方も少ないようです。また、花見をなさる方はみなさんコンビニのお弁当や飲み物の袋を提げていらっしゃいますし、お子様連れの方も多いのです。そのため、ランチも予約が必要、お子様連れもご遠慮いただいている「モミの木」は通常より静かな状態。私としてもランチやお子様連れのお客さまをお断りするのは心苦しく、断わられる方もいい気分はしないはずです。

 そんなわけでこの時期お子様連れの多い土・日は看板は出さないようにしていますが、営業はしております。4月は、29日まで実店舗の休業予定はありませんが、以前お知らせしたとおり、実店舗は4月30日月曜日~5月8日火曜日まで連休いたします。
 なお、看板は最近まで全く出さないようにしていたのですが、やっているかどうかわかるように出してほしいという要望のため、なるべく出すようにいたしました。サクラの時期でも、平日は、雨や風の強くないかぎり出しています。ただし、ランチのご予約で手一杯のときはその時間看板を出さないこともあります。(看板を出さない理由は、2006年11月11日のコラム参照)

 お店なのに看板を出さないのはおかしい、と思われる方もいらっしゃると思いますが、私としては商売として「モミの木」をやっているのではなく、ドイツの家庭で作って食べられているお菓子Kuchenクーヒェンとドイツの知人の家の居間のようにコーディネートした空間とを通して、一般的なドイツのイメージ(=ビヤホール文化)とは別の側面(家庭のくらし)を伝えられたら…、と始めたもの。むしろ、「店」の雰囲気がなるべく出ないようにしています。そのため、ふつうのドイツの家庭にないものは使わない、出さない、ふつうの主婦がやらないこともしない。そう心がけているのです。

 看板もその基準に合わないものですが、レジもトイレのペパータオルもその意味でも使いたくないもの。そこで、数字が苦手な私はレジをかわいい子犬の絵が並んだティータオルで隠し、トイレのペーパータオルはゴミにもなるため、ハンドタオルを用意しています。
 ただ、日本にいるドイツの知人とも嘆くのですが、最近ご自分のハンカチを使う方が少なくなってしまいました。ドイツではよく、再生紙を漂白していないごわごわのグレーのペーパータオルがトイレに置かれていますが、知人は来日した当時みんながハンカチを使っているのを見て、ほんとうにumweltfreundlich!ウムヴェルトフロイントリッヒ 環境にやさしい!と感心したそうです。しかし、私もホテルやデパートのトイレで使われたペーパータオルが溢れているのを見ると、唖然としてしまいます。タダならあっても貰う、使うということに馴れてしまったのでしょうか。ご自分のハンカチを使えばその分ゴミが減ります。最近やっとレジ袋削減が声高になってきましたが、公共のトイレのペーパータオルや騒々しい手の乾燥機(ハンドドライヤーとでもいうのでしょうか?)なども使用を慎みたいもの。持参のハンカチで拭けばすむものにこれほどエネルギーが必要か、ぜひ考えてほしいと思います。

 ところで、サクラですが、土曜日のにわか雨や日曜ときょう月曜の午後からの雨にもかかわらず、散ってはいません。青空が待たれます。
 

復活祭④―辛夷咲く

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 きょうドイツでは、復活祭2日目の祝日、Ostermontagオースターモーンターク「復活祭の月曜日」と呼ばれる日です。復活祭の前後2週間ほどは学校も休み、一般にも祝日のKarfreitag「嘆きの金曜日」から4連休になります。この復活祭はクリスマスとともに、信仰上重要な行事であるばかりでなく、家族揃って過ごす大事な行事のようです。離れて住む子どもには、クリスマスが無理なら復活祭には帰省しなさい!と言われるようですが、旅行にも最適な時期です。

 こちらでもようやく辛夷(コブシ)が咲きました!西側の公園の辛夷については、元日や3月14日の『春の雪』のコラムでその冬芽の写真を紹介してきましたが、やっと枝先の蕾が開きました。しかし、ご覧のとおり、大半はまだ蕾です。

 東京に住んでいたときは、まず待ち遠しかったのが梅、そしてまだ冷たい夜気とともに薫ってくる沈丁花でした。桜のころはすでに暖かく、春を実感しているので、それほど開花を待ちわびることもなかったのですが、3月4月になっても東京の冬より寒い日が続く札幌やここ仙台では、辛夷がいつ咲いてくれるのか待たれるのです。仙台の梅のころはまだ寒く、春は名のみ。しかし、辛夷まで咲くと桜ももうすぐで、ようやく春の到来を実感できるのです。
 辛夷は、よく似た白木蓮よりも花は小さく花びらの厚さもありませんが、木はひと回り大きく、20メートルほどになります。
 札幌にいたときは、雪がまだ残る山に辛夷が咲いているのを見つけると、ほんとうに嬉しく、有難い気持ちになったものです。

 ところで、復活祭の休みに行ったウィーンでは、オペラ座の裏手にあった白木蓮が満開で、それは見事でした。しかし、辛夷については頭を抱えてしまいます。というのも、当時は植物にもましてや俳句にも興味がなかったうえ、生まれ育った暖地の静岡では辛夷など見たこともなかったのです。きっと、昔の私のように辛夷はご存知ない方も多いでしょう。例の『北国の春』で歌われている辛夷がこの花なのです。

 私にとって、北国の春は、初めは遅々としてなかなか進まず、ながい助走をとっているようですが、あるときを境に一気に進みます。その境がこの辛夷や連翹なのです。桜の開花ももうすぐ。明日は少し散歩の足を延ばしてみようと思っています。

復活祭③―復活祭日曜日

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 きょうは、復活祭。イエス様の復活を祝して、きょうと明日の月曜日は祝日です。

 復活祭もクリスマスと同様、もともとゲルマン人の祭とキリスト教とが結びついたものですが、復活祭は春分の後の最初の満月の日と決められているため、年によって早い遅いがあります。このころには、ドイツでも日が長くなり、さまざまな花も咲き出します。早い3月下旬の復活祭には連翹や木蓮、遅い4月中旬の復活祭にはりんごやプルーンなどの木の白い花がいっせいに咲き誇ります。しかし、ホワイトクリスマスならぬ「白い復活祭」という言葉もあるように、復活祭に雪が舞うこともあるようです。

 写真のDFBデー・エフ・ベー(Deutscher Fussball Bund)ドイツサッカー連盟の公認カレンダーは、月曜から始まるタイプ。日曜日のほか、前後の月の日付と祝日とが白く表示されています。先日のイエス様受難の金曜日Karfreitagの6が白くなっているのがおわかりになると思いますが、きょうと明日9日も復活祭の祝日のため数字が白くなっています。
 ちなみに、4月は代表チームキャプテンのミヒャエル・バラック選手。バラック選手は旧東独の出身で、今シーズンはバイエルン・ミュンヒェンからイギリスのチェルシーに移籍してしまいましたが、写真のキャプションには「(ピッチの)アーティスト」とあります。ボランチのバラック選手は視野が広く、絶妙なパスの出し手ですが、それを称えたものでしょう。確かW杯前のシュピーゲルかシュテルンという雑誌に、「ミヒャエル、あんたの子どもが欲しい!」というメッセージを掲げた女性が写真に写っていました。2006年ドイツ代表の私の贔屓はクリンスマン監督とレーヴコーチの2人にフリンクス選手とフィリップ・ラーム選手ですが、バラック選手はプレーヤーとして人気が高いようです。

 ところで、復活祭に復活するのはイエス様だけではありません。シュトレンも復活するのです。これは、ドイツの知人から復活祭には残ったシュトレンを食べるというのを聞いて、シュトレン好きの私が復活祭用に1本残しておき、毎年いただくことにしているだけの話ですが、そもそも、保存方法が限られた時代から焼き継がれてきたお菓子は、日持ちがいいのです。クリスマスの前のアドヴェントにいただくため、ドライフルーツをたっぷり入れてじっくり焼いたシュトレンも例に違わず、しっかり保存すれば復活祭のころいただいても全く問題ありません。
 「モミの木」でも復活祭の前後にお出しすることにしているのですが、今週は出しそびれてしまいました。来週1週間はお出しします。クリスマスの前に機会のなかったお客さま、どうぞお試しくださいませ。

 桜はまだ蕾のようですが、ようやく辛夷の蕾が大きくなり、枝先の蕾からは白い花が見えてきました!まだ開いてはいませんが、明日にはほころぶと思います。どうぞ、乞うご期待!

復活祭②―Karfreitag 聖金曜日

ハンノキとドウダンツツジ.JPG

 きょうは、ドイツ語でKarfreitagカールフライターク、日本語では聖金曜日または嘆きの金曜日と呼ばれる日。国をあげて復活祭が祝われない日本では、聖金曜日と言われてもピンとこないかもしれませんが、嘆きの金曜日と言われると想像がつく方もいらっしゃるでしょう。例によって『独和大辞典』では、「キリスト受難の日」という説明がありますが、具体的には、十字架に磔にされたイエス様が処刑され、葬られた日。ドイツでは祝日です。

 教会では十字架を除き、祭壇のほか彫刻や絵画に黒い布を掛け、鐘も鳴らさないそうです。「そうです」と言うのも、復活祭の休みは2軒目に滞在していた家族と一緒にオーストリアにスキーに行っていため。教会とは無縁だったのです。

 しかし、復活祭は元来春の祭を意味するように、ちょうどこのころドイツではいっせいに春がやってきて、芽吹きどき。連翹の黄色い花や白の木蓮の花などで街が華やかになります。

 それにちなんで、今週は初々しい新芽をつけたドウダンツツジをメインにしました。ドウダンツツジは秋の真っ赤な紅葉が見事ですが、春開いたばかりの可憐な葉も美しいものです。この葉を大事にしたくて花は別の花器にまとめ、ほかは先週の庭のキイチゴのみ。少し葉が開き蕾も出てきましたが、画竜点睛を欠くようで、物足りないのです。そこで、ドライになってしまったハンノキを加えたところ、ドウダンツツジの葉を引き立ててくれました。考えてみれば山にも早く芽吹くものと遅いものとがありますから、枯枝が混じっていてもおかしくはない、むしろ自然かもしれません。

 ところで、今朝カーテンを開けると、公園の向こうの桜がピンクになっていました。八重のヒガンザクラ系なので、蕾でも大きくなると色が濃くはっきりわかるのです。開花は来週でしょうか。どうぞ、お楽しみに。 

復活祭①―Gruendonnerstag 緑の木曜日

復活祭の週のテーブル.JPG
 

 今週は、8日日曜日に復活祭を控え、ドイツ語でdie heiligeWoche ディ ハイリゲ ヴォッヘ「聖週」、ないしはKarwoche カールヴォッヘ 「嘆きの週」、「受難週」と呼ばれる1週間です。

 カーニバルの後のAschermittwochアッシャーミットヴォッホ「灰の水曜日」から始まる四旬節は、イエス様が荒野で40日間断食をしたことにちなみ、日曜日を除き復活祭までの40日間精進をしますが、現在ではあまり厳格に守られていないことは先のコラム(2/19 『カーニバルの薔薇の月曜日』)でも記したとおりです。

 しかし、この四旬節最後の1週間は、信者の方々にとっては特に重要な時期。というのも、ユダヤ教やローマの監視の目があまり届かないガリラヤ地方で布教をしていたイエス様がエルサレムに入り、これらの勢力の支配下で布教を始めますが、ユダの密告によって捕らえられ、磔刑に処せられてしまうという一大事が起こった1週間だからです。
 この受難週の1週間は、エルサレムにやって来たイエス様を上着や棕櫚の葉を道に敷いて迎えたPalmsonntagパルムゾンターク「棕櫚の日曜日」から始まり、最後の晩餐となったGruendonnerstagグリューンドナスターク「緑の木曜日」、ゴルゴタの丘の上で磔刑に処せされたKarfreitagカールフライターク「嘆きの金曜日」、イエス様なきKarsamstagカールザムスターク「悲しみの土曜日」と続きます。そして、日曜日の夜明けの復活。この復活祭当日の日曜はOstersonntagオースターゾンタークといい、次の月曜日のOstermontagオースターモーンタークとともに祝日です。

 この1週間は信者の方々は特に精進と懺悔に勤めるそうですが、なにぶん復活祭の2週間ほどの休みには2軒目に滞在した家族とオーストリアにスキーに行き、その後一人でウィーンなどを回っていたため、精進の度合いが私にはわかりません。しかし、冬のあいだあまり太陽を拝めず、日が出ても3時を過ぎると暗くなってしまったのがだんだん伸びて、太陽が出る日も増えるだけでなく、街中にパッと連翹の黄色い花や白い木蓮の花が咲いてくると、復活祭が元来はゲルマン人の春の祭と結びついたものだったことにも肯えます。
 このゲルマン人の春祭に由来して、復活祭の飾りは卵とウサギ。卵は生命の、ウサギは多産の象徴と言われています。木製の美しく彩色した卵をモミなどの切枝に飾って花瓶に差したり、お菓子屋さんのショーウインドーには卵形のチョコレートをいろいろな模様で包んだものやウサギ形のチョコレートが飾られています。そして、この卵とウサギとが結びつき、俗に復活祭の卵はウサギが運んでくるとも言われていて、小さな子どものいる家庭では庭のあちこちに彩色したゆで卵を隠して子どもに卵探しをさせるようです。私がいた家庭でも幼稚園のころまではやっていたそうですが、すでに子どもたちは小学校高学年とギムナジウム。残念ながら体験できませんでした。
 
 「モミの木」でも卵の飾りをしたかったのですが、木製の卵がないため、Gruendonnerstag緑の木曜日にちなみ、今週はテーブルのクロスをグリーンで統一しました。緑の木曜日は、「洗足の木曜日」ともいわれるとおり、最後の晩餐の前にイエス様が使徒の足を洗ったことに由来します。この日は、ホウレンソウなどのスープを食べる習慣や、かつては日緑の外套を纏ってミサに参列したこともあったそうです。
 クロスは、円テーブルには濃淡のグリーンのものを2枚ずつ、奥のダイニングテーブルには濃淡のグリーンにカップなどが描かれたミントンのクロス。写真手前のペパーミントグリーンのクロスには、窓辺のアネモネに合わせて、アネモネのティータオルで変化を出しました。

 ここ仙台では、ドイツの季節の歩みと重なり、春の草草が出てきたところです。辛夷はまだですが、連翹は咲き出しました。桜までもうすぐです!

お粥とミルヒライスの話 

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 くつくつと笑ひだす粥春の風邪  岡田靖子 (『鷹』2001年6月号)

 現在19日月曜日から28日水曜日まで実店舗のお休みをいただいておりますが、せっかくの休みというのに風邪で寝込んでいます。
 実店舗では小学生以下のお子様連れをご遠慮いただいているせいか、学校の休みの日はお子さんがいらっしゃる女性やお孫さんの面倒を見ていらっしゃるお客さまのご来店がありません。そこで、春休みの間は実店舗はお休みにして、ふだんできない用事を片付けよう…と目論んだのですが、ひたすら薬を呑んで横になるのみ。ようやく峠を越えたものの、こういう時に読みたい本もなくて、もったいないなどと思っています。

 『春の風邪』は、歳時記にも「それほどおもくはなく」、「あたたかくなった日ざしの中、家で休んでいたりして、情感がある。」と説明されているとおり、大したことはないというイメージがありますが、今回は春の風邪だからと侮って、あと1日…と無理をしたのが失敗。悪化させる原因になってしまいました。とにかく風邪は先手必勝。ずる休みのように思える段階で休むくらいでちょうどいいのかもしれません。もっとも、ひかないに越したことはありませんが。

 ところで、風邪というと掲句のようにお粥ですが、私の場合、お粥は七草粥や小正月の小豆粥のみ。それ以外実際風邪をひいてお粥を食べたのは子どものとき以来ありませんが、ドイツにいたとき小学校の給食でMilchreisミルヒライスが出たことがありました。
 このミルヒライス、どんなものかご存知でしょうか。映画『ベルリン天使の詩』のなかで、天使役のブルーノ・ガンツが読む≪Als das Kind Kind war, アルス ダス キント キント ヴァール≫「子どもが子どもだったころ」で始まる詩が何度となく挿入されるのですが、そのなかに≪wuergte es am Spinat,an den Erbsen,am Milchreis und am geduensteten Blumenkohl,≫と続く箇所がありました。これは、ほうれん草やえんどう豆、ミルヒライス、蒸したカリフラワーは飲み込むのに苦労した、苦手だったという意味で、パンフレットでは確かミルヒライスが単なるライスになっていました。どうやら訳者はミルヒライスを知らなかったようですが、ドイツで食べたライスは苦手ではないけれど、ミルヒライスは大の苦手の私からすると、ライスとミルヒライスは大違い!なのです。
 Milchが牛乳ということがわかれば、牛乳で煮たReisと想像がつくと思います。現に、私がその数年後に買った『独和大辞典』には、「米を牛乳でやわらかく煮たもの」という説明がありますが、肝心の味の説明がありません。
 ドイツでもReisを食べることは先日のチキンライスの回にふれたとおりで、給食で出た、ささみのソテーを生クリームのソースでかるく煮たものに付け合せのReisをあえていただくのは美味しかったことも記しましたが、これは違うのです。甘い!のです。要は、牛乳のお粥、牛乳のリゾットですが、塩気はなく、甘いのです。
 ミルヒライスが昼の給食のときは、これ一品。ほかに、おかずもデザートもありません。私が何も知らず、初めて食べたときの驚きと言ったら!見た目は、具のない牛乳のお粥です。きょうのお昼はさみしい…とおもむろに一匙口に運ぶと、塩味の牛乳のお粥と思ったものが、甘い牛乳のお粥だったのです。
 ありがたいことに、この学校では給食は全員がとるものではなく、1週間前に発表される献立を聞いて各人が希望する日のみ頼むというシステムでした。そのため、ミルヒライスのときはライ麦パンのサンドウィッチなどを用意することで、私は事なきを得ました。
 もし、このミルヒライスが食後のデザートやおやつとしていただくのならば、よかったかもしれません。例えば、「ぜんざい」は好きでも、給食が「ぜんざい」だけだとしたら、喜ぶ子ばかりではないでしょう。
 しかし、何といっても甘いごはんそのものに対する抵抗は消えません。もっとも、子どものころ私の家では、風邪をひくと、いわゆるお粥ではなく、食パンを牛乳で甘く煮た「パンがゆ」が定番でした。考えてみれば、牛乳と砂糖で甘く煮たものが、パンかごはんの違い。そのパンのほうを喜んで食べていたのですから、ミルヒライスのことをうんぬん言う資格もないかもしれません。なお、小正月のときに食べる小豆粥は、お粥にあらかじめ茹でた小豆と餅を入れて煮、塩で味を調えたもの。小豆だからといって甘いお粥ではありません。

 写真は、ガスレンジの前のカウンター。ここ以外にあちこちに2階の本棚からあふれたペーパーバックを並べています。本は全て英語。子ども向けの本のほか、赤毛のアンやクリスティーなどもあります。
 お茶のお客さまには、図書館のようにゆっくりしていただきたいのですが、なかに欲しいというお客さまもいらっしゃいます。そこで、古物商の免許も取り、販売できるようになりましたが、値つけまで手が回りません。関心がありましたら、どうぞお問い合わせくださいませ。
 

椅子の手入れと買い物の話

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 先日の新聞(朝日)で、ある主婦の方の投稿が目に留まりました。それは、少し前に掲載されたアメリカ在住の日本人女性の投書、『和式トイレに伝統の知恵が』に与(くみ)するもので、身近なものの洋式和式とそれぞれの長所短所をあげ、例えば和式のものの人数やサイズに柔軟に対応できるよさを述べ、「あまり急いで和式を葬るべきではない」という先の投書の主旨を支持しています。

 私のように、ドイツの家庭のお菓子を通してドイツの暮らしも紹介したい!とこんなことをしていると、ドイツ贔屓に思われがちですが、やみくもに何でもドイツのものや欧米のものをよしとするわけではありません。いい面も疑問に思っている面もあります。
 私も、今回の主婦の方の指摘には頷くことしきり。特に、「鼻緒を調節すれば足の形や成長を問わない」という下駄の話に、たまに訪問着の袖を通しては帯や草履に苦しむ私は、忘れていた下駄のよさを思い出し、また同い年の主婦の方に感心しました。

 ただ、一点ひっかかったことがあります。それは、「和式と違って、衣服をはじめ洋式の多くは最後まで使い切ることができず、資源を有効利用できにくいのではないでしょうか。」というところ。ご本人も「洋式の多くは」と断わっていらっしゃいますが、私には、修理をしつつ物を大事にしているドイツの知人の顔が浮かんで、これには諸手を挙げて賛成というわけにはいきません。
 だいたい、ドイツでは日用品以外の物を買うことが少なく、欲しい物は誕生日とクリスマスのプレゼントまで待つ、という人が多く、物選びの時間は相当なもの。じっくり選んで、気に入ったものを大事にする、住宅をはじめ、修理しながら長く使うという暮らしが生きているのです。
 例えば、写真のように、椅子の座面は裏から押すだけで、全く力を入れずに簡単にはずれます。ふだんの手入れだけでなく、布が擦り切れて換えなければならない場合も、取りはずしが簡単なので、修理しつつ長く使えるのです。
 「モミの木」の椅子はせいぜい戦前戦後くらいのイギリスのものですが、どれも座面の交換が楽にできるようにデザインされています。また、修理がしやすいおかげで、あらたに別の人間が買って使いたいと市場も成り立つのです。(ちなみに、これは個室の椅子ですが、カーテンに合わせて赤い生地、また青が美しいリトグラフの前には青の生地、カウンターの前にはモスグリーン、と場所によって座面の色を変えています。)
 しかし、日本には洋式の物はうわべの形しか伝わらず、本来長く使うことを考えて修理しやすくデザインされていることやそれをどう手入れをしながら使っているのかなど、物の全体像まで伝えられていない、そんなものが多いようです。(例えば、シュトレンも然り。あれを日本のようにクリスマスイブに食べるお菓子と思っている方も多いでしょう。詳しくは12月のコラムを。)また、修理が効かず捨てるしかないものは、当然ながらその流通も成立しません。

 確かに日本にも物を大事に受け継ぎ修理をしつつ長く使うという暮らしがありましたが、いまは、特に90年代からのデフレから、長く使えるものよりも安いものという物の作り方と選び方に変わってしまいました。その象徴が100円ショップの興隆ですが、心して物を選ばないと物の寿命は短くなるばかりです。
 私は物を買うときは、そもそも必要か否かを考えたうえで、必要ならば飽きのこないデザインのもの、また多少高くとも長く使える上質のものを選んでいます。また、修理ができるか否かも大切なこと。結局長く使えるものが得であるばかりか、資源を無駄にしない暮らしにつながります。物の買い方ひとつとっても、私には一緒に暮らした明治生まれの祖母とドイツでの暮らしとが影響しています。「モミの木」にあるものも、お店で使うものという視点ではなく、このようなことを大事に選んでいます。
 一人ひとりの物の買い方も、環境に影響が出る時代です。なるべく、物が泣くような買い物は避けたいものです。
 
 

チキンライスとお皿の話

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 チキンライス皿まで赤し春来る 窪田ちか(『鷹』2002年5月号)


 ここ仙台でも先週梅の開花のニュースがありました。暖かさからと言うより、最近とみに日が長くなったおかげで、春が来たのを実感しています。「モミの木」の西の窓辺のテーブルも4時半を過ぎても明るく、物を読むのにちょうどいいのです。
 ドイツでもカーニバルの後、クリスマスのころは3時を過ぎると沈んでしまった日がだんだん長くなり、日の長さとともに春を感じたものです。

 ところで、冒頭の句です。俳句で「春来る」というと立春のことで、必ずしも春が来たという実感を表す季語ではありませんが、私は暦の立春のころというより、春になった、もう冬の光とはちがう、と気がつくようになると、このチキンライスの句を思い出してしまいます。
 一読、「あ~、おいしかった!」という声が聞こえてきませんか。チキンライスはきれいにお腹におさまって、いまはケチャップが赤く残った(白い)皿のみ。食後の飲み物を待つ間、お腹も心も満たされて、外に目をやると、何だか光がちがう。冬の光にはよく晴れていても刺々しい感じがするのに、刺々しさが消えている。光がまるくなっているような…。庭に植えられた花々も心なしか暖かそうに見える…。
 この句では、「春来る」のみで、具体的に春の季語が使われていません。読み手の想像に委ねられているので、上の鑑賞も全くの私の想像にすぎません。
 ただ、チキンライスを外で食べるとしたらどんな場所か、と考えてみると、チキンライスというクラシックなメニューのため場所が限定されます。デパートの食堂や昔ながらの喫茶店にもチキンライスがあると思いますが、外の景色を眺められるような場所でないと「春来る」が実感しにくいもの。しかし、チキンライスが定番の老舗の洋食店ならば、中庭などがあったり建物自体が緑ゆたかな場所にあって「春来る」という気分も味わえそうです。そんなわけで、チキンライスの一語に私は緑が楽しめる老舗の洋食店を想像したので、自然とケチャップの残った白い皿に銀のスプーンまで見えてきました。
 また、俳句で食べ物の句を作るときは、旨そうに作れ、と言われますが、チキンライスと「春来る」のおかげで老舗洋食店が想像でき、老舗洋食店のチキンライスならば味も保証されます。現に作者はきれいにお腹におさめて、赤くなった皿が残るのみ。不味いわけがありません。
 最後に、チキンライスを食べたのは外ではなくて、家だった可能性もあるかもしれません。しかし、皿の赤さに目が行ったことを考えると、真っ白な皿だったからこそケチャップの赤が鮮やかに見えたのだと思います。家庭で使う柄物の皿の場合、なかなか赤い色も美しく見えません。白の磁器だからこそ、ケチャップの赤も美しく見えるのです。そんなわけで、私は、お皿からも老舗洋食店を想像したのですが、いかがでしょうか。

 このように書くと長くなりますが、考えるのは一瞬のこと。その後は、久しぶりにわざわざチキンライスを老舗洋食店まで食べに行きたいなどと、美味しい店を思い出しては楽しくなってしまいましたが、写真は「モミの木」で使っているお皿です。
 正確には上のプルーンのスープ皿は自家用で、「モミの木」では、同じサイズでプルーンの柄とゴールドの縁のない、それこそ真っ白なスープ皿にハンバーグやビーフストロガノフを盛っています。付け合せは、ドイツでもよく一緒に出されるじゃがいもといんげんの場合が多いのですが、たまにいんげんと人参を盛ったときは、この白いお皿のおかげでとても人参が映えます。
 白にもいろいろあって、黄色っぽいものや灰色がかったものがありますが、これは色白。料理を美しく見せてくれる色です。
 また、本来のディナー皿は下に置いた27cmのもの。ただ、日本人の胃袋や日本の食卓には大きすぎるため、私は直径18cmや21cmのお菓子用に使っています。一方、上の24cmのお皿はスープ皿ですが、スープのほか、パスタ、シチュー、カレーなどにもぴったりのサイズ。非常に重宝しています。同じ24cmのディナー皿よりも、カレーは食べやすく、シチューが盛れることから、これから買うならばこちらがおすすめ。このお皿に盛った写真をご覧になればおわかりいただけると思います。

 ただ、いつまでも料理が美しく見えるよう、チキンライスをお出しするわけではありませんが、仮にチキンライスを盛っても「皿まで赤し」と見えるよう、手入れをしています。1枚1枚ソースの残りなどを拭い取ってから洗っているのですが、その話はいずれまた。
 
 なお、先日なるべくライスではなく「ごはん」という言葉を使いたいという話を書きましたが、チキンライスは例外です、念のため。
   

薔薇かバラか?言葉の表記について

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 先日、カーニバルのパレードなどが行われるRosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日について書きましたが、そのときRosenの日本語をどう書くか、漢字ではなくカタカナにすべきか、あるいはひらがながいいのか、一瞬ですが考えてしまいました。
 ドイツ語のRosenは英語のroses、バラの複数形です。
 植物の名前の表記については、私は、「今週の花」や庭の花の紹介など、植物の名前や品種の紹介に力点を置く場合は、原則として新聞と同様カタカナ表記にしていますが、俳句を紹介する場合は、個々の作品に従っています。
 しかし、今回はRosenを含む一般名詞。花の名前を紹介するわけでもないので、カタカナを使う理由が私の原則に該当しません。では、漢字かひらがなか?困ったときの『広辞苑』ではありませんが、小学館の『独和大辞典』を見ると、ひらがな表記です。おまけに、Rosenmontagは元来Rasenmontag「ラーゼン」モーンターク、「狂騒」の月曜日がなまったもの、という説明もあります。この話はよく聞く話で、私は辞書にも説明があるとは初めて知りました。
 それでも漢字を使ったのは、Rosenmontagが本来花の名前と関係がないにしても、きょうばかりは無礼講の、仮装した人々でごった返し、思うように身動きがとれない広場や男女の無秩序な一日を表すには、薔薇という複雑な漢字がぴったりと思ったからでした。花そのもののイメージではなく、あくまでも薔薇という字面から受ける、複雑な入りくんだイメージです。それが、はからずも「狂騒」の月曜日といった「薔薇」の月曜日の実態を示しているような気がしたのですが、いかがでしょうか。 
 
 ところで、私は、ライスという言葉はあまり使わないようにしています。「モミの木」でも、パンかごはんか、どちらになさいますか、とお聞きしています。理屈をいえば、単にササニシキを炊飯器で炊いただけで、お皿に盛ってお出ししますが、まさしくお茶碗でいただく「ごはん」そのものの炊き方だからです。
 ドイツ語でもReisライスと言って、じゃがいものかわりに肉料理と一緒にいただくことがあります。たとえば、ソテーした鶏のささ身を生クリームのソースで軽く煮たものが小学校の給食によく出て、それにはパラッとした、まさにライスが付け合わせ。ソースをからめていただくのが、結構楽しみでした。私が2軒めに滞在していた家庭は、純ドイツ料理ばかりではなく美味しい(!)ラザニアなども登場しましたが、1度付け合せにライスが出たことがありました。ライスは、お湯を沸かしてパスタのように茹でるだけ。茹で上がったら、お湯を切り、後は肉料理のソースと一緒にいただきます。
 それが私にとってのライスです。わざわざ「ごはん」という、やさしい食卓のイメージがある言葉を捨てたくはありません。もっとも、私がお米をドイツ式に茹でたものを出すのなら別ですが…。

 ついでながら、イタリア在住の作家塩野七生さんは、「ワインと聴くたびに、私は悲しくなる。」と『イタリア遺聞』で書いていらっしゃいます。先ほど、塩野さんはワインという言葉が嫌いだったはず、と著書をひっくり返したら、この文の後に、ワインと言われるとき感じる胸の痛みについて、御飯をライスと言われたときの胸の痛みを引き合いに出していらっしゃいました。
 
 言葉を大切にすることは、言葉の指し示す物を大切にすることに通ずると思います。たぶん私がライスと言われて厭な気持ちになるのは、ごはんが軽んじられているような響きを感じるからだと思います。

 最後に今週の花のご紹介ですが、花の名前をお知らせすることが目的ですので、カタカナ書きです。
 今週は、ミモザに合わせて、レモン色のガーベラと黄色の芯が印象的なマトリカリアを足しました。マーガレットを小さくしたような花のマトリカリアは、ほかにピンとくるものがないときよく使っています。
 ほかにユーカリもあるのですが、お財布をごそごそやっている間に花屋さんに短くされてしまいました。花瓶の中にペットボトルを入れて上げ底もしていますが、残念ながらご覧のとおりです。
 来週は雛祭もあるので何か桃色の花の予定ですが、桃色は来週まで封印しました。 

カーニバルの薔薇の月曜日

デニスとヴィリー.JPG

 今年の2月19日は、ドイツではRosenmontagローゼンモーンターク、薔薇の月曜日と呼ばれる日。この日がカーニバル(Faschingファッシング)のハイライトの日で、カトリック地域では祝日、目抜き通りを思い思いに仮装した山車のパレードや、仮装のダンスパーティーなども内輪であるようです。
 
 私がいたハノーファーはプロテスタントが多い地域のため、祝日でもなかったのですが、カトリックの小学校ではご覧のとおり。先生方も子どもたちも仮装姿で登校し、私もデパートに出現したカーニバルグッズ売り場で調達した黒と白の三角帽子と、借り物の黒の超ミニのワンピースに赤いタイツでピエロ風の出で立ち。授業もなくて、パントマイムゲームなどして遊んで過ごしました。
 仮装の主流は、男の子は右の写真のWilliヴィリー(先生の後に座っている赤い鼻がわかりますか?)のようなピエロか、左のDenisデニスのようなドラキュラ、あるいはカーボーイやインディアンと水兵さん。女の子はお姫さまスタイルが多かったと思います。

 ところで、ヴィリーとは朝同じ路線バスに乗っていたのですが、顔までしっかりピエロ姿のヴィリーが乗ってくるとほかの通勤客が驚きの表情を浮かべたり、奇異な眼で見ていたのが忘れられません。ハノーファーでカーニバルと言えば、あくまでもテレビのなかのカトリックの行事、ケルンやデュッセルドルフなど遠い街のばか騒ぎと見られているようでした。
 
 そもそもカーニバルとは、復活祭に先立つ四旬節の前のお祭り。四旬節の間は、イエス様が荒野で40日間の断食をしたことに倣い、安息日の日曜を除いて肉食が禁じられるため、その前に盛大に飲み食い楽しもうというものです。
 もっともいまは厳格に精進が守られているわけではないようですが、四旬節は、カーニバルの後のAschermittwochアッシャーミットヴォッホ灰の水曜日から復活祭の前日まで、日曜を除いて40日間続きます。学校でも、アッシャーミットヴォッホの給食はHuehnersuppeヒューナーズッペ。鶏のコンソメに野菜が入ったスープですが、担任の先生が来週の水曜日はヒューナーズッペと言うと子どもたちは大ブーイング。四旬節の最初の日だから肉は食べないのだと言っても、子どもたちは少々不満顔でしたが、四旬節の間給食でヒューナーズッペが出たのは一度きりだったと思います。

 この四旬節が終わり、復活祭になると春です。今年の復活祭は、4月8日。復活祭には、生命の象徴である卵を茹でて殻を美しくペイントして飾ったり、卵型のチョコレートを食べたりしますが、その話はまたの機会に。「モミの木」ではチョコレートはありませんが、卵の飾りとシュトレンをまたお出しする予定です。

ビーフストロガノフライス

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 「モミの木」は、Teestubeテーシュトゥーベ、ドイツの家庭でふだん焼いて食べる、デコレーションのないお菓子Kuchenクーヒェン をお出しする紅茶の店(紅茶はスリランカおよびインド産で、ドイツ製のものはありません!)ですので、ランチにはご予約をお願いしていますが、2月からランチを若干見直すことにしました。

 ランチは、開店後しばらくしてご要望があったため始めたものですが、、泉区配布のフリーペーパーにランチのおいしい店として同じ寺岡のロイヤルパークホテルさんなどと同時に紹介されたことがありました。すると、どんなお店なのかの記述がなかったせいで、一時お菓子とお茶の店ではなく、食堂状態になってしまいました。
 毎日毎日お菓子よりもじゃがいもの皮ばかり剥いて、自分の本来やりたいこととはかけ離れています。また、ランチで見えるお客さまであっても、食後は室内のコーディネートや食器類、あるいは絵や本などをご覧になって、ゆっくりお茶をしながらそれらを楽しんでいただけたら嬉しいのですが、食事がすむとさっと席を立たれてしまいます。もしかしたらお客さまのほうで気を使っていただいたのかもしれませんが、食事が終わったらさっとお帰りになるのでは、ゆっくりくつろげるお茶の店ではありません。

 私は、この「モミの木」を始める前に、紅茶は主に磯淵猛先生の著書やセミナーで勉強し、珈琲は専門店で勉強させてもらいましたが、調理は全くの自己流。ただ、出来合いのものや化学調味料は舌に残るのが嫌いで、マヨネーズとケチャップやウスターソースなどは別にして、市販のドレッシングやスープの素、たれなどは使いません。そばつゆやホワイトソース、トマトソースなども自分で作っています。
 「モミの木」でお出ししているハンバーグのソースやビーフストロガノフなどは、以前主婦として目分量で作っていたものをきっちり計量して作っていますが、ソーセージランチに付けるスープが少々負担になりました。
 そのため、1,050円(税込)の、ドイツ産ソーセージをフランス産の冷凍を店内のオーブンでソーセージの柔らかさに合わせて焼いたパンにはさんだものと、スープ、サラダ、食後の飲み物と甘い物(デザートというほど気取ったものではなく、焼菓子か夏はゼリーなど)がセットになったランチは、終了とさせていただきます。
 また、家庭によってちがうと思いますが、私が滞在して食事を一緒にしていた2軒のドイツの家庭では、焼いたソーセージをパンにはさんだものが出されたことはありませんでした。ドイツでは台所を非常にきれいにしている主婦が多く、きれいな台所を保つ上での大敵のソテーはあまり好まれないようです。ソーセージを食べるとしたら、家庭では茹でるタイプのものが好まれ、焼いてパンにはさんだものはもっぱら買い物途中などに小腹がすいたとき街角のスタンドで食べるもの、クロスのかかった場で食べるようなものではありません。ましてやお茶の店のTeestubeでも、家庭で夕食によく食べるハムとライ麦パンのサンドウィッチのようなものはあるかもしれませんが、焼いたソーセージが出てくることはふつうないと思います。そのため、ソーセージのランチを出すのは、「ビールにソーセージ」のイメージを固定化してしまうだけでなく、ドイツの家庭の現状とかけ離れてしまい、私としては不本意なことでした。
 そこで、勝手ながら、パンに焼いたソーセージをはさんで食べるタイプのソーセージランチは終了させていただきます。しかし、家庭でそのようにソーセージを食べることはあまりないと言っても、ドイツのソーセージが美味なことは事実ですから、別のソーセージを使ったランチを考えているところです。決まりましたらお知らせいたしますが、きょうはご予約がなくてもお出しできるメニューを作りましたので、そのお知らせです。

 ビーフストロガノフとごはんをいっしょに盛ったものと(付けあわせの野菜はありません)、サラダ、食後の飲み物(紅茶・珈琲ともに1杯のみ)という簡単なセットで、1,050円(税込)です。いままでどおりの、付けあわせのあるビーフストロガノフとパンまたはごはん、サラダ、食後の飲み物(紅茶の場合ポットサービス=ティーカップ2.5杯分)と甘い物のセットは1,160円(税込)で、ご予約をいただければご用意できます。
 ほんらいはお客さまに食後もゆっくりお茶をしながらくつろいでいただきたいのですが、このビーフストロガノフライスはお時間のあまりないお客さま向けのセットです。私としてはゆっくりしていただきたいと紅茶をポットでお出ししているのですが、なかなかそうも行かず、紅茶を飲みきれずお帰りになるお客さまがいらっしゃるためです。なお、お客さまが重なっている場合は、簡単なセットですがお時間がかかります。お時間のないお客さまには、お手数ですがお電話(377-6166)にて確認をお願いいたします。
 
 また、新しいセットが決まり次第、お知らせいたします。なにぶんお菓子と紅茶の店ですので、ランチメニューまでなかなか手が回りません。あらかじめ、ご了承くださいませ。

茶漉しとTeewaermerテーヴェァマー

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 先日茶漉しを紹介しましたが、注ぐと実際どれだけ茶葉が出るのか、その写真がありませんでした。

 22日は、大きな葉のルフナで入れました。茶葉が大きければカップには出ませんが、問題は細かい茶葉の場合です。きょうの写真はウバ。1杯めはこの程度ですが、2杯めにはポットを傾けることもあって、もう少し茶葉が出ます。どうぞ、参考になさってください。
 なお、この茶漉しのお蔭で、注いだ後ポットの口から滴が垂れることがありませんが、必ず先端をポットの口の真ん中に写真のように差し込んでください。先の部分が左右にずれていると、滴が垂れてしまいます。
 
 ところで、先日のコラムで触れたTeeweamerテーヴェァマーを久しぶりに使って、びっくり。ろうそくの火の上にあたる位置に沈んだ茶葉がぶく、ぶくっと音をたてて吹き上げられるのです。耐熱性のポットでも怖いので、結局いつもの布製のティーコジーに。布製は環境にやさしいだけでなく、目を離しても安心安全。ゆっくり、心行くまでお茶ができます。

無料のラッピングサービス

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 ときどき、ケーゼクーヒェン(チーズケーキ)を贈り物になさるお客さまがいらっしゃいます。
 きょうも贈り物用のものを発送しましたので、ラッピングをご紹介しておきます。

 ドイツでは、日本より環境問題への関心も高く、取り組みも熱心。過剰包装は嫌われます。
 とは言え、誕生日とクリスマスのプレゼントは贈るほうも貰うほうも真剣そのもの。特にクリスマスのプレゼントを選ぶのは、愉しみというよりストレスに感じる人も多いようですが、日本のようにすぐに子どもにあれこれ買い与えるようなことはしないので、貰うほうはこの1年のうちの2回が大きな楽しみのようです。
 そんな大事なプレゼントには、購入先でラッピングをしてもらうこともありますが、ラッピングペーパーや「くるくるリボン」を使って自分でラッピングするこだわり派も結構いると思います。私もドイツにいたときは短い間にクリスマスや滞在先のおばあちゃん2人や男の子などの誕生日があって、よくラッピングしたものです。

 「モミの木」は、ドイツのお菓子屋さんで売っているデコレーションケーキ(ドイツ語ではTorteトルテ)ではなく、あくまでも、ふだんのお茶用に家で焼いて食べるお菓子Kuchenクーヒェンをドイツの家庭の居間のような空間で…、と始めたTeestubeテーシュトゥーベ、紅茶のお店です。また、ドイツでは手土産にお菓子は一般的にタブーのため、「モミの木」のお菓子が贈り物になるとは、考えてもいませんでした。
 そのため、贈り物用の箱は用意しておりません(お問い合わせがあるので用意しなければ…とは思っています)が、写真のように「くるくるリボン」と、お誕生日であれば納品書がわりのごあいさつ文にドイツ語の1行を入れるサービスは行っております。無料です。どうぞ、ご注文の際、通信欄に記入してください。

 なお、チーズケーキは、熱伝導率のよいブリキの型で焼いたものをワックスペーパーでくるみ、紙の型に入れています。それを写真のように透明なopp袋に入れ、ダンボールで発送しています。箱には緩衝材として発砲ポリエチレンのシートを敷き、お菓子のまわりには紙パッキンを詰めています。去年の9月15日のコラムにもその写真があります。どうぞ、参考にしてください。
 

茶漉しとティーコジーの話

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 「モミの木」で使用している茶漉しのご紹介です。

 紅茶のページのいちばん最後にある写真や、このコラムでお菓子を紹介するときに写っている写真もありますが、白磁のポットのため、わかりにくいようです。
 そこで、耐熱性のガラスポットに大きな茶葉のルフナを淹れた写真です。これでも水滴のせいでやっぱりわかりにくいかもしれませんが、ポットの口に引っ掛けている銀色のものが茶漉しです。

 茶漉しには、持ち手がついたオーソドックスなタイプからカップの縁にセットする回転式のもの、それにポットのなかにセットする円筒型のものまでさまざま。
 そんななか、この実用一点張りで、かわいいとも言えない茶漉しを「モミの木」で使っている理由は、
 まず便利なこと。ポットの口に差し込むだけです。細かいディンブラのような茶葉の場合、多少カップに出ますが許容範囲だと思います。写真のような大きな茶葉では、全く出ません。
 おまけに、ポットの口から出ている茶漉しの先端部分のお蔭で、紅茶の滴が垂れることもないのです!これが最大のメリットかもしれません。
 そして何より、420円(税込)と値段の手頃なこと。100円ショップのものは別として、この値段で買える、「ポットの口から紅茶が垂れない」茶漉しもないと思います。
 取っ手を持つオーソドックスなタイプの茶漉しには、素材もデザインもいろいろあって、思わず集めたくなってしまうものも多いのですが、必ず茶漉しを置く受け皿が必要です。また、茶漉しを受け皿に置く前に紅茶の滴がぽとっということもあります。「モミの木」では、ドイツの家庭に倣って、必ずテーブルにはクロスを掛けているので、紅茶のシミを作る危険のあるものは避けたかったのです。
 また、カップの縁にセットする回転式の茶漉しは、茶漉しと受け皿とが一体となっていてクロスにシミの危険は回避できるものの、使ったことがないと掛けにくいもの。お客さまが紅茶を入れるたびに飛んでいくわけにもいかないので、これも候補から外しました。
 それでは、ポットに金具やプラスチックなどでできた円筒型の茶漉しならば、茶漉しを置く際のクロスにシミの心配やカップに置きにくいという問題はないのですが、茶葉がジャンピングできず、うまく開かないという問題があります。これは、紅茶の味にかかわります。
 そんなときにネットで出合ったのが、この茶漉しです。ものを見ただけでは、そもそも何に使うのかも、またどうやって使うのかも、ましてやその便利さもわからないと思いますが、「モミの木」では堅実な女性のお客さまにいちばんの人気です。
 ポットの口の直径と長さとが合えば、紅茶以外にもお使いいただけます。

 ところで、この茶漉しはたまたまドイツ製ですが、これがドイツでポピュラーかと言うとそうとは言えないと思います。私がいた最初の家庭では紅茶はティーバックのみ、もう一方のハイディーの家では耐熱ガラスのポットに円筒型の茶漉しをセットして使っていました。
 また、ドイツでは、布製のティーコジーはTeehaubeテーハウベもしくはTeewaermerテーヴェァマーと言いますが、これもあまり使わないと思います。Waermerヴェァマーと言うと保温の働きをするものを指し、よくホテルなどで見かけるのはEierwaermerアイアーヴェァマー、ゆで卵を冷めないようにするカバーです。何しろ、アドヴェンツクランツをはじめとして、食卓には照明よりもろうそくを灯すほうが好まれるお国柄なので、ポットにはろうそくで温めるタイプのWaermerのほうをハイディーの家では使っていました。

 私もこのタイプのものをひとつ持っていますが、実は最初に滞在した家でクリスマスのプレゼントにもらったもの。ちょうど写真のポットに合う大きさです。今回は茶漉しがよくわかるよう布製のティーコジーを使いましたが、機会があればぜひ紹介したいと思っています。ろうそくの火が美しいのですが、ふだんはもっぱら布製のティーコジー。布製のものは、何度も使えて、保温力もあり、環境にやさしいものです。また、何枚かあれば気分によってデザインも楽しめ、少し気になる茶漉しの先端も隠してくれます。

 茶漉しの先が気になって迷っていらっしゃる方、ティーコジーで隠せば問題ありません。どうぞ、お試しくださいませ。

図書館と森の話

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 先週の定休日の月曜日は牡丹雪から粉雪になりましたが、その後は晴が続き、雪は日曜日の午前中ひとしきり牡丹雪が舞ったのみでした。
 静岡に生まれて東京での大学入試までの間、雪遊びができたのは一度きり。以前3年間住んだ札幌で「一生分の雪は見た!」と思ったにもかかわらず、風花が舞うだけで狂喜した子どものころから全く変わらず雪が好きなのです。雪掻きをしなくてすむのは有難いものの、この冬は少々さみしい感も否めません。

 きょうもよく晴れて、残念ながら雪の句を紹介するような天気ではありません。
 空がどんより曇って冷え、いまにも雪が落ちてきそうな状態を雪催(ゆきもよい)と言いますが、きょうはそんな気配もありません。
 しかし、このまま冬が終わってしまうとも思えません。あらかじめ、雪催の句を紹介しておきます。


 図書室は森のしづけさ雪催  奥野 昌子(『鷹』2004年3月号)


 一読して、すぐさま心に浮かんだ図書館が2つ。
 ひとつはよく通った大学の図書館ですが、もうひとつは映画『ベルリン 天使の詩』のベルリンの国立図書館の場面でした。
 映画では、天使は、その姿が人間には見えないものの、いろいろな場所に現れては人間の傍に佇み、そっと見守っています。路上で遊ぶ子どもたちのかたわら、地下鉄に揺られながらあれこれ心配事を抱えた人々のかたわら…。人間の心の声が聞こえる天使たちは、自由自在にさまざまな場所に現れてはそっと見守るのです。
 そんな天使の現れる場所のひとつに図書館がありました。天使の耳には黙読している人間の声が届いているのですが、熱心に文字を追う人々のかたわらにも天使は寄り添い、人間とともに文字を追います。ぶ厚い牛乳瓶の底のような眼鏡の男の子や、年をとった詩人とともに文字を追うのです。
 しかし、天使と言っても、黒っぽいダブルのカシミアかウールのコート、その胸元をマフラーで覆っていましたから、図書館に天使が現れたのも冬。モダンな内部は明るく快適そうな空間でしたが、ドイツの冬ならば外はおそらく鉛色の雪催の天気だったと思います。

 ところで、奥野さんの句では「図書室」となっています。私は一瞬、高校の図書室も思い浮かべましたが、図書室には閲覧室の意味もあるので、学校などの図書室と呼ばれている場所でなくとも、図書館の閲覧室と考えてもいいと思います。
 その図書館の一室のしづけさを、「森のしづけさ」と詠っています。「森閑(しんかん)」という、物音のしない、ひっそりと静まりかえったさまを表す言葉もありますが、ここはあくまでも「森のしづけさ」。森閑とは違います。
 日本では、森というとほとんど山で、平地に木々が生い茂っているのはなかなか見られず、森のしづけさを体感することもあまりないと思います。ところが、ドイツでは、平地に森があり、散歩ができるようになっているところもあります。ハノーファーでは音大の隣の森に、その後住んだハノーファーの隣町のゼールツェでは畑道を歩いて森まで散歩に行ったものです。いまは、窓の向こうに雑木山を眺めながらも私有地なので入ったこともありませんが、仙台の前に住んでいた市川では近くに貝塚が雑木林として残され、買い物ついでに歩いたものでした。
 実際森を歩いた体験では、雪の森は別にして、森にはいろいろな音があります。人間の声はしなくとも、決して森閑としているわけではありません。森では、鳥や虫の鳴声のほか、木々の葉のせいで風の音もよく聞こえます。葉が落ちた森も、自分が歩くたびカサカサ、ピシピシと落葉や枯枝を踏む音がするのです。
 図書室も同じでしょう。話し声はしませんが、閲覧室では、資料を書き留めるペンの音や硬い床に鉛筆が転がる音、空席を探しながらコツコツと歩く音。もっと静かであれば、ページをめくる音が耳に入ることもあります。
 森も図書室も、何かしら小さな物音はあるものの、人の声はありません。図書室は、決して静まりかえって森閑としているわけではなく、物音のする「森のしづけさ」なのです。

「図書室は森のしづけさ雪催」
 私は、この句に、以前親しんだ図書館と森の両方を思い出させてもらいました。
 みなさまにも、図書館に行ったときや雪催のときに、この句を思い出していただけたら嬉しいです。

 写真は、先月の花。実は先週のグリーンとほぽ同じですが、同じカーネーションでも赤い花に白のフリージアを入れたものとでは、だいぶ印象が異なると思います。きょうは雪催の森の写真もなく、またこの写真もお見せする機会がなかったので、ご紹介しました。

2007年のカレンダー

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 1月も10日を過ぎてようやく、お店にカレンダーを掛けました。
 お店と言っても、私がお菓子を切ったりする作業台の脇。お客さまの目にも入る場所ですが、もっぱら私が、日付とドイツの祝日とを確認するのに利用するものです。
 
 そのため、必然的にドイツ製のカレンダーになり、2006年はteNeues社のもの(12月31日のコラム参照)。2007年のものもteNeues製を探したのですが、ピンとくるものがなく、結局年明けに本を買うついでにネットショップで購入したものです。(半額でした!)
 
 タイトルは、DANKE DEUTSCHLAND ダンケ・ドイチュラント。2006年ワールドカップドイツチームの写真が載った、DFBドイツサッカー連盟公認のカレンダーです。
 ネットショップでは、表紙のFWポドルスキー以外は写真がわからず少々心配でしたが、こうして、1月にはボランチのフリンクス選手、2月にはしっかり私の贔屓のラーム選手が載っています!
 ただ、肝心の祝日の記載がありません。
 復活祭やアドヴェント(待降節)は、年によって変わる移動祝祭日なので、確認したかったのです。ドイツ製なので大丈夫と期待しましたが、残念。
 
 ドイツの家庭では復活祭に、残った(あるいは、残した)シュトレンを食べることがあるので、私も毎年シュトレンを復活祭にいただいています。もちろん、「モミの木」でも復活祭の前後にお出しするので、まずは復活祭の確認をしなければならないのですが…。
 でも、ネットで調べればよいこと。2月のフィリップヒェン(ラーム選手)に免じて、よしとしましょう。

Dreikoenige 三王の日 

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 1月6日は、ドイツではDreikoenigeドライケーニゲ、文字どおり約せば「三人の王」と呼ばれる日。お生まれになったイエス様のお祝いに、東方からWeiseヴァイゼがやって来た故事にちなむ日です。

 この故事については聖書のマタイに記述がありますが、あくまでも、もともと「賢い人、賢者、賢人」などの意味のWeiseがやって来たとされ、Koenige「王」とはされてはいません。その数も複数で記されていますが、明確に3人とは記されておらず、Weiseからの贈り物が、黄金、乳香、没薬の3つだったことから、3人とされています。
 どうしてドイツではWeise賢者がKoenige王とされたのか、その経緯は知りませんが、実際は、天体の観測をする学者ないしは占星者、預言者のような人物だったようです。日本語では、「3人の博士たち」と訳されていることもあります。また、イエス様に高価な贈り物を携え、当時のヘロデ王に謁見もできた事実から、それなりの身分の人物たちであったことはわかります。

 とまれ、ドイツでは、この、東方からイエス様ご生誕のお祝いにやって来た3人に名前も付けられ、メルキオールとバルタザール、モール人の国からやって来た黒人の王カスパルとされています。さらに、この3人がイエス様のもとを訪れ、贈り物を捧げている景が、クリッペや種々の絵画に描かれているのです。

 なお、3つの贈り物はそれぞれ、黄金は王への捧げもの、乳香は幼子を神として讃美するもの、没薬(もつやく)は限られた命の人間への捧げものとされています。乳香も没薬も日本人には馴染みがありませんが、乳香はゴムの樹脂から作られた白い粉を焚いてお香とするもの、没薬はカンランという木の樹脂から作られる香油です。

 ところで、Dreikoenigeは、州によって祝日が異なるドイツでは、一部の州のみの祝日です。おそらく、カトリックの多い州では祝日とされているのでしょうが、私がいたHannoverハノーファーがあるニーダーザクセン州が休日か否か、残念ながら覚えがありません。カトリックの小学校はまだお休みでした。家にいると、3人の王に扮した子どもたちが歌を歌いにやって来ました。もちろん1人はモール人のカスパル役で、顔を真っ黒に塗っていました。私は大急ぎでカメラを取りに行って、3人とそこのおばあちゃんを入れて写真を撮ったのですが、写真は紛失。しかし、3人ともちゃんと頭に王冠をのせていたことや、雪や雨ではなかったものの鉛色の空で寒かったこと、写真を撮った台所のことなどはよく覚えています。

 絵本の写真は、先日ご紹介した、イエス様ご生誕を知らせるひときわ輝く星を見た3人がベツレヘムに向かう旅の場面。ちなみに、この絵本では、drei weise Maennerドライ ヴァイゼ メナーと書かれています。

Guten Rutsch! よいお年を!

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いよいよ2006年も残りわずか。
 「モミの木」のネットショップは昨日30日まで。6時半ごろ集荷に来てもらって、仕事納めとなりました。
 この1年どうもありがとうございました。
 思えば、去年の今ごろはサイトを開きたいものの製作はどこに頼めば…?と電話帳やネットで調べていたものです。それが、こうやって、自分の行ったことのない、知らない街のお客さまにお菓子を送って仕事納めができる。まったく有難いことです。

 ところで、今朝の新聞でも2006年を総括する特集がありました。ここで、私も自分の備忘録をかねて、順に振り返ってみたいと思います。(敬称略)

 2006年1月 5日 仕事始め、地元紙『河北新報』月1発行の『河北アルファ』のドイツ特集にて紹介
  3月25日 地元出版社の2年に1度刊行の『食道楽百科』にて掲載
            この掲載を契機にランチはすべてご予約のみとさせていただく。 
4月18日 菓子製造業の営業許可取得
            Teestubeドイツの家庭のお菓子を提供する紅茶店として、飲食店のみの営業許可を取得して出発したのが、買って帰りたい!という思いがけない声に励まされ…。
6月 5日 実店舗の紹介とネットショップとをかねたサイトhttp://www.tannenbaum.jpオープン
            当初の4月公開の目標が、何とかドイツW杯開幕前に実現!
 7月20日  ドイツのおばあちゃんの味のケーゼクーヒェン(チーズケーキ)が思いがけず、お取り 寄せのくちコミサイト『おとりよせネット』http://www.otoriyose.netにて紹介
9月 1日  小学館運営のサイト『マフィンネット』のお取り寄せ特集にて紹介
 10月25日  地元老舗情報誌『せんだいタウン情報 S-style』の「お散歩手帖」にて紹介
      同     地元配布の情報誌『仙台.ルヴォン』にてケーゼクーヒェンの紹介 
11月 8日  FM石川の『亜美のデリスタジオ』のコーナーにてくるみとバナナのシュトロイゼルクーヒェンの紹介
    

 上記のように、いろいろと「モミの木」やケーゼクーヒェン(チーズケーキ)などの紹介をしていただき、まったく思いがけないことの連続でした。
 今年の前半は、まずこのサイトの公開が目標で、やっとドイツワールドカップ直前にオープンした後は、何だかドイツW杯がもっと前の年だったような気がしています。今回のドイツチームの試合は行け行け!サッカー。それに、クリンスマン監督という見ているだけでも楽しい!元気がもらえる存在がいましたが、同じ年だった感がありません。 
 
 コラムは、サイトオープンから1ヶ月ほどしてようやく公開。ドイツの話や黄葉云々、俳句の話など記したおかげで、少々時間の感覚が麻痺した私には、これがよい備忘録になっています。
 来年は、この備忘録のコラムの更新を通して、ドイツはもっぱら、ビールにサッカー、ソーセージに車のイメージという方、あるいはまったくドイツは知らない、ドイツに興味もないという方にも、何かしらドイツのことを知っていただけたら…、あるいはそれまでとは別の顔も知っていただけたら…と思っています。
 どうぞ、2007年もよろしくお願いいたします。
 その前にGuten Rutsch ins neue Jahr !(グーテン・ルッチ・インス・ノイエ・ヤール!) よいお年を!

 写真は、今年使ったカレンダー。私がふだんお菓子をカットしたりする作業台の脇の壁です。ウォーホルの猫の作品ばかりを集めたものでした。
 ウォーホルは、例のキャンベルのスープ缶やモンローの作品しか知らなかったのですが、ツンと澄ました猫や愛くるしい猫のほか、教会に向かってとぼとぼ歩いて行く猫の後ろ姿の作品も収録されています。
 12月は、ご生誕の祝福の場面。『無題』とされていますが、天使と羊、贈り物を携えお祝いに来た3人の真ん中には、何と、マリア様とイエス様ではなく、グレーの母猫と仔猫が5ひき。思わずニヤリとさせられました。


 では、みなさま、どうぞ、無事に新年を迎えられますように、そしてよいお年になりますようにお祈り申し上げます。

クリスマスの本①1ページめ

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 先日大事にしているクリスマスの本をご紹介したところ、中の絵を見てみたいというお声を頂戴いたしました。

 その1ページめです。
 イエス様ご生誕を表した絵本なので、まず、ベツレヘムの町の上空にひときわ光り輝く星の出現から始まるのです。
 クリスマスの準備期間であるアドヴェントの頃から、カトリックの多い南ドイツでは、クリスマスの市や教会などにクリッペが飾られますが、そのご生誕の情景を表したクリッペの屋根にもこのような大きな星が飾られています。また、窓ガラスに星のオブジェを飾った家もあります。
 これらはどれも、イエス様ご生誕を知らせる星のエピソードに基づくものなのです。

 この絵本は、どのページも絵が美しく、ドイツ語も簡潔。ドイツに着いたばかりの週末、右も左もわからぬまま連れて行かれたハノーファーのメッセ。あまたある中からよくぞ見つけたと、自分を褒めてやりたくなる本との出合いでした。

テーブルクロス

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 先日アドヴェント3週目に新しいテーブルクロスを下ろしました。
 クリスマス前なので、ほかのティーテーブルにはクリスマスカラーの赤を1枚、緑を2枚使っていますが、新しいクロスはベージュの円形のクロス。写真ではいちばん奥の窓側のテーブルのものです。無地に見えますが、白糸でティーカップやミルクピッチャー、シュガーポットなどの刺繍が施されています。
 ふだんはこのテーブルにもクロスは大小2枚使っていますが、少し光沢があってフォーマルな感があるので、あまりフォーマルになりすぎないようこの1枚だけにしました。

 なんと言っても、「モミの木」はTeestube、お茶の店です。クロスのあるせいかレストランと思われることもありますが、レストランではないので、白のクロスにグラスのワインの色を確かめていただくこともありません。
 クロスを使っているのは、あくまでも、ドイツの家庭の雰囲気に近づけるため。お店だからではないのです。そのため、カジュアルなものが中心です。

 私が、ドイツの家庭で暮らしてぜひ自分の暮らしに取り入れたい!と思ったのが、食卓のクロス。お世話になった1軒目のお宅は確か日曜日の正餐のときのみでしたが、2軒目の家庭はクロス派。ふだんの台所のテーブルにはお手製の木綿のクロス、日曜日の正餐のテーブルには厚手の白のクロスと使い分けていました。そのほかお茶に呼ばれた先にもクロスがありましたし、札幌にいたときドイツ語を習っていた同世代のオーストリア人女性も安く手に入れたテーブルをクロスでカバーしていました。
 また、2~3年前に公開された「Nowhere in Afrika」という、ナチスの迫害を逃れてケニアに移住したドイツ系ユダヤ人の苦難を描いたドイツ映画でも、主人公一家の女性がケニアの褐色の土の上に出したテーブルにもクロスを掛けていたのが印象的でした。
 そのため、ドイツではどこの家庭でもクロスを使う、と思い込んでいたのですが、中には使わない家庭もあるようです。しかし、使っている家庭が多い、少なくとも日本の家庭よりは多いと言えそうです。

 クロスのよさは、2軒目にお世話になったハイディーのところで実感しましたが、いろいろとあります。
 まず、テーブルのキズを隠す・キズを防ぐという現実的な目的があるほか、効果は小さいかもしれませんが、テーブルに物を置いたときや室内の音を吸収したり、紅茶のポットなど物を冷めにくくするという働きがあります。しかし、最大のメリットは、季節感や空間の演出でしょう。
 クロス1枚で、テーブルが変わるのです。あるいは、クロスの数だけテーブルも増える、と言えるかもしれません。演出と言うより、夏には涼しげな色を、冬には暖かみのある色を使いたくなるもの。「モミの木」にはテーブルが5つあるので、これだけあるとクロスのおかげで随分全体の印象も変わっていると思いますが、テーブル1つでもクロスと花瓶や花を組み合わせることにより、効果的なコーディネートになると思います。
 
 しかし、手入れの問題はあります。そのため、私は、撥水加工のされたクロスを多用し、さらにプラスチック素材のランチョンマットも使っているので、水や紅茶などをこぼされた場合にもあまり問題はありません。もっとも、小学生以下のお子様連れはご遠慮いただいているので、そのような心配も大きくはないのですが、撥水加工のクロスには、無地が多く、柄物が少ないのは事実です。

 ところで、奥のアンティークのダイニングテーブルのあるコーナーは、私にとっては客間のような場所、ドイツの家庭ならばいつもの台所の食卓ではなく日曜日の正餐のテーブルのある場所にあたるもの。このテーブルだけは、フォーマルにして、必ず白の大きなクロスに小さなクロスも使っています。椅子もベルベットの生地を張っているので、クロスもそのほうが釣り合うのです。

 なお、ドイツでは、2日間のクリスマス(降誕祭)が終わっても、1月6日の三王礼拝の日(公現祭)まで、降誕節。ツリーなどはその間そのままです。そのため、年始の1月5日6日も「モミの木」では、クリスマスの飾りが残ります。どうぞ、奇異に思われませんよう…。

クリスマス②

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 昨日の小春日和が一転して、きょうは曇りのち雨。気温がもっと下がっていたら雪になっていたでしょうが、冬の雨にしては強い雨音です。
 私がいた北ドイツのハノーファーでは、この時期、雪はあまり降らず、鉛色の空と雨。それも小糠雨といった程度で、ドイツ語でも雨が降っているEs regnet.とは言わず、nassと言うものです。

 ドイツではきょうクリスマスの2日目。プレゼントの交換がないことを除けば、最初の日と同じような一日です。音楽が好きな家庭では、クリスマスの歌をいろいろ歌うそうですが、滞在していた10代の男の子2人の家庭ではそれはなく、いつもの日曜日のような感じでした。
 
 ところで、上の写真もクリスマスの本。
 表紙には、飼い葉桶に寝かされたみどり子のイエス様が描かれています。私はジオットかと思いましたが、画家はジオットの弟子のタッデオ・ガッディ。この表紙に惹かれて、手に取ったものです。
 厚さ3cmほどのこの本には、ご生誕に関する聖書の記述のほか、クリスマスの詩や物語、歌などが収められています。ドイツには、クリスマスや休暇などのテーマにそって詩や短編などが集められたものがよくあるのですが、これもそのひとつ。大きさは、日本の文庫本と高さは同じ、幅はやや狭いのですが、ちょうど私の小さな掌におさまりのよいところも気に入っています。
 また、収録されているなかには、当時、小学校付属のシュールキンダーガルテン(幼稚園は卒園したものの言葉の問題などで小学校入学のかわりに通うクラス)で読み聞かせをしていた物語もあります。訳があるかどうかわかりませんが、スウェーデンの児童文学で、仮に訳せば『ペレの引越し』というもの。朝お父さんの勘違いで叱られた男の子ペレが怒って、庭にある小屋に引っ越すというお話。ちょうどクリスマスの前のお話で、主人公ペレと同じ年頃の子どもたちは、怒って引越しをしたペレに自分を重ね合わせながら、クリスマスには無事に両親のもとに戻れるのか…とはらはらしていたものです。
 そのほか、O・ヘンリーやトルストイの短編もありますが、もちろんドイツ人作家のものもあります。
 毎年アドヴェントの時期にこの本を開くのですが、今年はちょうどクリスマスと店の定休日とが重なり、きょうはこの本の詩を拾い読み。毎度のことですが、アイヒェンドルフやケストナーなどの詩を読むと、ドイツでは彼らの時代のクリスマスの空気と現代のそれとがあまり変わっていないような気がしました。

 みなさんは、もうすっかり年末の気分でしょうか?実店舗では、年内の営業は24日で終了しましたが、ネットショップでは30日まで営業、コラムも更新するつもりです。また、ご注文をいただいたお菓子を焼くほかに、できればパンにも挑戦してみようかと思っています。(ごはんよりもパン!なので。)
 これからは忙しくてパソコンも開けないというお客さま、どうぞ、風邪など召されぬよう、よいお年をお迎えくださいませ。なお、新年は、実店舗・ネットショップとも、5日からの営業とさせていただきます。
 

クリスマス①

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逢ふまでの時間を書肆(しょし)にクリスマス  阪口 和子(『鷹』2003年2月号)

 一刻も早く逢いたいひととの待ち合わせ。ついつい約束よりも早く来てしまった。逢いたい気持ちを紛らわせようと飛び込んだ書店。目についたタイトルのものをパラパラめくるうち、心も少し落ち着いてきた。こんなところに探していた本が!などと見ていると、そろそろ時間。その瞬間からもう、気になった本のことはすっかり忘れて、待ち合わせの場所へ。もう待っててくれてるかしら?急がなきゃ…。


 日本のクリスマスというと、おおかた、子どもにはサンタクロースからプレゼントをもらえる日、若い人には大事なひとと過ごす日ということになっているようですが、キリスト教国のドイツでは、イエス様ご生誕を家族で祝う日。クリスマスには、離れて暮らす子どもも親元に帰って一緒に過ごします。ちょうど、日本でお正月を実家で過ごそうとする人々で混雑するのと同じような光景が見られます。
 24日の午後になるとにぎやかだったクリスマスの市も終わってしまい、街はひっそり。小さな子どもがいる家では、ツリーの飾り付けがまだなら、子どもを居間から閉め出しておおわらわ。ドイツでは、クリスマスの贈り物は天使のような姿をしたクリストキントがツリーの根もとや脇のテーブルにそっと届けてくれる、といわれているのです。
 24日の夜にはミサに行くため、家庭によって違うかもしれませんが、正餐は25日26日の昼。ドイツ語でクリスマスをWeihnachtenヴァイナハテンと複数形で表すように、クリスマスの祝日は25日26日の2日間なのです。街はいっせいに休むので、教会の鐘のほかは物音がしません。また、教会に行ったり、散歩に行くほかは外出もしません。私が子どものころまで、あるいは90年代に大手スーパーが元日営業を始めるまでは、物音がなくハレの日特有の厳かな空気が流れていた日本のお正月と似た感がありました。
 私が滞在していた家庭では、2日間とも昼が正餐。メインは、鵞鳥のローストGaensebratenゲンゼブラーテン、食後には、確かゼリーのほか、チョコレートとナッツのトルテ(デコレーションケーキ)でした。
 ちなみに、シュトレンは、このときいただいた記憶がありません。その家では、ギムナジウムの低学年とその卒業試験にあたるアビトゥーアを控えた(だいたい中学1年と高校3年にあたる)2人の男の子のお母さんは小学校の先生もしていたので、シュトレンは作らず市販のもの、すでにアドヴェントのうちになくなってしまっていたかもしれません。
 メインのゲンゼブラーテンは、2日目の26日も同じ。ご馳走といえども毎日似たようなものをいただくことや、街の静けさ、それに家族が集まること、外出といえば教会と神社の違いやその信仰に違いはあっても祈りに行くことなどを考えると、ドイツのクリスマスは一昔前のお正月によく似ています。

 ところで、クリスマスの句の作者阪口和子さんについては、同じ『鷹』の方でも私は存じません。ドイツとは違い、クリスマスでも書店やレストランが開いている日本のクリスマスです。しかし、俳句で「逢ふ」という文字を使ったら、恋の句。大事なひとに逢う前を詠った句です。野暮な詮索や説明は抜きにしましょう。逢う前の気持ちそのものは詠まれていませんが、詠まれていないからこそ、この句を読んだ瞬間に自分の経験がパッと蘇るのではないでしょうか。冒頭の鑑賞は、あくまでも私のイメージ。どうぞ、詠んだ方が自由に思いを巡らせてください。
 俳句は、読者が想像できる余地のある、そしてその自由が高い詩です。風景句ばかりでなく、恋の句もあるのです。

 写真は、ドイツに着いてすぐに買った本。ハノーファーのメッセでした。私の大事な本のひとつです。

クリッペ

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 昨日クリッペ風に並べた聖母子像の写真を載せたところ、クリッペの質問を受けました。

 クリッペKrippeとは、もともと家畜の「飼い葉桶」のことですが、「うまや」でご生誕になられたイエス様のお祝いの情景を立像などで表した物です。
 
 私もプロテスタントの多い北ドイツ・ハノーファーのカトリックの家庭に滞在していたときは知らなかったのですが、クリスマス前のアドヴェントの時期、カトリックの南ドイツに行くと、クリスマスの品々やソーセージの屋台が並ぶクリスマスの市にもクリッペが設置されています。
 人だかりから覗くと、一面に敷かれたわらや、イエス様ご生誕のお祝いに、最初に駆けつけた羊飼いに連れてこられた羊の像の毛などがパッと目に飛び込んできます。その羊や羊飼いの視線の先には、みどり子のイエス様を見つめるマリアとヨゼフ。クリッペの屋根の上には、ご生誕を告げるベツレヘムの星、さらにこの星に導かれ贈り物を携えてやって来た、王様あるいは預言者、博士とも考えられている男性が3人。
 
 クリスマスの市のクリッペには、だいたいこのような人々の像が服を着せられて並んでいますが、人物像の大きさや材質もいろいろ。クリスマスの市の等身大程度のものから家庭用の小さなものまで、像も実際に衣服を着たものから木や蝋の彫像まであります。
 ちょうど、雛祭りのお雛様にもいろいろな大きさ、いろいろな材質があるのと似ています。
 そんなわけで、以前ドイツで買ってあった聖母子像や天使のほか、パン籠を持った少女やセントバーナードまでの並べたわけです。きょうの写真は、イエス様とマリア、ヨゼフの3人の姿のツリー用の飾りに天使のろうそく立てを並べたものです。
 
 ところで、クリッペの前の人だかりの中心は、親子連れ。お母さんが、熱心に小さな子どもに説明をしています。子どもたちも、うまやの粗末なことやその夜の寒さなどに思いを巡らせているようです。クリスマス市(Weihnachtsmarkt ヴァイナハツマルクト)に行ってクリッペを見ようと思ったら、親子連れがたくさんいる場所を探すといいかもしれません。
 ただし、聖人崇拝を否定したルターのプロテスタントの多い北ドイツのクリスマス市では、おそらくクリッペは見られないでしょう。
 私はミュンヒェンのそれには行ったことがありませんが、間違いなくニュルンベルク、ローテンブルクにはあります。以前、家庭用のクリッペが集められた展示を見たのは、確かバンベルクの博物館でした。
 
 ヴァイナハツマルクトに行くと、あれこれ目移りするばかりか、ソーセージやグリューヴァインの香りに釣られてしまいますが、クリッペの前には、クリッペを見つめる子どもたちの真剣な眼差し。
 もしかしたら、ヴァイナハツマルクトの最大の楽しみは、そんな子どもたちの眼差しに出合うことかもしれません。

Frohe Weihnachten !

マリア像など.JPG

Frohe Weihnachten ! フローエ ヴァイナハテン!
 よいクリスマスを!
あるいはハッピーホリデーズのほうがいいかもしれませんが。

 写真は、ドイツの小さな工房で買ったもの。ぜんぶ一人の女性が作っているものです。クリッペとして作られたものでもないのですが、クリッペ風に並べてみました。
 聖母子像と天使のほかは、羊飼いと羊のかわりに、パン籠を持った少女と救助犬のセントバーナード。もし、ご生誕を聞きつけたら、駆けつけたかもしれないと思ったのです。
 

年末年始の営業 u.クリスマスツリーの話

クリスマスのグリーン①.JPG

 遅くなりましたが、年末年始のお休みについてご連絡いたします。
 実店舗の営業は、12月24日日曜日までとさせていただき、新年は、1月5日金曜日から通常どおり営業いたします。
 ネットショップの受付および発送は、12月30日土曜日まで。新年は、1月5日金曜日から営業いたします。休業中のご注文・お問い合わせに関しましても、1月5日以降ご返信とさせていただきます。
 勝手ながら、よろしくお願いいたします。

 写真のグリーンは、いちばん奥がヒュウガスギ(?)とローズマリー、その手前がリースにも使ったヒムロスギ。小さな松ボックリのようなものがリューカ、黄緑の小さな実のようなものはアドヴェンツクランツにも使ったバーゼリアです。

 ドイツやオーストリアでは、公共の場のクリスマスツリーはアドヴェントの始まる直前の土曜日もしくは金曜日からとされています。家庭で居間に飾るツリーはクリスマスイヴが一般的で、ツリーを飾る間は子どもは立ち入り禁止。飾りつけられたツリーの根もとには、天使の姿をしたクリストキントが届けてくれた贈り物が置かれるからです。ツリーはその後、クリスマス(降誕祭)から1月6日の三王礼拝の日までの降誕節の間、居間に飾られますが、その間、決まって、ツリーに灯したろうそくの火による火事がニュースになります。 

 というわけで、「モミの木」にはツリーはありませんが、気持ちだけオーナメントを飾ってみました。

シュトレン Stollen

シュトレン.JPG

 ドイツのクリスマスのお菓子として、シュトレンがだいぶ知られるようになりました。

 シュトレンは、レーズンやレモンピール、オレンジピールなどのドライフルーツがたっぷり入ったパン生地のお菓子。30cmほど、あるいはそれ以上に大きく焼いて、粉砂糖をたっぷりまぶしたものです。その大きさと重さ、それに白い粉砂糖に覆われた姿から、おくるみに包まれた赤子のイエス様をかたどったものという説にも頷けます。

 ただ、私にとって、シュトレンとアドヴェンツクランツは切っても切り離せないもの。クリスマスを待ち、クリスマスを物心ともに準備する期間であるアドヴェントには、写真のように、食卓や居間のテーブルのアドヴェンツクランツのろうそくに、アドヴェントの第1週は1本、2週めは2本…と火を灯していきますが、シュトレンをいただくときには必ずアドヴェンツクランツのろうそくが灯っていました。
 家庭によって異なるかもしれませんが、シュトレンは、クリスマスのお菓子というより、アドヴェントのお菓子。イエス様のご生誕を祝うクリスマスの正餐には、別のトルテ(デコレーションケーキ)が主役です。いずれにせよ、日本の家庭でサンタクロースがやってくるといってクリスマスイヴにケーキを食べるのとは違い、シュトレンはクリスマス当日だけのものでもありません。また、日持ちのするお菓子で、復活祭のときに残っていたシュトレンをいただくこともあります。

 ところで、シュトレンとは言わず、なぜか「トー」とのばす言い方が広まっているようです。ドイツ語ではのばしません。シュトレンと言います。ドイツ語の発音では、子音が2つ重なるとき母音はのばさないのです。この場合もStollenのスペルに子音の「ll」が2つあるので母音の「o」はのばさず発音し、シュトレンとなります。

 「モミの木」でも、アドヴェントの時期と復活祭のころ、シュトレンをお出ししています。
 ケーキセットでは、2枚にスライスしたものと飲み物で840円(税込)。食後にはスライス1枚ですが、なにしろドライフルーツたっぷりなので食べごたえがあると思います。また、160円(税込)にて1枚ずつ販売いたしております。どうぞ、この機会にお試しくださいませ。

 キリスト教国では、クリスマスはイエス様のご生誕を祝う日ということに思いを馳せていただけたら、クリスマスがどんなに大事な日か、ご想像がつくと思います。

アドヴェンツクランツ・聖ニコラウスの日

アドヴェンツクランツ.JPG
 
 きょう12月6日は、ドイツでは聖ニコラウスの日。
 聖ニコラウスは、子どもや女性、船乗りの守護聖人。子どもはいい子にしていると、聖ニコラウスが5日の晩にそっと、お菓子や木の実、りんごなどの贈り物を置いていってくれます。
 この聖ニコラウスのお祭りはドイツ・オーストリアのほか、オランダやベルギーなどでも行われているそうですが、私がお世話になった家でも、6日の朝には、いつものパン皿にりんごとマンダリンオレンジにくるみやクッキーが盛られていました。小学校では教頭のフランツ先生がニコラウスに扮して授業に闖入…。
 ちなみに、サンタクロースは、この聖ニコラウスがオランダ移民経由で伝わったアメリカでなりかわったものだそうです。

 写真は、アドヴェンツクランツ。赤いろうそくがなく、ティーキャンドルですが、アドヴェントの期間中、テーブルにろうそくを4本立てたリースを置き、アドヴェント1週めには1本、2週めには2本…とクリスマスが近づくにつれて灯すろうそくを増やしながら、クリスマスを待つのです。

初雪のアドヴェント第1日曜日

牡丹雪のアドヴェント第1日曜日.JPG
 
 きょう12/3は、今年のアドヴェント(待降節)第1日曜日。

 キリスト教国のドイツでは、教会暦によって、クリスマスの準備期間としてアドヴェントが定められ、毎年クリスマスの4つ前の日曜日から始まります。年によって暦がずれるため、始まるのが早い遅いがありますが、今年は遅いほう。

 おかげで、アドヴェントの第1日曜日が初雪になりました。雪と言っても、あまり気温は下がっておらず、牡丹雪。1日中降りましたが、結局積もりませんでした。

 写真は、昨晩作ったリース。ぽつぽつと白い点が雪です。言われなければわからないようなものですが、初雪なので、リースのアップではなくこちらを選びました。

 このほか、テーブルに4本のろうそくを立てたアドヴェンツクランツを作ったり、、クリスマスの飾りや絵本も昨晩のうちに用意。シュトレンもきょうからです!

 気忙しい年末ですが、クリスマスは本来、イエス様のご生誕をお祝いする日。一日一日を大事にしながら、クリスマスを迎えたいですね。

2周年です!

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 きょう11月28日は「モミの木」2周年です!
 ほんとうは2004年10月のオープン予定だったのですが、大事な、長年頼りにしていたオーブンの故障もあって、11月の末まで遅れてしまったのでした。2004年は、ちょうどこの日アドヴェント(待降節)の第1日曜日でもありました。

といっても、今年は定休日なので、開業記念のイヴェントもできませんでしたし、待降節も12月3日からなので、まだクリスマスの飾りつけなどもしていません。

 待降節というのは、クリスマスの4っつ前の日曜日から始まる、クリスマスの物心の準備期間。何でクリスマスにそんな準備期間が…?という方は、おそらくクリスマスはサンタさんがやってくる日とかプレゼントを交換する日などとお考えでしょうが、ドイツをはじめとするキリスト教国では、イエス様のご生誕をお祝いする日。この待降節の4週間あまりの時間をかけて、物心ともにそのお祝いの準備をするのです。

 クリスマスの飾り付けやイルミネーションは年々早まるばかりですが、本来の宗教的な意味を考えて「モミの木」では待降節アドヴェントの第1日曜からとしています。
 玄関には、毎年手作りのリースを掛けます。(夜間や風雨の強い日には、中の風除室の扉にしまいます。)こんどの日曜日にはしっかり間に合うようにしたいと思っています。もうしばらくお待ちくださいませ。

 なお、去年のリースは、「プライバシーポリシー」のページに写真があります。
 そんなわけで、きょうの写真は、紅葉したヘンリーヅタとハボタン、ビオラ、ハイビャクシンの寄せ植えです。

アクセス、「モミの木」の場所は?

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 最近、10月25日発売の『S-スタイル』さん、および11月上旬配布のフリーペーパー『仙台 ル ヴォン』さんに紹介されたおかげか、お店の場所のお問い合わせをいただきます。


 お車でお越しの場合、仙台のロイヤルパークホテルまで出ていただきます。その北側の東西にのびる道をまっすぐ走った、いちばん西の端です。信号が途中3つありますが、3番めの信号「紫山3丁目」まできたらすぐです。ちなみに、最初の信号は郵便局、2番めがファミリーマートさんのところです。
 ホテルから西の端の「モミの木」まで車で3分ほどでしょうか。文字どおり西の端まで走るだけ、そのように説明するのですが、必ず途中どこかの路地に曲がってしまう方がいらっしゃいます。たぶんホテルのところから予想以上に走るせいか、あるいはふつうの家ばかり並ぶせいか、あるいは雑木山に近づくせいで、途中どこかに曲がってしまうのでしょう。
 駐車場に左折するまで、まったく曲がる必要はありません!

 実は、「モミの木」は私たちの終の棲家でもあります。土地を探すにあたっては、どうせなら、あーぁ、ここにしてよかった!と言えるような景色を見ながら暮らしたい、その思いを最優先したのです。
 その結果、お客さまには、仙台駅からも1時間、地下鉄の泉中央からも30分という不便な場所になってしまいました。ほんとうに申し訳ありません。
 しかし、必要なものはほとんどお取り寄せまたは配達。特に買出しに行くこともないので、私にとって不便なことはあまりありません。

 なんと言っても、西隣の公園と雑木山の景色です。雑木林は、ドイツ滞在中2軒めのハイディーの家からも西側に見え、大きな太陽が黒い影となった林の向こうに沈んでいくのをうっとりと眺めたものでした。この土地に出合って、真っ先にその光景を思い出したのです。
 春になると農家の羊が牧に放たれて明け方羊の声に目を覚ましたハイディーの家とは異なり、ここでは車の音に目が覚めてしまいますが、庭には同じようにモミの木を植えています。

 その、店名でもあるモミの木が目印です。思うところがあって、看板は出していません。
 どうぞ、「紫山3丁目」の信号のところまで安心していらしてください。信号から3軒目、北側に駐車場があるため、信号待ちをしても建物は見えないと思いますが、白い家です。


 なお、地下鉄とバスを乗り継いでいらっしゃる方は、以下のとおりです。
 泉中央バスプール3番のりば から
 「寺岡3丁目」行き または、「泉パークタウン車庫」行き に乗車
 ※3番のりばには、パークタウン行きですが、別の系統の寺岡に来ないバスもあります。
  必ず、3番のりばの「左側」の列でお待ちください。
 「寺岡3丁目」行きに乗車の場合 →     「児童センター前」下車
 「泉パークタウン車庫」行きに乗車の場合 →「寺岡5丁目」下車
 バスを下車して、徒歩7~8分。以下のとおりです。
 「児童センター前」で下車した場合は、まず、バスが通過した交差点まで戻ります。その交差点から、薬局に向かって進んでください。薬局の脇に「寺岡5丁目」のバス停があります。
 以下「寺岡5丁目」で下車された方も同じく、そのままバスの進行方向に歩いてください。スーパーを通り過ぎると、ファミリーマートさんが見えてきます。
 ファミリーマートさんまで来たら、左に曲がり、ひたすら西(山が見える方向)に向かって歩いてください。
途中、中華料理屋さんや動物病院がありますが、あとはほとんどふつうの家です。この道で正しいのか不安になるかもしれませんが、ファミリーマートさんから5分ほどです。だんだん信号「紫山3丁目」の信号が見えてくるはずですから、ご心配なく。
 信号が見えたらすぐです。でも、看板がないので不安、さらにドアも理由があって開けていないので不安かもしれませんが、月曜火曜の定休日以外は大丈夫です。
 ごくたまに風邪などで臨時休業や、クリスマスから年末年始、ゴールデンウィーク、お盆休みなどの連休があります。遠くからお越しのお客さまは、あらかじめ確認されると余計な心配がないと思います。


 最後になりましたが、ランチは¥1,050(税込・平日と土曜のみ)と¥1,160(税込)の2種、どちらも食後に甘いものと飲み物が付きます。私一人でお菓子も食事もすべて手作りですので、必ずご予約をお願いいたします。
 また、小学生以下のお子様連れは、申し訳ありませんが、ご遠慮くださいませ。

 ほんうに、遠くて申し訳ありません。
 いらっしゃったら、どうぞゆっくりなさってください。
 写真の公園の黄葉はほとんど終わりですが、その向こうの雑木山は色づき始めたところです。
 お待ちしております。

続・シュトロイゼルクーヒェン

シュトロイゼルクーヒェン(りんご・バナナ)と珈琲.JPG
 
 ネットでこの時期、秋冬にお取り扱いしているシュトロイゼルクーヒェンは、ドイツの家庭でよく作られるりんごのシュトロイゼルクーヒェン(写真右手前)か、オリジナルのバナナとくるみのシュトロイゼルクーヒェン(写真左奥)の2種です。
 手前のものはお店でお出ししている直径18cmサイズですが、ネットでは小さい直径12cmです。

 シュトロイゼルクーヒェンは、パウンドケーキよりもややしっかりした生地の上に、旬のくだものなどを乗せ、さらに上から、バター・砂糖・粉などで作ったそぼろ状のシュトロイゼルをふりかけて焼いたもの。英語のクランブルと言えばご存知の方もいらっしゃるでしょう。
 ドイツでは、お菓子の生地だけでなくパン生地でも焼かれることが多く、家庭やパン屋さんでお馴染み。使うのは、さくらんぼ、黄桃、生のプルーン、りんごが定番ですが、ジャムの場合もあります。
 甘酸っぱいくだものに、シュトロイゼルの香ばしさが加わり、紅茶だけでなく珈琲にもよくあうお菓子になります。なくても大丈夫ですが、あればぜひ、生乳100%の生クリームを砂糖を入れずにホイップしたものと一緒に。味に奥行きが出て、いっそうおいしくいただけます。

 なお、シナモンが苦手な方もいらっしゃるので、りんごのシュトロイゼルクーヒェンにはあらかじめ使用していませんが、お好みでシナモンをふっていただいてもおいしいと思います。
 また、お好みがありますので、ネットでは、りんごのみで、レーズンもくるみも入れていませんが、お店では使う場合もあります。  

 馴染みがないお菓子かもしれませんが、私にとっては、最もドイツらしい、ドイツでいちばん口にしたお菓子。
 みなさまにぜひとも知っていただきたいお菓子なのです。
 寒い時期こそ、香ばしいシュトロイゼルクーヒェンがおすすめ。ぜひ、お試しください!
 

初めてのお客さまへu.ご参考・ギフトセット

ギフトセットとディンブラ.JPG
 
 「モミの木」は、ドイツ人がふだんのお茶の時間に口にしているお菓子Kuchenとドイツの暮らしを少しでもお伝えして、「ビールにサッカー、ソーセージに車」といったドイツの男性的なイメージ以外の顔を知っていただけたら、と始めたものです。オープンは、2004年11月28日、この年の最初のアドヴェント(待降節)の日曜日でした。

 名前の頭に掲げるTeestubeテーシュトゥーベ とは、Teeテー(紅茶)の店のこと。紅茶とお菓子でくつろいだひとときを過ごしていただける場です。(このほかドイツでいわゆる「お茶」ができる場所は、カフェとお菓子屋さんのお菓子と飲み物のコーナーがありますが、こちらではコーヒーが供されるのが一般的だと思います。また、カフェは、ご存知のとおり、「お茶」以外に軽い食事やアルコールも楽しむことができます。)
 そのため、お菓子は、ドイツの知人宅の居間の雰囲気にコーディネートした「モミの木」でお茶といっしょに楽しんでいただくことしか念頭にありませんでした。(珈琲とご予約していただければ、ランチもあります。)

 ところが、思いがけずお客さまに「買って帰りたい!」というお言葉をいただき、お持ち帰りがしていただけるように菓子製造業の免許を取得したのが、今年2006年の4月末。
 さらにより多くの方に情報発信できたら…、とサイトを開設したのが、ワールドカップ直前の6月5日です。
 
 冒頭にも記したとおり、お菓子の販売が目的ではなく、お菓子の背景のドイツの暮らしをお伝えできれば…というのが目標なので、一般のお菓子屋さんのようにいわゆる「ギフトセット」などのご用意はありませんでした。
ほんとうに、ドイツの家庭でふだん焼くお菓子で、デコレーションもないのです。また、ドイツでは、主婦がいる家への手土産にお菓子は、避けるべきもの。チョコレートは問題ありませんが、お菓子はふつう訪問先の主婦が用意、作っているためです。

 このようなお菓子Kuchenを贈り物にするのは、おかしな喩えかもしれませんが、化粧もしていない娘を嫁がせるようなもの。
また、贈り物の都合上、少し日持ちがするほうが喜ばれると思いますが、保存料も使わない、すべて手作りのもののため、日持ちがするお菓子を日持ちがするように包装する必要があります。

 そのため、ギフトセットは、お客さまからのお問い合わせを契機に試作中なのです。
 現在、親しい方への贈り物として、かご入りのものを検討中です。
 上の写真は、全くのご参考にしかなりませんが、かごの場合、蓋の制約がないので、ネットである程度自由に選んでいただいたものをラッピングし、ラッピング代を別途いただければ可能だと思います。
 ラッピングの写真は、別の稿にてご紹介いたします。

なお、写真の紅茶は、箱入り(40g,¥500)のディンブラを淹れたもの。ミルクを入れても入れなくても、おいしくいただける紅茶ですが、もちろん紅茶を入れないセットも可能です。

プルーンのジャム

プルーンのジャムとミルクティー、チョコレートケーキ.JPG

 暇を見つけて、生のプルーンのジャムを作りました。

 今年は天候不順のため、プルーンが出回るのが去年おととしよりも2週間ほど遅かったようです。もっとも、プルーン自体は9月の半ばあたりから出ていましたが、私がジャムにする品種はいちばん最後。毎年、大きさがドイツで食べていたコンポートのそれと同じくらいのもので作っています。
 残念ながら、ジャムにする前の写真がありませんが、茶封筒のような色のプルーンの果肉がこんなに鮮やかなローズ系の赤に変わるのです!

 プルーンと言うと、ドライフルーツのものを連想されると思いますが、ドイツでは生のプルーンのシュトロイゼルクーヒェンは秋の味。食後のデザートのプルーンのコンポートは、小学校の給食でもホームステイをしていた1軒目のお宅でもよくいただきました。ドライのプルーンのコンポートも美味ですが、生のものを使ったものもおいしく、生クリームを添えていただいたこともありました。
 日本の家庭ではくだものは生でいただくのがふつうで、くだものに火を通すことはあまりありませんが、ドイツでは手を加えないとおいしくいただけなかったり、生で食べきれない量のものは、ジャムやコンポートにして保存するのです。自家製のジャムは、朝のパンとともにいただくほか、お菓子やヨーグルト、アイスクリームなどのソースとしても使います。

 写真では、チョコレートのパウンドケーキに添えました。チョコレートとベリーも相性のよいものですが(いちごのチョコレートは子どものころからお馴染みの方も多いと思います)、甘酸っぱいプルーンのジャムもよいアクセントになります。ちなみに、ウエッジウッドの「ブループラム」のティーカップには、ディンブラではなく、タンニンが多くボディーのしっかりした茶葉、ルフナのミルクティーです。

 また、「モミの木」では、フレンチトーストの定番はラムレーズンですが、自家製のジャムがあるときはそちらもおすすめしています。いまの時期は、このプルーンのほか、バニラビーンズとシナモンを加えたりんごのジャムをお付けすることもできます。セットの値段は変わりません。パンはフランス製のものを「モミの木」で焼き上げたもの。パンが残らなくてお休みの場合もありますが、季節の味をどうぞ!

黄葉のカツラ

黄葉のカツラ.JPG
 
 きょうは、久しぶりの雨。

 先週の火曜日に写した、黄葉のカツラです。場所は、西隣の谷間公園。以前ホウズキ色のカツラの紅葉をご紹介しましたが、お天気に誘われていつも行かないあたりまで足を延ばしたところ、家の近くではすっかり葉を落してしまったカツラにまだ葉が半分ほど残っていました!
 このカツラ、姿が見える前から、甘いカラメルのような匂いで場所を教えてくれていました。グラニュー糖を焦がしているときの香ばしい甘い香り。そう言えば、何年も食べていませんが、綿菓子の匂いにも似ています。おそらく、きょうの雨で散ってしまったでしょうが、黄葉の時期、どこからか綿アメの屋台もないのに懐かしい甘い香りが漂ってきたら、それがカツラです。

 実は、こんどの定休日には花壇の植え替え、と思っていたのですが、明日も上がりそうにないので来週になりそうです。10月初めの雨でコリウスがすっかり弱ってしまって、早く何とかしなければ…、と思っているのですが、このあたりでは冬越しできる花が限られているので、パンジー、ビオラ、ハボタンでやりくりするしかありません。
 何しろ仙台はこんどが3度目の冬。何と何が「実際」冬を越せるのか、まだ私には蓄積データーがないのです。例えば、ノースポールは露地植えでも大丈夫とされていますが、去年は全滅。シロタエギクを植えたいと思っているのですが、どうでしょうか?

 いま雨は小降りになったようですが、窓の向こうのユリノキもだいぶ葉が落ちてしまいました。この低気圧が去ると、谷間公園は、ぐっと初冬の気配が増すでしょう。
 なお、公園の西側の雑木山は、去年おととしとも、11月10日から20日前後が黄葉の見頃でした。黄葉ばかりでなく、紅葉もあります。
 ドイツでは、黄葉の盛りは10月。10数年前、小学校での授業のためドイツに着いたときは、まさしく、 goldener Oktober 「黄金の10月」という言葉どおりに美しい黄葉の時期でしたが、温暖化の影響か、私も12月に黄葉を目にすることが何度かありました。
 見頃はいつごろになるでしょうか?あまり暖かくて遅い黄葉には季感や暦の感覚が狂ってしまいますが、今年その心配は要らないようです。

かぼちゃのマフィン 

かぼちゃのマフィン④ 花柄・全体像.JPG
 
 かぼちゃのおいしい季節です。

 ドイツではかぼちゃはあまり食べませんが、栗のようにホクホクのかぼちゃにあたったので、かぼちゃとバナナのマフィンを作ってみました!まだ、試作の段階ですが、いまの時期、おまかせマフィンのご注文にはかぼちゃを使ったものにする予定です。写真のマフィンでは、かぼちゃのほかにバナナとくるみとを入れていますが、もっとかぼちゃを前面に出すべきか迷うところ。いずれにせよ、くるみを入れて歯ごたえと香ばしさがあるものにしたいと思っています。

 先日、偶然ネットでマフィンのレシピを見たのですが、レシピは手軽にマフィン用のミックス粉にサラダ油を加えたものでした。私はいままで一度もミックス粉の類を利用したことはないのですが、何かの専用に粉がミックスされていると、用途が限られるのが玉にキズ。小麦粉ならば、何のお菓子にも天ぷらにも利用できる、その用途の広さをとります。でも、材料の計量の手間が省けるのは、非常に魅力的です。
 
 お菓子作りで何に時間がかかるかというと、デコレーションをしないお菓子、Kuchenクーヒェンならば、材料の準備なのです。材料の種類が多ければ多いほど、材料の計量のために時間がかかります。実は、「モミの木」のお菓子のなかでいちばん材料の種類が多くて時間がかかるのが、マフィンなのです。材料さえ揃えばあとは混ぜるだけなのですが、生地だけで11~12種類の材料を使っているのです。

 そんなわけで、ミックス粉の存在を知ると、一瞬、何て自分は要領が悪いのだろう、と思ってしまいますが、お客さまからわざわざお金をいただくもの、どんなものでも大事に作りたいと思っていますし、しっとり香ばしいものになっていると思います。

 ところで、ドイツではハロウィンは致しません。ハロウィンは、万聖節の前夜の10月31日のお祭りで、広辞苑によると「スコットランド・アイルランドに起源を持つ米国の祝い」だそうですが、ドイツのカトリックでは、11月1日は万聖節Allerheiligen、キリスト教に貢献した聖人や殉教者を祭る日で、翌2日は死者の霊を祭る万霊節Allerseelenです。もっとも、ドイツでは、祝日も、州によって、つまりカトリックの地域かプロテスタントの地域かで異なります。私がいたハノーファーはプロテスタントの多い地域でしたが、カトリックの小学校でしたので、2日間ともお休みでした。

 聞くところによると、Allerheligenにはシュトリーツェル、Allerseelenにはゼーレンツォプフというパンを食べるそうですが、残念ながら私は食べたことがありません。カトリックのバイエルン地方のものでしょうか?日本の感覚で言うと、祝日が州によって異なるということ自体、奇異に思われますが、ドイツは国家として統一されたのが比較的遅かったこととやカトリック・プロテスタントの違いによって、言葉や食べ物、習慣などが地域によって異なるのです。そのため、一概にドイツ全体がこうだと言えることばかりではないことと、私の見聞きしたことや体験は、ハノーファーのカトリックの家庭での生活がもとになっていること、また、もちろん、個々の家庭の違いも大きいことをお断りしておきます。

 いずれにせよ、ドイツでは、どういうわけか、かぼちゃは日常的なものではありません。私もあま~い煮物は苦手で、ポタージュやクリームシチュー、あるいはバターを落としただけのほうが好みですが、お菓子には使っていきたいと思います。どうぞ、乞うご期待!

りんごのティー・オ・レ

りんごのティー・オ・レ.JPG

 昨日きょうと大荒れの天気。
 午後から雨は上がりましたが、こんな日は家でゆっくり過ごしたい、という気分の方が多かったようです。

 私も同じ気分でしたが、きょうは、やろうと思っていてふだんなかなかできない仕事、りんごのジャムを大量に作りました!
 ジャムは、りんごのほか、いちご、さくらんぼ、プルーンを自分で作りますが、りんごだけは電子レンジで簡単にというわけにはいかず、細かく刻んだり、すりおろしたり…と少々手がかかります。しかし、お菓子の隠し味としてどうしても必要なのです。そのほか、「モミの木」では、フレンチトーストの定番はラムレーズンですが、季節を味わっていただけるよう、フレンチトーストに使う場合もあります。
 きょう作ったのは、シンプルにりんごとレモンのものと、シナモンとバニラビーンズをも加えたものの2種。

 夜冷えて温かいものがほしくなり、ディンブラのミルクティーに、シナモンとバニラビーンズとが入ったりんごジャムとカルヴァドス(りんごのブランデー)、さらにホイップした生クリーム、シナモンを加えていただきました。(夜冷えたから、というより、もう作っている段階で、今夜はアレを飲もうと決めていたのですが。)
 夜何か口に入れたいというときに、甘いミルクティーはおすすめです。それこそ、「ほわほわっと」温まるやさしいもの。私は、ふだんお菓子と一緒にいただくときには砂糖は入れませんが、いまからお菓子は…という時間には砂糖の力を借ります。
 このように、いつものミルクティーにジャムを入れるときには、ジャムを電子レンジで少し温めるのがポイント。ジャムが冷たいと、「あったまる~」という状態にはなりません。もっとも、そんなときには、電子レンジで紅茶を温めてしまえばいいのですが、生クリームを入れた後ではせっかくの生クリームが…、となります。
 ちなみに、茶葉とりんごのスライスを一緒に煮だして、ミルクティーにする方法もありますが、後から鍋を洗うのが大変です。

 どんなジャムを使うか、どんなアルコールを使うか(使わなくてもいいですが)は、お好み次第。ミルクを入れないほうがいいものもありますが、寒い夜は試してみるいい機会です。いずれにしても茶葉は、おとなしいディンブラがおすすめ。クオリティーシーズンのウバでも、アッサムやルフナも、ましてやダージリンやヌワラエリヤは、紅茶のほうが強すぎて、ジャムの風味を楽しめないと思います。
 「モミの木」では、フレバードティーは扱っていませんが、ジャムのほか、くだもののスライスで、いつもの紅茶にアクセントを加えることができます。私もアップルティーやアプリコットティーによろこんでいた時期がありましたが、結局、途中飽きてしまいがちなフレバードティーより、飽きが来なくて応用が効く茶葉がいちばん、と思うようになりました。
 
 では、,,Schoenen Abend noch ! "(シェーネン アーベント ノッホ!)。 ドイツ語で、おやすみなさいは
,,Gute Nacht!"(グーテ ナハト!)、ほかに,,Traeume gut!"(トロイメ グート!)などを使いますが、これらは本当にベットに行く前に使う言葉。夜、食事や趣味の集まりなどの別れ際には、結構遅くても、「まだまだ楽しい夜を!」の意味で冒頭のような言葉を贈ったり、贈られたりします。ドイツでは、週末いい歳の大人が夜遊びをして帰るのが遅くなりますが、別れ際にこんな言葉をかけられると嬉しいものです。

 カルヴァドスの入ったミルクティーを飲んだはずなのに、秋の夜長を楽しんでしまいました。
 ,,Also, dann, schoenen Abend noch!Tschuess!"

予告・・・ドイツの秋のティータイムセット

ピンク りんご、花、紅茶、ミント.JPG
 
 先日予告した、ドイツの秋のお菓子と紅茶をセットにした「ドイツの秋のティータイムセット」の内容が決まりました。

 ご注文は、10/5~11/8までの受付。
 価格は、¥3,440(税込)のところ¥2,940(税込)です。
 内容は、定番のケーゼクーヒェン1個(お取り寄せ用レギュラーサイズ)とバナナチョコチップマフィン2個。さらに、りんごのお菓子のミニサイズ2種それぞれ2個と詳しい淹れ方の説明をつけた紅茶ディンブラ。ちょうど、どんなお菓子にもおすすめの紅茶、ディンブラの小パック(40g,¥500)分がサービスになっています。
 ドイツのおばあちゃんの味のチーズケーキって?という方、おすすめのディンブラとともに、ぜひ、お試しにご利用くださいませ。なお、お菓子と茶葉以外の小物はセットに含みません。
 
 「モミの木」のお菓子はどれも、見た目の大きさよりも食べ応えのあるものです。決して重い、甘すぎるというわけではありませんが、例えば、りんごのお菓子などのKuchenの生地は、卵と砂糖・粉が主のスポンジ生地ではなく、バターやアーモンドプードルを使用した生地。ふわふわタイプではありませんが、しっとり、こうばしい生地です。そのため、あまり大きなサイズでなくても充分満足していただけると思います。
 
 きょうは、HP用に画像の候補を並べて検討したかったので、同じお菓子が何度も写真となって登場しました。中身はみな一緒。紅茶などテーブルコーディネートのみ変更しました。もっとも、お天気のよかった月曜日中に写真を撮れていたら、クロスの色を構わなくてもよかったのですが・・・。
 夜、待ちに待っていた紅玉(こうぎょく)が届いたので、写真に入れました。いままでりんごのお菓子はつがるで作っていましたが、これからは紅玉です!
 たまたま実家が山形のりんご農家という男性に聞いたのですが、そこでは「べにだまなんて、そのまんま、捨ててる」そうです。あぁ、もったいな!「何でも売れ筋一辺倒」や「次から次へと新品種」というのも困ります。「古くてもいいものをずっと」を望みます(まさしく、ドイツ的な消費態度ですが)。

 夜半からの激しい雨が日の暮れるころ止んで、西の空には二日月。お月さまと金木犀が買い物の楽しみです。

予告・・・ドイツの秋のティータイムセット

ドイツの秋のティータイムセット モミの木の皿.JPG
 
 予告です!
 10月5日(木)~11月8日(水)の期間限定で、「ドイツの秋のティータイムセット」の販売をいたします。
 
 おいしい、ドイツのりんごのお菓子をぜひ!と思い、定番のドイツのおばあちゃんの味のケーゼクーヒェン(レギュラーサイズ)のほかに、りんごのKuchen、さらにはおやつにうれしい、珈琲にもおすすめのバナナチョコチップマフィン、どんなお菓子とも相性のよい紅茶ディンブラの小パック40g入り¥500(税込)をセットにしたものです。
 りんごのお菓子は、ケーゼクーヒェンとともにドイツではとても人気のお菓子。実際、秋になると、この2つがお茶の時間に登場ということもよくあるのです。
 ただ、ドイツではりんごのお菓子のレシピが多くて、どれにしようか、ただいま思案中です。

 どうも、ホールのお菓子を切るという機会が、日本の家庭では、お菓子作りが趣味の方を除けばあまりないようです。パンを切る習慣があって、パン用のナイフを持っていれば問題もないのでしょうが、あまり経験のないことは面倒、お菓子も切ったことがない、お菓子はカットされているもののほうが嬉しいという方が多いようです。(かく言う私も、「モミの木」を始めるまえは、お菓子は作っても家で食べるだけでしたので、あまり切り方にこだわったこともありませんでした。ただ自分の食べたい大きさにカットするのみ、食べたいだけご飯をよそうのと同じでした。だれかに出す場合も、知らない間柄ではないので、「ごめんなさいね~、ちょっと美しくないけど」で済ませていたほど。そのせいで、いまも切るのは苦手です。)

 というわけで、本来大きな型で焼くお菓子を小さなマーガレット型に焼いたものにする予定です。
 お菓子には、型の大小は関係のないものもありますが、大きい型で焼いたほうがおいしいものもあるように思います。(例えば、カレーやシチューをたくさん作ったほうがおいしいのと同じです。) 
 そのため、どんなお菓子にするかは、どうしても小さな型に合うものにしぼられます。ほんとうは、先日ご紹介した、いちばんシンプルなりんごのKuchenにしたいのですが、最低でも12cm の型でないと無理のようです。
 写真は、りんごの甘酸っぱさを生かした紅茶向けのものと、バターソテーしたりんごのほか、ラムレーズン、シナモン、くるみを入れて食べごたえを出し、珈琲にも合うようにしたものです。

 ドイツのお菓子と紅茶で、身も心もほわほわっと温まる。そんなセットにしたいと思っています。
 最終的にどんなものになるかはお楽しみ。 
 どうぞ、乞うご期待!です。
 

台風のお見舞いu.りんごのKuchen

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 今夜は、雨で途絶えていた虫の音が久しぶりに戻りました。
 
 台風13号の影響でこちらも雨は随分降りましたが、被害に遭われたみなさまには心よりお見舞い申し上げます。特に、今年は梅雨が長引いて日照不足のうえ、収穫目前の台風による被害で農家の方々はご苦労が絶えないと思います。本当にお見舞い申し上げます。
 
 個人的には、いつもなら並んでいる「青森」のプルーンをまだ見かけないので、心配しています。
 本来ならば、プルーンのKuchenやジャムを作った後にりんごのお菓子を作り始めるのですが、今年はりんごのほうが先になりました。紅玉はまだですが、よく色づいた「つがる」で、りんごのお菓子がいろいろあるドイツでもいちばんオーソドックスなKuchenを作りました。つがるは風味・酸味の点で少し物足りないので、アプリコットのソースをかけています。

 ところで、お取り寄せのくちコミ情報サイトの「おとりよせネット」さんには、ケーゼクーヒェンをご紹介いただいていますが、実は私がいちばん召し上がっていただきたいのは、りんごのお菓子のほうなのです。(もちろんケーゼクーヒェンも大好きなので、よそのお菓子屋さんではチーズケーキは買わないほどです。)
 というのも、チーズケーキはどこのお店に行ってもあるうえ、それぞれのご贔屓がありますが、ドイツ人なら絶対秋になれば口にするりんごのKuchenがほかでは滅多にお目にかかれないからです。単に私が紅玉好きなせいもありますが、りんごの美味しさが生地に生きているKuchenなのです。
 そこで、いろいろな方にドイツのりんごのKuchenを試していただければ・・・と、りんごのKuchenをお求めやすく、かつ食べやすい1人分サイズにしたものをご提供できればと考えています。

 しかし、ドイツでは、お菓子は直径26~28cmの焼型や天板で焼くのがふつうで、写真のお店でお出ししているサイズは21cmの型で焼いたものです。
 先日の「ケーゼクーヒェンについいて」の稿で触れたとおり、ドイツでは家事をしながらお菓子を焼くことが多々あります。そうなると、面倒な作業や細かい仕事は避けたいもの。小さなお菓子のレシピもありますが、焼く前に均等に小分けするより、大きく焼いて後から切り分けたほうが、だんぜん速くラクなので、小さなものはあまり作らないと思います。ちなみに、大きく焼いて大きくカットしたKuchenは、ひとり2切れはいただきます。
 
 また、ドイツでは、お茶などに招かれたときはその家の主婦がお菓子を用意します。そのため、手土産にお菓子は控えるべきものですが、こちらでは意外と贈り物のご要望がありますので、それにお答えできるよう、検討しています。
 遅ればせながら、お菓子のサイズ以外にも、用途も日本化せねばと気がついたところです。
 どうぞ、乞うご期待!


ueber Kaesekuchen チーズケーキについて

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 Kaesekuchenケーゼクーヒェン(チーズケーキ)をご注文のお客さまから、ときどき、誕生日などの贈り物としてご注文をいただき、今日もそのようなものを発送いたしました。

 私としては、というよりドイツでは、Kuchenは、あちこちで説明していますように、ふだんのお茶に家で焼いて食べるお菓子。飾りも何もない、主婦が家事の合間に作るもの。例えば、朝食の片付が終わった後、「さ、さっと」作ってオーブンに入れ、洗濯機を回したり、掃除機をかけたりしている間に焼いてしまうもの。お菓子が冷めて、味が落ち着いた頃に午後のお茶の時間となるのです。
 そんな簡単な、しかし毎日食べても飽きないのがKuchenです(実際私も毎日食べています)が、主婦にしてみれば、お菓子作りは家事の一部と言えるかもしれません。趣味ではなく家事ともなれば、効率重視。毎日毎日凝った、お菓子屋さんのようなTorteトルテ(デコレーションケーキ)などは無理です。もっとも、ふだんKuchenを作る時間やその気がない人も当然いますが。

 しかし、家族の誕生日ともなれば、生クリームやくだものでデコレーションしたTorteトルテを作ります。どんなトルテかは、誕生日を迎えた当人の好きなものに決まりますが、だいたい少なくとも2~3種類は用意されるようです。といっても、当然食卓の準備もあるので、数種類のトルテの用意は大変なうえ、食べる側も全部トルテよりもあっさりしたクーヒェンがある方が嬉しいかもしれません。そのため、主役のトルテにひかえのクーヒェンが混じる、その一つにケーゼクーヒェン(チーズケーキ)が登場ということもありますが、あくまでもケーゼクーヒェンは誕生日のお祝いでは脇役のような位置づけなのです。
 実際、私がいちばんおいしかった!と思っているケーゼクーヒェンも、離れて暮らしているおばあちゃんの誕生日にいただいたものです。もちろんおばあちゃんのお手製で、主役のトルテがあったはずなのに、忘れられないのはケーゼクーヒェンの方。以来チーズケーキといえば、おばあちゃんのケーゼクーヒェンになってしまいました。

 そんなわけで、誕生日にクーヒェンは例外、脇役と思っていたので、クーヒェンを贈り物にすることも考えていませんでした。
 また、「モミの木」のお菓子はすべてクーヒェンなので、贈り物用の化粧箱も用意していません。
 おまけに、なるべく環境に負荷を与えないよう、簡易包装にしています。(それでも、紙パッキンのようなゴミが生じます。引越の予定がある方は梱包に使ってください!)

 その結果、贈り物という方には、写真のような「くるくるリボン」をかけています。特にお誕生日ということであれば、みなさまにお渡ししているごあいさつの書面にドイツ語でお祝いの一文を入れるようにしています。ご注文の際、「通信欄」にご記入ください。

 なお、チーズケーキお買い上げの場合には、「モミの木」のお客さまにお出ししている、茶葉ディンブラの1回分(ポット350cc分=ティーカップ2.5杯分=マグカップ2杯分)をお付けしています。これは、「モミの木」のケーゼクーヒェンは、小麦粉を一切使っていないこととレモンをきかせているため、紅茶には非常に相性はいいものの、珈琲には合わないためです。「おいしい!紅茶の淹れ方」の説明も入れますので、参考になさってください。

 最後に、Kuchenの発音およびカタカナ表記について詳しくは、〈「ヒェン」か「ヘン」か?Kuchenのカタカナ表記について〉の稿をご覧くださいませ。日本語の「変」にならぬよう、咽の奥から息を吐きつつ発音することがポイントです。「クーヘン」に近い発音ですが、このように表記すると日本語の「変」と同じ発音になることが多々あるため、それを避ける目的です。また、日本語の「へ」とは少し違うということを意識していただければ、と思います。蛇足でした。

ドイツの秋のお菓子とベニバナ

ベニバナ.JPG
 
 先日、「かぼちゃやお芋、栗を使ったお菓子はありませんか?」というお問い合わせがありました。

 「モミの木」を始めてから、お菓子に関してはすっかりドイツモードになり、あまりドイツ以外のお菓子を作る時間もありません。せいぜい、レシピを眺めるだけです。そのため、お問い合わせにびっくりと同時に、かぼちゃを使ってお菓子もできる、作ったこともあった、と思い出したくらいです。

  ドイツでは、どういうわけか、お問い合わせの秋の味覚を使ったお菓子は、一般的にはないと思います。もちろんドイツの事情をこうだと言い切れるほど詳しいわけではありませんが、ふつうに暮らしていて口にするものではないと思います。
 お菓子屋さんでも栗のお菓子くらいあってもよさそうなのに、数冊お菓子の本を引っくり返しても名前を見るかぎり見当たりません。そう言えば、少し古い話になりますが、フライブルク在住の環境ジャーナリストの今泉みね子さんも、〈ドイツ、少なくともフライブルクには「モンブラン」はない。〉と書かれていました(『緑のフライブルクで愛を見た』1994年、講談社)。
 その後、栗のお菓子も一般的になったのでしょうか?私は、2003年のアドヴェントの時期以来行っていません。このときはあちこちでりんごのKuchenはいただきましたが、モンブランは大好きなのにモンブランなど思いも寄らなかったのです。
 
 と言うように、ドイツの秋のお菓子と言えば、まず9月のZwetschgen(生のプルーン)のKuchenに始まって、りんごが出回ればいろいろな(!)りんごのKuchenを楽しめます。
 
 日本では、生のプルーンは、梨や葡萄におされてあまり存在感がありませんが、ドイツでは、プルーンの木が庭にあるお宅も結構あるようです。ちょうど、日本でも梅や柿がある家をよく見かけますが、ドイツではプルーンとりんごなのです。
 そのたくさん獲れたプルーンは、お菓子に焼いたり、ジャムやコンポートにします。
 プルーンのシュトロイゼルクーヒェンは、よく食べました。甘酸っぱいプルーンをシュトロイゼルの甘さがほどよく包むのです。また、ホイップした生クリームを添えたコンポートも、学校の給食や住んでいた家のデザートにもよく登場しました。
 実は、「モミの木」にもプルーンの木があって、桜が終わると真っ白い花を見せてくれるのですが、収穫にはまだまだです。私は青森のプルーンが出回るのを待って、お菓子にするほか、皮ごとジャムにしています。地味なプルーンの実の色が、ジャムにすると少しだけ紫がかった美しい赤になるのです!何も言わなければ、何のジャムかわかる人もいないほど。味は、甘酸っぱく、ほんのり梅酒に入っている梅のような風味があります。
 
 写真は、今週の花。メインはベニバナです。いつももっとオレンジ色のものを買うのですが、少し黄みがかった白っぽいものです。最初白のホーローの水差しに生けていたのですが落ち着かず、花瓶を変更。奥のグリーンは、バイカウツギの枝です。

「ヒェン」か「ヘン」か?Kuchenのカタカナ表記について

 9月に入って、芒(ススキ)の穂が目立つようになりました。
 「モミの木」のホームページもワールドカップ直前の6月5日に公開してから、早3ヶ月。その間「おとりよせネット」や「マフィンネット」に紹介していただき、おそらく、ドイツのことにはあまり詳しくないお客さまにもご覧になっていただけていると思います。
 そこで、他のページと重複する部分もありますが、改めて、「モミの木」とドイツのお菓子の説明をさせていただきます。

 「モミの木」は、ドイツの家庭でふだんよく食されている自家製の焼菓子Kuchenのおいしさと、ドイツと言ってもあまりピンとこないお客さまに、私が知っているドイツの家庭の雰囲気とを紹介したい、と始めたお菓子と紅茶の店Teestube「テーシュトゥーベ」です。

 ドイツのお菓子と言うと、本来はウィーンのホテルザッハーのスペシャリテでいまではウィーンならばどこにでもある、チョコレート生地にアプリコットのジャムを塗り全体をチョコレートでコーティングしたSacher-torteザッハートルテや、結婚式のお菓子の定番のようになったBaumkuchenバウムクーヘンが日本ではよく知られていますが、どちらもふだんのドイツのお茶の時間に登場するものではありません。
 また、お菓子屋さんで売られているような、生クリームやくだもの、あるいはチョコレートなどでデコレーションされたお菓子のことを「トルテ」Torteといいますが、これもふだんのお茶のお菓子ではありません。家庭でも家族の誕生日などにはトルテを作りますが、ふだんはもっぱら、手早くできるKuchenなのです。

 ドイツのドイツ人小学校で「日本のくらしや書道やそろばんなどの文化を紹介する」授業をするため、ドイツ人家庭で同じ釜の飯ならぬ同じオーヴンのKuchenを食して感激した私は、誰に頼まれたわけではないのに、より多くの方に「ドイツってビールにソーセージだけじゃないのよ!」、「ドイツのお菓子ってザッハートルテやバウムクーヘンだけじゃないのよ!」と言いたいがために、このサイトまでオープンしてしまったのです。
 このため、「モミの木」で扱うのはすべてKuchen。カタカナ表記はすべて「クーヒェン」としていますが、チーズケーキのKaesekuchenをはじめ、Streuselkuchenなどドイツ語に縁のない方には、実際どう発音するのかという言葉が並んでいると思います。きょうはそのカタカナ表記の話です。

 しばらく前になりますが、Kuchenのカタカナ表記は「クーヒェン」ではなく、「クーヘン」にすべきではというご指摘を受けました。
 実は、この表記のご指摘は覚悟しておりましたので、「クーヒェン」としている理由をお話します。
 理由は二つです。
 ひとつには、Kuchenの〈che〉は日本語の「ヒェ」でもなく、「へ」には近いが、完全に「ヘ」ではないこと。
例えば、ゾーリンゲンの刃物メーカーのHenkelsの〈He〉は、ほとんど日本語の「ヘ」と同じ発音で「ヘンケルス」と表記できます。発音記号を表記できないので、説得力がありませんが、ドイツ語の発音記号もKuchenの〈che〉とHenkelsの〈He〉とは異なるのです。Kuchenの場合は、日本語の「ヘ」のように口先で「ヘ」と言うのではなく、のどの奥から息とともに「ヘ」という音を出すような発音です。 
 であれば、素直に「ヘ」と表記すべきかもしれませんが、「へ」の表記を避けたい理由があるためです。
 むしろ、もうひとつの理由のほうが大きいのですが、おそらく、ドイツ語のKuchenという言葉を直接耳にしたことのない方は、日本語読みで発音なさるということ。カタカナ表記が「クーヘン」ならば、迷わず日本語の「ヘ」と発音なさるでしょう。そうなると致し方のないことですが、「クーヘン」というカタカナ表記が人によっては、「クウヘン」となる場合や、さらに「食うへん」、「食う変」となる場合もあります。私にそのように聞こえるだけならば問題はないのですが、なかには、どうしても「クーヘン」から「食う変」と想像してしまう方がいらっしゃると思うのです。
 もし、私がKuchenを売る立場でなければ、そのままドイツ語読みで、発音表記に悩むこともなかったのですが、購入していただくためには、お客さまに「食う変」と連想されるような表記はできません。
 これが「クーヒェン」としている大きな理由です。これならば、ドイツ語に縁のない方も、日本語の「ヘ」とは少し違うという意識が働き、場合によっては、怪我の功名で、ドイツ語のKuchenの発音にむしろ近くなることもあります。

 要は「食う変」という連想を避けるためですが、知らない外国語を聞いて全く違うことを母国語で想像してしまう。これは、私たちだけでなく外国人の方もあるようです。
 例えば、夏になると一度や二度はどなたも口になさる、国民的人気の飲み物がありますが、それを海外で日本と同じ名前で販売したところ、期待した結果が出なかった、と聞いたことがあります。実は、この話は高3のとき予備校の夏期講習の英語の先生に聞いたのですが、妙に印象に残っていました。
 自分が小さいときから大好きなものが、名前ひとつで売れなかったなんて…と不思議に思っていると、『いくらおいしくても、英語で〈piss〉って言ったら、「おしっこ」だよ。そんなこと考えちゃう名前じゃね…。』
それが理由でした。

 本当にあった話かわかりませんが、この話が忘れられず、私は、Kuchenが「食う変」にならないような表記にしています。購入してもらう立場でなければ、便宜上「クーヘン」でもかまいません。
 なお、Kuchenの〈che〉は、のどの奥から息を吐き出すようにして、「ヘ」と発音します。
 ご指摘後、辞書ではドイツ語の発音記号だけなので、手持ちの資料を調べたところ、ワールドカップのユニフォームのイラストがかわいくて購入していた、テレビのドイツ語会話のテキスト5月号がありました。
 講師の保坂良子先生の説明を要約すると、a/o/u/au+chは「のどの奥を空気でこする感じのわりと強い音」で、「口先が閉じていたり、あまり開いていないと、日本語のハ、フ、ヘ、ホになってしま」うと注意されています。また、あくまで参考として「クーヘン」とカタカナ表記をされているようです。

 いずれにせよ、Kuchenが「食う変」にならぬよう、ひとつひとつ大事に作っています。
 ケーゼクーヒェン(チーズケーキ)については、「おとりよせネット」に召し上がった方のコメントがあります。ドイツのおばあちゃんの味のチーズケーキって?、 という方、http://www.otoriyose.netです。どうぞ、ご参考に。